1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

油断は禁物「住宅ローンの予想外の結末」 銀行員は見た!

LIMO / 2019年12月17日 20時15分

油断は禁物「住宅ローンの予想外の結末」 銀行員は見た!

油断は禁物「住宅ローンの予想外の結末」 銀行員は見た!

この記事を書いている2019年の年末。さて、年末といえば皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 銀行員の私は仕事柄、「年末調整、住宅ローン」を連想します。

いわゆる「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」は、自分が払った税金の一部が戻ってくるというもので、儲かった、トクしたわけではないのですが、いつもより多い給与明細を見ると、なんとなく”トクした気分”になるものです。

このように年末になると「住宅ローンを借りていて良かったな」と感じる人も多いと思います。そこで住宅ローンを意識するこの時期にあわせて、銀行員として多くのお客様と接する中で見てきた、ローンの「予想外の結末」を、いくつか紹介していきたいと思います。

住宅ローンを利用中の方は、自分の将来を思い浮かべながら読んでみてください。また、住宅ローンを検討している人も、今後の参考にしてはいかがでしょうか。

ローン返済を焦ったばかりに結局返せなくなってしまったケース

住宅ローンの返済年数は、年々短くなる傾向があります。

これは高齢になってまで住宅ローンを抱えていたくない、あるいは将来どうなるかわからないので、元気なうちに少しでも繰上返済して、返済のゴールを自分で手許に引き寄せる人が多くなっているのが要因です。

たとえば、住宅金融支援機構によると次のようなデータがあります。

・住宅ローンを借りたときの平均返済期間は26.4年
・借りてから完済までの平均期間は15.2年

参考:2018年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果(https://www.jhf.go.jp/files/400348645.pdf)(住宅金融支援機構)

最長で35年借りることができる住宅ローンですが、その最長まで借りる人が多くないことと、そして多くの人が早く返そうと意識しているので、完済までの平均期間は15.2年になっているようです。

ローンを繰上返済するときは、100万円などある程度まとまったお金で繰り上げして、何カ月分かの返済期間を短縮すると言うのが良くあるケースです。

私が応対したお客様で、繰上返済するときに返済金額を増やした方がいました。繰上返済は、手続きする時に、たとえばボーナス返済をなくし毎月返済だけにすること(月額は増えますが、ボーナス月のしわ寄せがなくなる)や、毎月の返済額を増やす(多く返す分、返済期間は短くなる)こともできます。

この方も、早くローンを返し終えたいという気持ちが強く、自ら希望して毎月の返済額を増やしたのです。ところが、しばらくしてその人は不幸にもリストラに遭い、収入が激減して返済が追いつかなくなってしまったようです。

住宅ローンでは、リストラや病気などやむを得ない理由があり、銀行が認めると、毎月返済を軽くする「リスケ」という救済措置があります。この方もリスケで救済することになりました。

ところが、ローン返済が増えたり減ったり急激に変化したのと、収入の減少で家計がまわらなくなったようで、最終的にはローンを返すことができずに、結局は家を手放すことになってしまいました。

リストラという同情すべき事情はあったのですが、もし自分で返済を(ムリして)増やさずに貯金していたら、違う結末になっていたかもしれません。

団体信用生命保険で大変な目にあったケース

団体信用生命保険とは、住宅ローンを借りる人が生命保険に加入し、死亡した場合には保険金で住宅ローンが完済される仕組みです。

ちなみに保険料は毎月のローン金利に含まれています。「団体信用生命保険料は無料です」「保険料は銀行が払います」といった表現をしている銀行もありますが、これは表現方法の違いだけです。

皆さんが毎月返済するローン金利を集めて、銀行が保険会社に保険料をまとめて支払っているので、私は「保険料は金利に含まれる」と説明しています。

この団体信用生命保険で、保険の申込書(告知書)を本人が書かなかったばっかりに、団体信用生命保険で大変な目にあった方がいました。次の2つのケースは保険会社主催の銀行ローン担当者向け団体信用生命保険説明会で聞いた、実際にあったという話です。

1つ目は「奥さんが書いてしまった」ケース。

団体信用生命保険の申込書は、もちろん本人が自署しなければいけません。申込むだけでなく、病気や健康状態について告知するので、絶対に自署でなければダメなのです(身体的理由が認められれば、代筆をすることは可能です)。

このケースでは、団体信用生命保険の申込書を銀行員が渡し忘れて自宅に届けたところ、「ローンの申込で書類をたくさん書いて大変だから」と奥さんが勝手に代筆してしまいました。

ところがその後、ご本人が亡くなり書類を再点検したところ、自署していなかったことがわかったのです。

奥さんはご主人が大変だから、と悪気なくやったことなのですが、最終的に自署でなかったことが原因で団体信用生命保険はおりなかったそうです(ただし、別に加入していた生命保険でローンは完済できました)。

2つ目は「銀行員がウソを書かせたケース」です。

こちらは悪質なケースで、病気で団体信用生命保険に加入できない人がいて、対応した銀行員がウソを書かせた事例です。

団体信用生命保険に加入できないと、ローンをお断りすることもあります。このケースでも、対応した銀行員がこのままでは保険に加入できずローンが組めないので、自分のノルマが足りなくなると焦ったそうです。

そして、銀行員はお客さんをそそのかし、病気があるのに「ない」とウソの告知書を書かせてしまいました。その後ウソは見抜かれずにローンも実行されましたが、お客様が死亡してこの事実が発覚しました。

実は、お客様自身がウソをついてしまったことを悔やんで奥さんにこぼしていたそうです。そのときの内容が本人の日記にも記録されており、他にも様々な調査をして最終的に当時対応した銀行員を追及したところ、ウソの告知をさせたと認めました。

こちらのケースは、かなり時間がかかりましたが、銀行の手続きに問題があったということでローンは完済してもらえたそうです。銀行員のほうは、その頃には出世してそれなりの職位になっていたのですが、解雇されたうえ銀行から賠償請求されたらしいと聞きました。

まとめ

「焦りすぎたばっかりに返せなくなってしまった人」「団体信用生命保険で大変な目にあった人」、これらは、めったに起きることではありませんが、皆さんがその当事者にならないとは限りません。だからこそ実例に学び、細心の注意を払っていくことが大切です。

自分の家を手に入れる住宅ローンとは、長い期間付き合っていくものなので、家計とのバランスを見ながら上手に付き合っていきたいものですね。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください