“肉革命”が2020年のキーワード!? お惣菜の希少部位肉、家庭向け大豆肉などトレンドまとめ
LIMO / 2019年12月8日 10時45分
“肉革命”が2020年のキーワード!? お惣菜の希少部位肉、家庭向け大豆肉などトレンドまとめ
12月2日に年間大賞「ONE TEAM(ワンチーム)」とトップテン10語が発表された「2019 ユーキャン新語・流行語大賞」。それに先立って11月に発表されたノミネート語30語の中には、「肉肉しい」というなんとも力強い言葉があったことをご存知でしょうか。肉料理を食べた時に、いかにも「お肉を食べている!」という味や歯応えが感じられるさまを表現した言葉です。
「肉肉しい」という言葉が広まったということは、それだけ多くの人がお肉を食べて楽しんでいるということでもあります。ステーキ店の繁盛ぶりや全国各地で開催される肉料理に特化したフードフェスなど、まだまだ“肉ブーム”と言われている昨今。そんな肉ブームが2020年はどのような動きになるのか、分析します。
明暗分かれたステーキ店、軽減税率による“中食の高級志向”
今年の肉ブームの象徴的な出来事としては、3月に松屋が新業態となるステーキ店「ステーキ屋松」を三鷹で開業したことでしょう。圧倒的なコスパの良さは瞬く間に支持を得て、ついに10月に待望の2号店が下北沢に、さらに11月には3号店目も吉祥寺にオープンしました。
そんな「ステーキ屋松」の勢いに押されてか、立ち食いスタイルの「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスは11月、2019年12月期の最終赤字が25億円にまで拡大するという予想を発表。「いきなり!ステーキ」44店舗を閉店することも決定しました。ステーキ業態を手掛ける2社の明暗が、ハッキリと分かれた展開となりました。
一方で、「いきなり!ステーキ」に限らず外食産業全体として、来年以降は苦戦が強いられることが予想されています。それは今年10月にスタートした消費税増税に伴う軽減税率。消費税が店内飲食なら10%、テイクアウトなら8%となったため、間もなく訪れるクリスマスや年末年始においても、すでに「外食はせずに自分で作るか、買ってきたものを家で食べる」という中食傾向が強まっています。
そんな中食市場の拡大は、各種お惣菜店やテイクアウト営業をする飲食店には心強い追い風。消費者はテイクアウトによる2%還元で買い物の心理的ハードルが下がり、“ちょっといいもの”を買いやすくなるからです。
この“中食の高級志向”の波に乗るように、11月からはとんかつ専門店・とんかつ新宿さぼてんでは豚1頭から約2食分しか取れない希少部位「フィレブリアン」を期間限定で販売中。さらにオリジン弁当でも11月から肩ロースとサーロインに挟まれた希少部位「豚かぶり」を使った焼肉丼の販売をスタートしました。
外で金額を気にしながら焼き肉やステーキを食べるなら、お惣菜店やスーパーでちょっといいお肉を買ってきて食べる、という流れは来年以降さらに強まりそうです。
2020年は大豆肉が食卓に並ぶか?
オリンピック・パラリンピックの開催を控え、訪日外国人が4000万人にも及ぶと見込まれている2020年。抹茶や和食など日本文化をアピールする飲食店が増えている一方で、とあるジャンルのお店が急増しています。それが動物性の食材を使わないヴィーガンフードです。
2019年12月3日には浅草に、植物性の商品のみを提供するヴィーガンコンビニ&ファミレス「VEGAN STORE」がオープン。さらに2019年11月22日に開業を迎えた新生渋谷パルコには、六本木や恵比寿に店舗を構えるヴィーガン料理専門店「FALAFEL BROTHERS」が入りました。まるで本物のお肉のようなひよこ豆コロッケを、ピタパンで食べるスタイルです。
ヴィーガンフードで最も注目されているのは、牛肉や豚肉、鶏肉の肉代替品である、大豆を使う「大豆肉(大豆ミート)」。大豆肉が盛り上がっているのは、専門店だけではありません。昨今は、さまざまな家庭用大豆肉商品が続々と発売されているんです。
マルコメでは2015年に、大豆加工品の新ブランド「ダイズラボ」から家庭用の大豆ミート「大豆のお肉」を発売しました。「ボンカレー」で有名な大塚食品も昨年から今年にかけて、大豆を使ったお肉不使用「ゼロミート」シリーズからハンバーグタイプやソーセージタイプを新発売。食品大手が続々と参入し、すでに大豆肉は目新しいものではなくなりつつあるのです。
こうした専門店や家庭用食品の盛り上がりは、「人間は他の動物を摂取してはいけない」というヴィーガン本来の思想ではなく、単純なヘルシー志向が追い風になっていることは明らかです。
しかし、「健康のことを考えたいけれどもお肉もたくさん食べたい」という人にとっては、がっつりとお肉を食べた次の日には大豆肉で調整するといった選択肢が取れることは嬉しいですよね。2019年にタピオカがブーム以上の文化になったように、2020年にはヴィーガンフードがスタンダードな食ジャンルとして定着するのかもしれません。
台湾ブームはスイーツから伝統料理へ
今年9月にオープンしたコレド(COREDO)室町テラスには、台湾発の大型複合セレクトショップ「誠品生活」や「富錦樹台菜香檳 (フージンツリー)」など、台湾のお店が続々と日本初上陸しました。台湾で人気のタピオカミルクティー専門店も数多くオープンするなど、台湾グルメブームは2020年も続きそうです。
2019年にスイーツ中心だった台湾グルメブームは、2020年には肉料理が中心になるかもしれません。「ホットペッパーグルメ外食総研」(株式会社リクルートライフスタイル)の行った外食トレンドの座談会では、「魯肉飯(ルーローファン)」、「牛肉麺(ニュウロウミエン)」、「排骨(パイクウ)」など、麺やご飯の上にお肉がドドーンと乗った台湾グルメの人気を指摘。ブームの本格化に伴って、こうした伝統料理や現地の味を楽しめる流れがくると予想しています。
来年のお肉を取り巻く盛り上がりは、今年とはまったく違う流れになりそうですね。激動の2020年に私たちが口にするのは、どんなお肉なのでしょうか。
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