大きな経済効果が期待できる、高齢者の保有する資産の力
LIMO / 2019年12月8日 0時0分
大きな経済効果が期待できる、高齢者の保有する資産の力
退職世代にとってのお金との向き合い方は、「資産運用だけではなく、いかに取り崩すかにある」ことをこれまでいろいろな場面で伝えてきました。
しかし、このテーマは単に高齢者の資産寿命の延伸だけが目的ではなく、安心して取り崩せることは高齢者の消費の拡大にもつながり日本経済そのものにも大きな影響を与えることになります。そこで高齢者の保有する資産に関して、概況をまとめてみます。
高齢者保有の個人資産の3%が相続
2016年に行ったフィデリティ退職・投資教育研究所の相続人5000人アンケートの結果から、年間の相続資産は46兆円に達すると推計されました。
これは国税庁が相続税対象として捕捉している11.6兆円(2013年分)以外に、非課税で相続された資産も含めると、合計がその4倍程度あるということです。直近の国税庁のデータ(2017年)では相続税対象資産は15.6兆円あり、そこから逆算すると毎年、誰かの手から誰かの手に50兆円程度の資産が相続されていることになります。
一方、日本人が保有する個人の資産の総額は、いわゆる個人金融資産と個人所有の土地の評価額で算出できます。国民経済計算をもとに2017年のデータをみてみますと、その総額は2,700兆円程度(非金融資産は個人が保有する土地だけを加算)に達しています。
よく言われる「個人金融資産の6割を60歳以上が保有する」という傾向をこの個人資産総額に当てはめてみますと、60歳以上の保有する個人資産は1,620兆円となります。50兆円の年間相続額は、この3%に相当します。
相続を経ても「老後資産」のまま
ところで、内閣府男女共同参画局のデータ(2012年簡易生命表を使った計算)によると、死亡数が最も多い年齢は男性で86歳、女性で91歳です。
夫婦間の相続後、母親からの2次相続を想定すると、受け取る子供の年齢は60歳を超えていることになります。すなわち「老々相続」が多くなっていることが、想像できます。
わずか3%とはいえ、50兆円に上る60歳以上が保有する個人資産は相続というプロセスを経ても、再び60歳以上の人たちの資産となり続けているわけです。
これまでの常識で考えると、高齢者が保有し相続されることになった資産も次の世代の「老後の生活のための資金」として大事に、より安全にという視線で保有され続けることを意味します。
高齢者保有資産の0.3%でもGDP1%を引き上げる力を持つ
高齢者が安心して引き出せると少しでも感じることができれば、そのぶん、相続額総額は少なくて済むはずです。たとえば60歳以上が保有する資産1,620兆円のわずか0.3%を毎年引き出して生活費に充当することを考えれば、その金額は年間5兆円になります。
ちょうど年間相続額の1割、年間GDPの1%に相当する金額に達するわけで、これは大きな経済効果が期待できる規模といえます。
<<これまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E9%87%8E%E5%B0%BB%20%E5%93%B2%E5%8F%B2)>>
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
子どもの将来のために「新NISA口座」を開設したいけど、周りに詳しい人がいなくて相談できません……。どのような注意点がありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月16日 3時0分
-
フィデリティ・ビジネスパーソン1万人アンケート 2024年 - 新NISA利用者の4割弱が預貯金を財源に、確実に進む「貯蓄から投資」 | 新NISAは非正規雇用者も投資家に
PR TIMES / 2024年9月10日 18時15分
-
金融資産1億円超、年収1,000万円…悠々自適な60歳元会社員のもとへ、市役所から「物価高騰緊急支援金・10万円」が届く理由【CFPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月8日 10時45分
-
52歳会社員。貯金890万円。母親と二人暮らしで貯金を増やすにはどうしたらいいでしょう?
オールアバウト / 2024年8月29日 6時10分
-
フィデリティ投信・フィデリティ証券 社長交代のお知らせ
PR TIMES / 2024年8月28日 15時45分
ランキング
-
1ゆうちょ顧客情報を不正流用 日本郵便、かんぽの保険営業に
共同通信 / 2024年9月21日 18時30分
-
2「佐渡島の金山」世界遺産登録、経済効果585億円…政投銀が3年前の試算を上方修正
読売新聞 / 2024年9月21日 17時22分
-
3NYタイムズ「2番目に行くべき」効果か、盛岡市の外国人宿泊客数が前年比9・5倍
読売新聞 / 2024年9月21日 22時45分
-
4渋谷・おしゃれ飲食街の「インフレ」が進む"裏事情" 立ち飲みのワイン1杯1200円も躊躇なく飲む若者たち
東洋経済オンライン / 2024年9月21日 9時0分
-
5PAULの「3080円・高級モーニング」超正直な感想 フランス発ベーカリー・カフェチェーンの実力は?
東洋経済オンライン / 2024年9月21日 8時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください