「好奇心がモラルを上回る!?」日本人の撮影モラルが低下した要因とは何か
LIMO / 2019年11月24日 20時40分
「好奇心がモラルを上回る!?」日本人の撮影モラルが低下した要因とは何か
「いけない」と思いながらもスマホを向けてしまう…。今年10月、JR新宿駅で起きた人身事故を撮影する利用客に対し、JRの職員が“モラルを問う”異例の事態に発展しました。なぜダメだとわかっていながら、モラルに反した写真を撮ってしまうのか。今回は、株式会社エアトリが実施した調査を元に、日本人の撮影モラルが低下した原因を探っていきます。
懸念される「撮影モラル」の低下と原因
株式会社エアトリは2019年10月、20代〜70代の男女1,141名を対象に「撮影モラルに関するアンケート調査(https://www.airtrip-corp.com/news/2019/3205/)」を実施。同調査によると、対象者の75.0%が「昨今の日本人のモラルは低下している」と回答しています。
さらに「友達や知り合いがモラルのない写真を投稿しているのを見たことはありますか?」という質問項目において、22.7%が「ある」と回答。概ね4人に1人が、他者への配慮に欠けた写真の目撃経験があるとのことです。日本人のモラル、もっといえば撮影モラルの低下を、身近なところで感じている人は少なくありません。
その原因は一体何なのか。以下の質問項目および回答結果をご覧ください。
撮影モラルが低下した原因とは?
・インターネットおよびSNSの普及(77.0%)
・スマホ(カメラ)の普及(76.0%)
・道徳および倫理教育の不足(65.0%)
・罰則の不足および認知不足(33.4%)
・世間の無関心(24.8%)
・核家族化(10.2%)
・愛情の不足(9.4%)
・その他(6.3%)
・理由はない、わからない(0.8%)
撮影モラル低下の原因として、インターネットやSNS、スマホ(カメラ)の普及に触れる人が大多数となりました。また「道徳および倫理教育の不足」「愛情の不足」といった声も挙がり、人によってさまざまな意見があるようです。
「いけない」と思いながら撮影した人は12.0%
同調査によると、「モラル違反を自覚しながら撮影したことがある」人は、12.0%となりました。具体的な撮影場面として、観光地やライブ会場(イベント会場)、公共交通機関内などが挙げられます。中々行けない・見られない・会えないといった“レアな場面”は、モラル違反を誘発しやすいと考えられます。
またSNSの存在も大きいでしょう。他者の目を引く写真を撮りたい、たくさんの“いいね!”が欲しいなどを理由に、「いけない」と思いながらも撮影してしまう……つまりは承認欲求を起因として、モラル違反を犯しているわけです。自身の承認欲求を充たすために、他者への配慮に欠けた写真を投稿するなど言語道断。そういった人達は、SNSの運用方法から見直す必要がありそうです。
撮影モラルが最も低下する場面とは?
同調査では、「撮影モラルが低下する場面」についても言及しています。以下の調査結果をご覧ください。
どのような場面で撮影モラルの低下を感じた?
・観光地(65.9%)
・公共交通機関(55.7%)
・事故および事件現場(50.4%)
・被災現場(46.7%)
・レストラン(36.5%)
・ライブ会場およびイベント会場(31.4%)
・レジャー施設(30.6%)
・保育園(幼稚園)および学校(20.0%)
・ホテル(16.7%)
・撮影モラルの低下を感じたことがない(6.0%)
・その他(4.4%)
注目すべきは、「撮影モラルの低下を感じたことがない」と答えた人が6.0%に留まったこと。場面こそ違えど、回答者の9割近くが撮影モラルの低下を感じていることがわかります。
最も回答が多かった「観光地」では
モラルの低下を最も感じた「観光地」では、以下のようなコメントが寄せられています。
・立ち入り禁止区域に入って撮影している。看板も大きくある。物事は意味があって立ち入り禁止と記載しているのに。特に多いのは絶滅保存植物区域です。山・川・湖近隣。(60代・男性)
・たくさん人がいるのに、水族館でいい写真が撮れるまで場所をゆずらない。小さい水槽では特に迷惑。(40代・女性)
・観光地で落書きをしている友人の写真動画を撮っていた。注意をしたら逆に叱られた。(50代・女性)
私有地や禁止区域への侵入を筆頭に、「石碑に自分の名前を彫って撮影していた」「慰霊塔でピースサイン」など、その地における歴史的背景やリスペクトに欠ける行動が目撃されています。
事故および事件現場では
「事故および事件現場」においても、さまざまなコメントが寄せられました。
・同じマンションの方が飛び降り自殺をしたが、その現場を上の階からスマホで撮影されているのをこの目で見た時には大ショックを受けました。(60代・女性)
・人身事故現場・火事の消火中に救命などをしている人や通行人の邪魔になっているのに動画を撮っている人が多くびっくりする。(30代・女性)
まとめ
こういった場合は、「好奇心がモラルを上回る」のかもしれません。先述した観光地のケースとは異なり、撮影者の大半がモラル違反を自覚しているのがポイントです。また“赤信号みんなで渡れば怖くない”とは良くいったもので、「周りが撮っているから自分も許されるだろう」と考える人も、一定数いるはず。人混みの中でこそ、適切な判断が求められるでしょう。
撮影モラル低下の一端を、SNSの普及が担っているのは確かです。よって、大人は情報モラルの再構築およびSNS運用の見直しを。子どもには、情報モラル教育を徹底すべきではないでしょうか。それが撮影モラルの向上、ひいては日本人全体のモラル向上に繋がると考えられます。
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