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お金による「幸せ」は年収700万まで!?【幸福のパラドックス】

LIMO / 2019年12月18日 20時15分

お金による「幸せ」は年収700万まで!?【幸福のパラドックス】

お金による「幸せ」は年収700万まで!?【幸福のパラドックス】

みなさんは年収がいくらくらいあれば幸せだと感じるでしょうか?

国税庁の「平成30年分民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/001.pdf)」によると、給与所得者の内、年収が1000万円を超える人の割合は5%となっています。1つの目標として「年収1000万円プレーヤー」に憧れを抱いている方も多いのではないでしょうか?

しかし、心理学と経済学を融合した学問である行動経済学の研究では、“お金だけで幸せにはなれない”ということが分かっています。

そこで今回は、年収がすでに高い人もそうでない人も、明日から実践できる「年収を上げること以外に幸せになる方法は何か」を見ていきましょう。

“年収を上げても幸福度は上がらない”という研究結果

人間の心を研究する心理学と、お金の動き方を研究する経済学が融合した「行動経済学」という学問があります。

ここ30年余りで体系化された新しい学問なのですが、行動経済学では「人間はお金を目の前にすると、合理的(冷静)に考えることができない時があり、バイアス(先入観、偏見)で行動してしまう」という従来の経済理論では説明できない人間の行動を研究しているのです。

そんな行動経済学の研究成果の1つに“人間はお金だけでは幸せになれない”という驚きの研究結果があります。

たとえば、大阪大学の筒井義郎氏らによる『なぜあなたは不幸なのか(https://www.iser.osaka-u.ac.jp/rcbe/gyoseki/fukou.pdf)』では、「所得が大きいほど幸福であるが、その増加は逓減的であり、高い所得階層では飽和が観察される」と述べられています。

この調査結果では、年収が700万円を超えると幸福度の低下が見られましたが、同分野の他の研究では、このお金による幸せのラインが年収550万円であったり660万円であったりと少々ばらつきがあります。

いずれにせよ、行動経済学の研究では「年収を上げれば上げるほど幸せになれるわけではない」ということが判明していると言えそうです。

また、こうした「お金を得ても幸せになれない」という矛盾めいた事実を行動経済学では“幸福のパラドックス”と呼んでいます。

お金で幸せになれない3つの理由

ここからは行動経済学の研究から、なぜお金だけでは幸せになれないのか、その理由を見ていきましょう。

今の状況に慣れてしまう(順応仮説)

お金を稼いでも幸せには慣れない理由の一つに、順応仮説というものがあります。

順応仮説とは、「今までよりお金を稼いでも、時間がたつとその裕福さに慣れてしまう」というものです。

たとえば、社会人になって学生時代と比較して大幅に所得が増えていたとしても、しばらくすると豊かになった実感が薄れてしまったと言えば、心あたりがある人も多いのではないでしょうか。

次の目標ができる(目標水準仮説)

研究では、自分が目標としている所得水準と今の所得を比較して、その差が大きいほど幸福度が下がるということが分かっています。

人間は現状よりも高い目標を目指そうとしてしまう特性(目標水準仮説)があり、向上心があることは良いこととも言えますが、その一方でそれが幸福度を下げる原因を作っているとも言えるのです。

みんながお金持ちになったら幸せにはならない(相対所得仮説)

また、自分の収入だけで幸せは決まらないということも研究から明らかになっています。

たとえば、仮にあなたの年収が去年より20万円上がったとします。同僚の中であなただけが20万円アップした場合と、同僚たちも同じように20万円アップした場合とでは、あなたの手元に入る金額は同じなのに幸福度は変わってくるのです。

つまり、人は自分の所得水準を他人と比較した時にも幸福度に影響を与えてしまうのです。

“年収を上げること“以外に幸せになるための方法

ここまで、年収を上げるだけでは幸せになれない理由を見てきました。

それでは、年収を上げること以外に幸福度を高めるにはどうしたら良いのでしょうか。

年収の目標を設定しない

上述した順応仮説から、多くの人が現状の所得水準に慣れてしまい、より高い所得を目指してしまうことが分かります。しかし、現状の所得と目標の所得の差が大きければ大きいほど幸福度が下がってしまいます。

そこで今、家計が特別に苦しくないのであれば、次の年収目標をあえて設定せずに、生活の質自体の向上に目を向けてみるのも良いのではないでしょうか。

お金の金額だけに囚われずに、家族や友人と一緒にリラックスした時間を過ごしたり、趣味に打ち込んでみたりして、幸せを感じるための時間にも関心を向けてみましょう。

なるべく他人と比較しない

相対所得仮説から、人は自分と他人の所得を比較して幸福度を左右しているということが言えます。つまり他人との比較により、自分の方が低所得であることを知ると、幸福度が下がってしまっているのです。

そこで、なるべく他人と所得の比較をしないように意識してみましょう。そもそも人の感じる幸せは主観的なもので、年収が1億円でないと幸せを感じられない人もいれば、平均的年収である400万円でも幸せを感じられる人もいます。

つまり、年収は本来比較すべきではないのです。なかなか簡単なことではありませんが、「他人は他人」だと言い聞かせて、他人と比較しないようにしてみましょう。

まとめ

行動経済学の研究をもとに「年収を上げること以外に幸せになる方法」を見てきましたが、日々のちょっとした心がけ次第で幸福度が変わってくると言えそうです。

自分の幸福度を上げるために、明日からの生活の中で、ぜひ参考にしてみてください。

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