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「仕事のやる気が出ない…」その理由は、同僚の給料を知っていることにアリ!?

LIMO / 2019年12月27日 20時20分

「仕事のやる気が出ない…」その理由は、同僚の給料を知っていることにアリ!?

「仕事のやる気が出ない…」その理由は、同僚の給料を知っていることにアリ!?

「仕事の生産性が上がらない…」、「集中力が続かなくて仕事が進まない…」とお悩みの方はいらっしゃいませんか? 仕事の生産性が上がらない原因はあなた自身の仕事の能力ではなく、もしかしたら心理的な要因のせいかもしれません。

そこで本記事では、いくつかの経済学の実験をもとに、仕事における生産性が上がらない理由を解き明かしていきたいと思います。

同僚よりも給料が低いことを知ると生産性が低下する!?

仕事をしていると、どうしても「同僚はどれくらいの給料をもらっているのだろう?」と気になってしまうことはありませんか。もしかしたら仲の良い同僚同士だと、給料明細を見せあっているなんてこともあるかもしれません。

しかし、シカゴ大学出版局より掲載されたAnat Bracha氏らの賃金が労働供給に与える影響に関する実験結果(参照元①)によると、“同僚の給料を知ると、仕事の生産性に影響する”ことが明らかになっています。

最近「仕事のやる気が出ない…」、「集中力が続かなくて仕事が進まない…」とお悩みの方のなかには、思い当たる節があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ちなみに生産性とは、労働時間に対して成果がどれくらい得られたかを示す指標です。生産性が高ければ高いほど、効率よく仕事ができているということになります。

気になる実験の内容ですが、まずは出来高払いをするという条件のもとで、仕事の単価が低い(40セント)グループと単価が高い(80セント)グループの2グループに分けました。単価は異なりますが、両グループの被験者の仕事内容はまったく同じです。

このとき、同僚の単価を知らない状態で仕事をした場合は生産性に違いはありませんでした。しかし同僚の単価を知っている状態で仕事をした場合には、単価が高いグループの被験者よりも単価が低いグループの被験者の生産性が落ち込んだことが判明したのです。

つまり単価が低いグループの被験者は、自分よりも高い単価で雇われている同僚がいることを知らされたことで、自分の単価が相対的に低いことが判明したため、仕事のやる気をなくしてしまったということになります。

このように、同僚の給料よりも自分の給料が低いことを知ると仕事へのモチベーションが下がり、それが結果として生産性へも影響しているということが言えるでしょう。負のスパイラルに陥らず、また自分の仕事に誇りをもって継続していくためにも、あえて同僚の給料を聞くことは控えたほうが良さそうですね。

同僚よりも給料が低いことを知ると不幸になる!?

上記では、同僚の給料よりも自分の給料が低いことを知ると、仕事のやる気をなくして生産性が低下してしまうという研究結果をご紹介しました。ですが、相対的に自分の給料が低いという事実を知ることが及ぼす影響は、これだけではありません。

なんと、経済学者David Card氏らの仕事の満足度に対する同僚の給与の影響に関する実験(参照元②)によると、“同僚の給料を知ると、仕事への満足度に影響する”こともわかっているのです。

この実験では、半数の従業員に給与情報を公開するサイトを開設した旨のURLを送付して、その1週間後に全従業員を対象に仕事への満足度に関する調査をおこないました。

すると同僚より給料が低い従業員のうち、給与情報公開のURLを受信していた従業員の方が仕事への満足度が低いことが判明したのです。一方で同僚よりも給料が高い従業員は、給与情報公開のURLの受信有無を問わず、満足度に差はありませんでした。

つまり給与情報公開のURLを受信し、同僚よりも自分の給料が低いことを知ったグループのみ、仕事への満足度が低くなったということになります。またこのグループの従業員は、その後の離職率も上昇しています。

このように、職場環境や給与金額は全く変わっていないのにもかかわらず、同僚の給与金額を知るか否かが、自分の仕事に対する満足度、さらには人生の選択までをも左右する可能性があるということが言えそうです。

まとめ

本記事では、周囲と自分の給料の金額を比べることが、仕事のやる気や生産性、満足度に悪影響を及ぼすことがあるということを、2つの実験をもとに見てきました。

「自分の給料の方が高いと知ったら自信を持てるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、仮にその事実を知ると優越感が油断に変わってしまい、結果として仕事で高いパフォーマンスを発揮できない可能性もありますね。

同僚はどれくらい給料をもらっているのか、つい気になってしまうものですが、もし今の仕事や給料に満足しており、特に不満がないのならば、周囲を気にせずに一生懸命に自分の仕事に取り組んでいくほうが合理的と言えるでしょう。

自分の軸を持ち、時には情報を取捨選択していくことも、今の幸せを守るためには大切なのです。

【参照】
① Anat Bracha, Uri Gneezy, and George Loewenstein, "Relative Pay and Labor Supply(https://rady.ucsd.edu/docs/PayLaborSupply.pdf)", Journal of Labor Economics 33, no. 2(April 2015):297-315
② Card, David, Alexandre Mas, Enrico Moretti, and Emmanuel Saez. 2012. "Inequality at Work: The Effect of Peer Salaries on Job Satisfaction.(https://pubs.aeaweb.org/doi/pdfplus/10.1257/aer.102.6.2981)" American Economic Review, 102(6):2981-3003

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