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なぜ人は麻薬に手を出し依存してしまうのか―アメリカの悲惨な麻薬事情

LIMO / 2019年11月29日 19時45分

なぜ人は麻薬に手を出し依存してしまうのか―アメリカの悲惨な麻薬事情

なぜ人は麻薬に手を出し依存してしまうのか―アメリカの悲惨な麻薬事情

麻薬の世界も国際化が進んでいるのか、密輸ルートや種類も進化しているようで、日本でも年々、麻薬に手をだしてしまう人が増えています。

今や、麻薬は他人事ではありません。どんな人でも簡単に陥ってしまう罠があるのです。なぜ、人は麻薬の罠にはまり、抜けられなくなるのか、アメリカの麻薬事情を参考に考察します。

ヘロインの過剰摂取で亡くなった友人

日本でも人気の、麻薬を題材にした米TVドラマ「ブレイキング・バッド」にみるように、アメリカでは郊外の平和そうなごく普通の家庭でさえ、家族の誰かが麻薬を使用していたり、それが原因で亡くなったり…という話は珍しくありません。

また、医者など社会的地位の高い人でもストレスから使用してしまうということも良くあるケースです。

実は何年か前、筆者も友人を1人、ヘロインの過剰摂取で亡くしました。彼は普通の真面目な家庭で育ち、将来は数学の教授になることを夢見る大学院生でした。

彼が、躁うつ病で抗うつ剤や精神安定剤を服用していたのは知っていました。しかし、まさか彼がヘロインに手を出していたとは夢にも思いませんでした。

しばらく会わない間に、他の友人から、彼が麻薬依存症の回復施設で治療を受けていると聞きとてもショックを受けたのを覚えています。

彼は一時、回復治療を終え、教会に通うなど前向きに生活していたのですが、何かのきっかけで、またヘロインを頼ってしまったのです。 

結局は、回復施設を出て半年も経たずにオーバードーズ(過剰摂取)で亡くなりました。友人として、何もできなかった事がとても悔しく、悲しい経験です。

処方薬から始まる悲劇

米国保健社会福祉省が2017年に12歳以上を対象に行った、「ドラッグ使用と健康」(※1)についての全国調査によると、アメリカでよく使われている麻薬は「マリファナ」、「処方された鎮痛剤や精神治療薬の乱用」、「コカイン、MDMAなどの幻覚剤」、「メタンフェタミン」、「ヘロイン」の順です。

もっとも使用されているマリファナは、違法とはいえ、真面目な人ですら一度くらいは使用したことがあるのではないか、と言われるくらい身近な麻薬です。まして、最近は全面的に使用を合法化する州も増え、今後、さらに使用者が増加するのではないかと言われています。

次に多いのが処方された鎮痛剤や精神治療薬を乱用することです。医者が処方しているとはいえ、強い鎮痛剤や精神治療薬は他の麻薬と似た効果を与えます。

最初は、苦痛を和らげる目的で使用していたのが、いつの間にか依存するようになって、指示以上の服用をしたり、医療目的の枠を超えて服用したり、その薬を売買したりという犯罪行為にまで至ってしまう場合もあります。また、これをきっかけに、さらに強い麻薬へと手を伸ばしてしまう人も少なくないことも問題視されています。

最近特に社会問題となっているのは、医師が処方する麻薬系鎮痛剤、「オピオイド中毒」とそれが原因で死亡する人が顕著に増えているということです。

こうなるのも、アメリカの医療薬は比較的強いということや、医師が簡単に薬を処方する傾向があるからかもしれません。筆者自身、また家族や友人の受診経験を通して個人的にそういう印象を持ちます。

なぜ、人は麻薬に手を出し依存してしまうのか

米政府のドラッグ依存症研究所であるThe National Institute for Drug Abuse(NIDA)では麻薬を使用する理由として次のケースを挙げています。

1. To feel good

気分を良くして、はしゃぎたい

麻薬ごとに効果の違いはあるものの、基本的には多幸感、高揚感などの効果があり、その場を楽しみたくて使用する場合があります。錠剤になっていたりすると、クラブなど盛り上がった雰囲気で、つい手が出てしまうのかもしれません。

2. To feel better

うつ病、不安症、パニック障害、ADHD、統合失調症などの精神的な苦痛や、腰痛・偏頭痛などの慢性的な痛みから抜け出したい

筆者の友人のように普通の人が依存症になってしまう最も多いパターンではないでしょうか。

3. To do better

仕事、勉強、スポーツなどのストレス・プレッシャーから、高い集中力やパフォーマンスの向上、寝ずに頑張れる体力などを求める

4. Curiosity and social pressure

好奇心。雰囲気、友人や先輩など周囲からのプレッシャー

特に高校生はこのパターンが多いです。

しかし、数回使用したことのある人全員が依存症や中毒になるとは限りませんし、使用する麻薬によっても依存性が違います。

NIDAでは、依存症や中毒になるのは、様々な要因があり、人によって異なるが、主なリスク要因として考えられるのは、性別・民族性・精神疾患などの遺伝子、又は家族・友人・貧困などの周囲環境ではないかと指摘しています。

「最初は自分の意志で始めたとしても、続けるうちに、自分の意志が制御できなくなり、意志に反して続けてしまう、それが中毒の特質だ」とNIDAは注意を喚起しています。

とにかく、好奇心で手は出さない事です。また処方薬であっても、依存症にならないよう常に自覚することが大切です。

【参考】
(※1)“Key Substance Use and Mental Health Indicators in the United States: Results from the 2017 National Survey on Drug Use and Health(https://www.samhsa.gov/data/sites/default/files/cbhsq-reports/NSDUHFFR2017/NSDUHFFR2017.pdf)” National Survey on Drug Use and Health(NSDUH)
“Is marijuana a gateway drug?(https://www.drugabuse.gov/publications/research-reports/marijuana/marijuana-gateway-drug)” NIDA
“Drug Misuse and Addiction(https://www.drugabuse.gov/publications/drugs-brains-behavior-science-addiction/drug-misuse-addiction)” NIDA
 

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