豪RBAは追加利下げ観測も、豪ドル相場に反転の可能性
LIMO / 2019年12月21日 21時15分
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豪RBAは追加利下げ観測も、豪ドル相場に反転の可能性
オーストラリア準備銀行(中央銀行、以下RBA)が、12月17日に12月政策会合の議事要旨を公表しました。
それによると、RBAは次回2月の理事会で景気見通しを再評価する予定で、家計所得の低迷継続や労働市場の悪化が顕在化した場合には、追加利下げを行う可能性が示唆されました。また、RBAの目標の達成には、低金利政策が長期化する必要があるとの認識が示されました。
オーストラリア経済に対する厳しい見通し
RBAは、原則として毎月第1火曜日に金融政策理事会を開催し、金融政策について判断しています。毎年1月は夏休み期間のため理事会の開催はないので、年11回開催されていることになります。RBAの次回政策会合は2月4日に開催され、四半期毎の経済見通しも同時に公表される予定です。
なお、オーストラリアの政策金利は、オフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)として銀行間資金取引のオーバーナイト(翌日)もの金利がRBAの誘導目標とされています。
IMFが10月に発表した最新の世界経済見通しでは、オーストラリア経済の実質GDP成長率の見通しは2019年が1.7%、2020年が2.3%と、いずれも2019年4月時点の予測から、それぞれ0.4ポイント、0.5ポイント引き下げられました。これは、RBAが2019年8月に公表した経済見通しの2019年2.4%、2020年2.8%の成長予測を下回る厳しい見通しでした。
これまで持続的な成長を続けてきたオーストラリア経済ですが、貿易障壁や地政学的な緊張の高まり、先進国における生産性の低下などが世界経済に同時減速(a synchronized slowdown)を引き起こしかけている中、その影響を受け始めています。
資源国でもあるオーストラリアは、輸出を通じて中国とも結びつきが強いのが特徴であり、近年は中国経済の成長鈍化が、オーストラリア経済の持続的な成長の足かせになることも危惧されています。
フライデンバーグ財務相は、オーストラリア経済が世界経済の逆風に晒されていることは認めながらも、オーストラリアの経済成長は米国を除いたG7各国の成長率を上回る見通しだということに触れて、追加的な財政政策を発動するよりも、減税やインフラへの投資拡大、雇用確保や自由貿易の推進など、これまで採ってきた経済政策を継続することで、力強く長期的な経済成長を確保する方針であると述べています。
豪ドル市場への影響は?
オーストラリア政府としては、黒字化した財政の紐を今緩めるよりは、財政規律を保ち、政策カードを温存する腹積もりのようです。
しかし、オーストラリア経済の足元は、政府の主張ほど堅調かどうかは心もとない状況です。RBAが注目している家計所得の伸びは低水準にとどまっています。
9月の賃金伸び率は前年比2.3%と、インフレ率の目標値2.0%をわずかに上回りましたが、RBAが望んでいる賃金の伸び率は3.5%ですから、これを大幅に下回っている状態です。雇用市場の引き締まりにより、賃金の伸びが高く、消費も旺盛さを保っている米国市場とは大きな違いがあると言わざるを得ません。
このように足元の経済状況が芳しくない中で、RBAは今年、6月・7月・10月と3回の利下げを実施して、政策金利を過去最低水準である0.75%に引き下げました。いち早く、景気のてこ入れを図る行動に出るほど危機感が強かったとも言えます。米FRBの金融緩和を先取りするような政策変更・金融緩和を実施してきました。
現在、市場では、RBAによる追加利下げを見通して、金利低下を織り込んできています。豪ドル金利の利回り曲線から読み取れば、来年2月時点では0.25%の利下げを半分程度織り込んでいますし、来年5月時点では、0.25%の利下げをほぼ織り込んでいる状態です。
為替市場では、2019年を通して豪ドルには厳しい年でした。年初は、中国経済減速への懸念から豪ドルも対米ドルで低下して、一時的に対米ドルで約10年ぶりの安値となる0.67米ドル水準をつけた後、8-9月には米中貿易摩擦の激化の影響を受け、0.66米ドル台まで売り込まれることもありました。
ただ、RBAの金融緩和の効果や、不動産価格の下落にも落ち着きが見られること、政府の政策の安定や財政基盤の改善など長期的な政策への堅実さも評価され、下値を固める動きが出始めています。
世界的に各国の中央銀行が、同調するように実行した金融緩和政策により2020年の世界経済の成長が支えられる可能性に加えて、財政政策の余力のあるオーストラリアに関する見通しは(従来予想より)肯定的に見直される可能性は十分にあり、豪ドルの反転には注目しておきたいところです。
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