資産形成は低コスト投資信託で十分! ”安かろう悪かろう”じゃありません
LIMO / 2019年11月19日 21時15分
資産形成は低コスト投資信託で十分! ”安かろう悪かろう”じゃありません
世の中の自然な流れなのか、フィンテックによる技術革新なのか理由は後世が決めると思いますが、金融商品の価格破壊がどんどん進んでいます。筆者が長く関わっている資産運用業界、特に一般向けの金融商品である投資信託は価格破壊が進んでいる最たるものです。
投資信託の手数料をおさらい
投資信託を購入する際には、2種類の手数料がかかります。1つ目は投資信託を購入する際の購入手数料。2つ目はその投資信託を運用する手数料である運用管理費用(信託報酬)です。
前者は販売会社である銀行・証券会社などの販売金融機関に支払うもの、後者はその投資信託を運用している資産運用会社に毎年払うものです。
購入手数料・信託報酬ともに幅があり、購入手数料は最高3.5%程度から0%(手数料なし)、信託報酬は最高4%超から0%までとなっています。
後者の信託報酬率が0%というのは現金に近い運用をする投資信託ですから例外と言えますが、ある程度のリターンを狙っていく投資信託の最低信託報酬率は米国S&P500指数に連動する投資信託の年0.09%となります(執筆時、筆者調べ。マネープール等除く)。
手数料が高いのは優れた投資信託?
つまり、今の世の中、投資信託というコモディティ化された金融商品を購入する際は、ほとんど手数料を払わずに済むということなのです。しかし、投資される方にも勘違いされている方がいらっしゃいます。
たとえば、「購入手数料がない投資信託はアドバイスが受けられないのではないか」、「購入手数料がなかったり信託報酬が低かったりする投資信託は“安モノ”ではないか」といったものです。これらは、大きな誤解です。
また、投資信託の販売担当者にも、「手数料が高い投資信託は優れた投資信託である」という誤解があります。もちろん、手数料収入という観点で考えれば金融機関にとって優れた商品ではありますが、投資信託の運用成績(リターン)と手数料水準の高さに相関はありません。
図表は信託報酬の高い順、低い順にそれぞれ3本ずつ抽出し、それらのリターンを比べてみたものです。一見してお分かりになると思いますが、信託報酬が高いからと言ってリターンが高いわけではなく、むしろその逆です。
もちろん、カテゴリーが異なる投資信託を信託報酬という切り口で比べるのは異論があるのは承知しています。しかしながら、信託報酬が高ければ高いほどリターンも高いというのは誤解であることがお分かりになるでしょう。
価格破壊が進む今、低コスト商品を選ぶのが賢明
筆者は投資信託業務に長く携わっていますから、こうしたコストの変遷に気づくことができますが、一般の方にはそうしたトレンドになっていることがなかなか伝わっていないと思います。
技術革新による価格破壊(最近の言葉ではディスラプション)は、金融商品だけではなく、各種サービスに広がっていますので、各産業でもめずらしくなくなっていると思います。いい意味でも悪い意味でも、便利かつ低コスト社会になっているわけですが、副作用として低インフレ・低金利は継続していくのだと思います。
こんな世の中ですので、投資信託で同じリターンを目指すのであれば、なるべく低コスト商品を選ぶほうが賢明です。最悪は「販売手数料も信託報酬も割高で期待リターンが低い」投資信託です。
一般の方が投資信託を含む金融商品を理解するのはそんなに簡単なことではないと重々承知していますが、今日は若干のアドバイスをお伝えしました。
もしご自身の資産形成をしっかり考えてみたいということでしたら、一度筆者が運営する一般社団法人日本つみたて投資協会のホームページ(https://www.tsumitate.or.jp/)をご覧ください。
<<これまでの記事はこちらから(https://limo.media/search/author/%E5%A4%AA%E7%94%B0%20%E5%89%B5)>>
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【セゾン投信】運用資産総額8,000億円突破!
PR TIMES / 2024年5月2日 13時40分
-
【新NISA】を始める人・見直したい人へ!金融アナリストが教える投資戦略の立て方や投資信託の選び方
MONEYPLUS / 2024年4月27日 7時30分
-
高齢者のサイフが狙われる!金融機関の営業担当が笑顔で勧める「恐ろしい金融商品」とは【公認会計士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月19日 12時15分
-
40歳会社員、月の手取りは「20万円」です。新NISAが気になっていますが、毎月「1万円」でも意味はありますか? 今からでは遅いでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月11日 4時30分
-
新NISA「窓口で相談したいから銀行で」は危険すぎる…バブル崩壊を経験した専門家から投資初心者への助言
プレジデントオンライン / 2024年4月9日 8時15分
ランキング
-
1いきなり!ステーキが、名物「オーダーカット」を廃止していた! ピークから5年、経営再建の現在を探る
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月6日 6時30分
-
2円高でも日本株が急落しない理由。トヨタどうなる、決算発表ラッシュで底堅い!?
トウシル / 2024年5月7日 13時40分
-
3「ブラザー工業のTOB案」にローランドDGが大反論 DG常務「傘下に入ると営業利益が50億円下押し」
東洋経済オンライン / 2024年5月7日 11時0分
-
4「ようやく再出発」ダイハツ本社工場で生産再開 国内の全工場が稼働に 停止から約4か月半…従業員「やっぱり長かった」
MBSニュース / 2024年5月7日 9時20分
-
5思わずクリック「フィッシング詐欺」メールの巧妙 専門家も見極め困難、2要素認証と「意識」が大切
東洋経済オンライン / 2024年5月7日 9時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください