ブーム終焉「いきなり!ステーキ」運営会社が通期赤字転落予想。成長モデルは8月には崩れていた!
LIMO / 2019年11月23日 8時20分
ブーム終焉「いきなり!ステーキ」運営会社が通期赤字転落予想。成長モデルは8月には崩れていた!
11月14日、「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスが、通期決算の下方修正を発表しました。
「いきなり!ステーキ」でステーキブームを起こした同社も、遂に成長がストップ。さらに店舗閉鎖等で赤字を計上し、自己資本比率が5%を下回る厳しい状況となりました。しかし、こうした状況は月次の開示資料を継続的に追いかけることで、事前に察知できた可能性があります。
ペッパーフードサービス、通期で▲25億円の最終赤字へ
「いきなり!ステーキ」運営会社のペッパーフードサービス(3053)は、11月14日に第3四半期の最終赤字(四半期純利益▲19億円)に加え、2019年12月期決算の下方修正を発表。通期予想を売上高665億円、営業利益▲7億円、当期純利益▲25億円としています。
急成長を果たした「いきなり!ステーキ」ですが、既に成長はピークアウトしており、既存店売上高は昨年度から対前年同月比マイナス成長が継続中です。
一方では新規出店が続いており、既存店と新規出店を含めた全店売上は対前年同月比でのプラス成長を続けていました。簡単にいえば新規出店の成長で既存店のマイナスをカバーする状態です。
月次数字に異変が生じたのは8月
しかし8月は既存店のみならず、遂に全店売上も対前年同月比マイナスに転じ、9月もマイナス成長が継続しました。よって月次の数字からは、同社の成長モデルが第3四半期(Q3)で機能を停止していたことが分かります。
このように、上場外食企業などでは、月次数字を追いかけることで決算発表に先立ち数字の変化を捉えることができる場合があります。その典型例が今回の「いきなり!ステーキ」とも言えるでしょう。
なお、第4四半期初めの10月は対前年同月比で全店売上80.1%、既存店売上58.6%。両者ともに数字はさらなる下落を見せており、スタートから苦戦の様相となっています。
通期ではさらに低下が見込まれる自己資本比率
同社はQ3決算発時に44店の撤退も発表しました。その結果、店舗撤退費用等によりQ3は▲19億円の当期純利益の赤字となり、純資産合計は14億円、自己資本比率は4.8%にまで下落しました。
また通期では最終赤字が▲25億円まで拡大することを予想しており、増資を行わなければ自己資本比率のさらなる低下が確実です。成長から一転、ペッパーフードサービスの経営はいきなり厳しい状態に陥ることになりました。
まとめ:月次数字を見ることの大切さ
ペッパーフードサービスの月次資料からは、8月の数字が出た9月13日以降、同社の異変を察知できた可能性は高いと言えます。上場外食企業への株式投資を考える際は、月次数字を確認することが大切であると認識できる一例ではないでしょうか。
筆者は先日、平日13時頃に繁華街の「いきなり!ステーキ」に行きましたが、以前は行列が絶えなかった店に並ぶことなく入店。店内は空席が目立ち、ブームの終焉を実感することになりました。
今後同社は店舗閉鎖により、自社店舗同士の競合を減らし懸念であった既存店の収益力底上げを図る考えです。ステーキの一大ブームを巻き起こした「いきなり!ステーキ」は、再び息を吹き返すことができるのか? その兆候は月次数字から見えるのではないでしょうか。
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