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自分の住所を書けない子供たち。年賀状は個人情報保護で消えていく…?

LIMO / 2019年12月17日 20時15分

自分の住所を書けない子供たち。年賀状は個人情報保護で消えていく…?

自分の住所を書けない子供たち。年賀状は個人情報保護で消えていく…?

年末が近づくと「年賀状の準備をしなくては」と焦る方も多いことでしょう。メールやLINEで新年の挨拶を済ませることが増えている中、やはり年賀状はお正月を感じさせる風物詩であることに変わりはありません。

人生で初めて年賀状を書いたのは小学生、という方がほとんどだと思いますが、イマドキの小学生は年賀状を書く機会や枚数が激減しているのはご存知でしょうか。

今回は、個人情報保護の考えが浸透している現在の小学生を取り巻く年賀状事情について紹介します。

学校の友達がどこに住んでいるか知らない小学生

昭和や平成初頭は、まだ個人情報保護に関して甘いところがありました。学級ごとの連絡網には電話や住所がばっちり記載されていましたし、それを見ながら友達に年賀状を送るのが当たり前でした。

時は流れ、個人情報の扱いは年を追うごとに厳しくなってきています。仲良しのクラスメイト同士でも、近所だったり放課後お互いの家を行き来しない限り、友達のはっきりとした住所や家の場所を知らない小学生も珍しくありません。

「あの辺りに住んでいるみたい」と大まかな情報しか持たなくても、深追いしないのです。待ち合わせ場所の公園に集まり、そこで遊び、各自帰宅するという遊び方の変化が見られます。

子供達がこういった考えを持つのは、生まれた時から個人情報の取り扱いが厳しいことが影響しているのかもしれません。また、共働き世帯が増加し、両親不在の家に友達を招き入れないよう言われていることも、住所を知る機会がないことを助長していると考えられます。

キッズ携帯やスマートフォンを持っている子は、それらのツールで友達と直接連絡を取り合うことが可能です。「家の場所を知らなくても困ることがない」と考えているイマドキの小学生が住所を聞いてまで年賀状を書くとは思えません。

そうしたツールを持っていない子供達も、個人情報の最たるものである住所を聞き出そうとする気は湧いてこないのではないでしょうか。

積極的に住所を聞くことも教えることもしない保護者

成長する過程で個人情報保護が浸透してきた保護者世代も、ベラベラ自分の住所などを口にしたり、相手から聞き出そうとするのは大人としてのモラルを欠くものと捉えています。

筆者の周囲でも、子供から「友達に年賀状を出したい」とせがまれたら、友達に住所を教えてもらえるか親に確認しなさいと言うママがほとんどです。親の了承を得ることを大前提とし、子供同士で勝手に住所などの情報を共有しないよう釘をさします。

交流のある親同士なら、ある程度お互いの素性も知っているので住所を教え合うことはあります。しかし、子供の友達の親がどういった人なのか全く分からない時は、なるべく住所を伝えないよう誘導するママもいます。

大げさかもしれませんが、犯罪と結びつく可能性もあるので、住所の取り扱いは昔のように甘いものではなくなったのです。こうした個人情報の保護が当たり前になってきたこともあり、子供達が年賀状を書く相手が、遠くに住む祖父母や家族で交流のある友達のみに限定されてくるのは自然な流れかもしれません。

先生に送る年賀状の宛先は学校の住所

筆者の子供達は、担任の先生に年賀状を出す際は小学校の住所を書いています。最初は住所も分からないので、どうやって先生に年賀状を出せばいいのか悩んでいました。

そこで近所の先輩ママに聞いたところ、「今は学校に年賀状を出すのよ」と返ってきたのです。先生からも、年賀状を出したい子は学校の住所を使うよう指導されていたことが後日判明しました。

生徒の住所を把握している担任の先生から年賀状は届くものの、生徒は誰も先生の住所を知りません。1年生から6年生まで、中には卒業生から送られた大量の年賀状が小学校に届くのです。

仕事始めの4日に児童からの年賀状を一生懸命仕分けする先生たちの姿が目に浮かびます。ベテラン教師の中には、昔の方が楽だったと内心思っている先生もいることでしょう。

学校でハガキの書き方を習ってくる時代

遠方に住んでいる祖父母にも、メールやLINEを使えば文章だけでなく写真や動画で最近の様子をすぐに伝えられる時代です。手紙やハガキを書くことは親世代に比べれば激減しているのは明らかです。

そういった時代背景もあり、ハガキの書き方を小学校で学ぶことがあります。筆者の子供達も、日本郵便の「手紙の書き方体験授業」という教材を使用し、宛名の書き方を勉強してきました。

クラスメイトの多くが自分の住所を書けず、その様子を見た先生が「今はハガキを書かなくなったからね」と苦笑いを浮かべていたそうです。

日頃から手紙やハガキを出さなければ、子供が意識的に住所を覚えることはまずありません。年賀状を書くのもイラストや文章のみで、宛名は親が印刷などしていると、それなりに成長するまで自宅の住所を自分で書くことはないのかもしれません。

ネットの発達と個人情報保護で年賀状文化は消えるのか

ネットの発達や個人情報保護意識の広まりを経験してきた親世代は、年賀状文化が華やかなりし頃を知っている世代でもあります。しかし、今の子供達は年賀状の風習は知っているものの、生まれた時からメールなどのツールを使って相手に近況を伝える手段が浸透している世代です。

「わざわざ書かなくてもLINEで年賀状代わりになる」「住所を知らないから年賀状は書けない」という勢力が存在感を強めていくのは否めません。

今は年賀状のCMや発売開始、受付開始のニュースを目にすると「年の瀬がもうそこまで」と感じます。しかし、年賀状に慣れ親しんでいない層が増えていくと、それが当たり前のことではなくなるかもしれません。

この状況が変わらない限り年賀状文化が廃れていくと危機感を持ち、意識して子供と年賀状を書いていくことが風物詩の消滅を回避する唯一の手段ではないでしょうか。

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