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配偶者が有利に? 40年ぶり相続法の変更で知っておきたい大事なポイント

LIMO / 2019年12月29日 20時15分

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配偶者が有利に? 40年ぶり相続法の変更で知っておきたい大事なポイント

2018年7月、約40年ぶりに相続法が改正となりました。背景としては、高齢化社会の進展があります。高齢者が増えることにより、今後ますます相続における問題が増えることが予想されています。

今回は、特に残された配偶者の住まいや暮らしに関する権利保護、遺言書に関する制度の見直しなども行われました。主な改正点について、整理していきたいと思います。

配偶者居住権の創設 – 2020年4月1日施行

今回の改正の一番大きな点は、「配偶者居住権」の創設です。

配偶者居住権とは、簡単に言うと「相続が発生する前から住んでいた自宅は、配偶者がその自宅の権利を相続しなかったとしても、住むことができる」という権利です。

一般的に、不動産の評価額は高額であるため、遺産分割の際に配偶者が自宅を相続した場合、それ以外の現金などの財産を相続できずに生活資金を確保できないケースや、円滑に遺産分割するために自宅を処分せざるを得ない場合に、配偶者が自宅に住み続けることができなくなるといった問題が生じてしまう可能性があります。

そこで、配偶者がその自宅の権利(所有権)を相続しなかったとしても、自宅に住み続けることができる権利(居住権)のみでも認められるということになりました。

これまでは、所有権の中に住む権利(居住権)も含まれていましたが、この所有権から居住権とその他の権利を分離させたということです。これにより、遺産分割がやりやすくなり、配偶者も自宅以外の金融資産を相続しやすくなります。

ただし、配偶者居住権は相続発生時に登記の必要があり、また売却や譲渡することができません。居住している建物を売却するためには、居住権を放棄するか、居住権が配偶者の死亡によって消滅している必要があるので注意が必要です。

自筆証書遺言に関する見直し

これまで、自筆証書遺言は全文自筆で作成しなければならないため、財産を多く所有する場合、ちょっとした書き間違いにより無効になる遺言書も少なくありませんでした。また、家庭裁判所の検認が必要であることや、自宅で保管していると、そもそも相続時に発見されなかったり、改ざんされるなどのリスクがありました。

改正後は、財産目録の作成においてパソコンの使用が認められ、登記事項証明書や通帳の写しを添付することもできるようになります。また、2020年7月より法務局で保管できるようになり、その場合の自筆証書遺言は、法務局が定める様式に従って作成されたものである必要があるため、不備によって無効になるリスクが軽減されます。

さらに、法務局に保管された自筆証書遺言は、家庭裁判所による検認も必要なくなるため、今後自筆証書遺言の活用も増えてくるかもしれません。

夫婦間で行った居住用不動産の贈与等の保護

婚姻期間が20年以上ある配偶者への居住用不動産の遺贈または贈与した場合については、特別受益を受けたものとして取り扱う必要がなくなりました。

以前までは、贈与等を行ったとしても、原則として遺産の先渡しを受けたものとして取り扱うため、配偶者が最終的に取得する財産額は、結果的に贈与等がなかった場合と同じになり、被相続人が贈与等を行った趣旨が遺産分割の結果に反映されないものでした。

このような場合における遺贈や贈与は、配偶者の長年にわたる貢献に報いるとともに、老後の生活保障の趣旨で行われる場合が多く、今回の改正は遺贈や贈与の趣旨を尊重した内容となっています。

これによって、配偶者は、生前贈与を受けた自宅を遺産分割の対象にされることがなく、住宅を確保することができるようになりました。

相続人以外の親族の寄与行為について

これまでは、被相続人が死亡した場合、子ども等の相続人は、被相続人の介護等をまったく行っていなかったとしても、相続財産を取得することができましたが、子どもの妻など、相続人以外の親族は、どんなに被相続人の介護に尽くしても、相続人ではないため、相続財産を受け取ることができませんでした。

今後は、療養や介護を通じて被相続人の財産の維持や増加に寄与した親族が相続人に対して、特別寄与料として請求できるようになりました。請求できる範囲は、「被相続人の相続人ではない親族」とされており、子どもの妻、孫の妻、ひ孫の妻などが対象となります。

請求には、介護日誌やかかった費用のレシート等が必要となり、相続開始後に各相続人への支払い請求が必要です。請求者は相続人ではないので、遺産分割協議には参加することはできません。

親の介護を、実質子の妻が行うことが多く、それに対しての寄与分がないことで問題になるケースも多くありましたが、今後は正当に請求することができるようになります。

今回、相続法改正の代表的なポイントを見てきましたが、相続で起きる問題の多くは、誰がどう相続するかなど、分割の問題です。相続時に揉めないためにも、相続が発生する前に相続財産や意向を整理し、エンディングノートや遺言の作成など準備することと合わせて、法改正などもしっかり理解しておくことが重要です。

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