リタイア後の生活に不安…気になるお金のあれこれ総まとめ
LIMO / 2020年1月6日 19時15分
リタイア後の生活に不安…気になるお金のあれこれ総まとめ
定年退職が近づいてくると、その後の生活がどうなるのかが気になってきますよね。現役時代よりも収入が減るのが普通なので、ライフスタイルが大きく変わることも少なくありません。
今回は、定年退職にまつわるお金のあれこれについて、まとめてご紹介します。
定年退職とは
定年の年齢は企業によってさまざまですが、2013年に施行された「改正・高年齢者雇用安定法(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1.html)」によって、2025年からはすべての企業で定年が65歳以上に引き上げられます。
「65歳までの定年の引き上げ」か「65歳までの継続雇用制度の導入」、あるいは「定年の廃止」のいずれかの措置を取ることが事業者に義務付けられたためです。現時点でも、希望すれば継続雇用で65歳まで同じ会社で働けます。別の職場に転職するという選択肢も選びやすくなっているようです。
【参考】
「高年齢者の雇用(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page09.html)」厚生労働省
健康保険
日本には国民皆保険制度があるため、定年後も必ず健康保険に加入しなければなりません。選択肢は3つあります。1つ目は、会社の健康保険に継続加入する方法で、これを「健康保険任意継続制度」といいます。加入期間は最長2年間です。
2つ目は、家族が加入している健康保険の被扶養者になる方法です。年収が130万円未満など一定の条件を満たす必要があります。3つ目は、国民健康保険に加入する方法です。国民健康保険を選ぶ場合は、住所地の役所で手続きを行いましょう。
どの選択肢を選んだ場合も、75歳以上になると後期高齢者医療制度に切り替わります。
【参考】
「健康保険任意継続制度(退職後の健康保険)について(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat650)」全国健康保険協会
「退職後の健康保険について(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat650/r313)」全国健康保険協会
公的年金
日本の年金制度は2階建ての構造になっています。1階部分は日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する老齢基礎年金で、2階部分は会社員や公務員などが加入する老齢厚生年金です。
老齢基礎年金
2017年8月から受給資格期間が短縮されて、10年以上の資格期間があれば老齢基礎年金を受給できるようになりました。
原則として支給開始年齢は65歳ですが、希望すれば60~64歳から繰り上げ受給ができます。繰り上げすると年金は減額されて、減額率は一生変わりません。逆に、支給開始時期を66歳以降に繰り下げて、支給額を増やすことも可能です。
【参考】
「必要な資格期間が25年から10年に短縮されました(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2017/20170801.html)」日本年金機構
老齢厚生年金
被保険者期間が1カ月でもあれば、老齢厚生年金の支給対象です。こちらも、原則として支給開始年齢は65歳で、繰り上げ受給や繰り下げ受給が可能です。
どちらの公的年金でも、受給開始年齢の3カ月前頃に日本年金機構から「年金請求書」が郵送されてきます。必要事項を記入して必要書類とともに年金事務所か街角の年金相談センターに提出しましょう。
【参考】
「支給開始年齢になったとき(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/20141128.html)」日本年金機構
特別支給の老齢厚生年金
2000年の法律改正によって、厚生年金保険の支給開始年齢が2013年度から2025年度にかけて60歳から65歳に引き上げられました。特別支給の老齢厚生年金は、制度改正の余波を受ける人を対象にした経過措置です。ただし、繰り上げ支給や繰り下げ支給の対象になっておらず、5年で請求権を失う点に注意が必要です。
【参考】
「特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢の引上げについて(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2014/20140527.html)」日本年金機構
在職老齢年金制度
給与と厚生年金を同時にもらうと、年金の一部あるいは全額を受け取れなくなることがあります。これが、在職老齢年金制度です。
基本的に、年金と給与を足した月額が基準額を超えると、年金がカットされる仕組みです。従来は年齢が65歳未満なのか65歳以上なのかで基準額が異なりましたが、2019年に制度の見直しが行われて、年齢にかかわらず基準額は47万円となりました。
【参考】
「60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金の計算方法(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-02.html)」日本年金機構
「65歳以後の在職老齢年金の計算方法(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html)」日本年金機構
退職金
企業に退職金制度がある場合は、定年退職の際に退職金が受け取れます。受け取り方には、一括払いと年金払いの2通りがあり、併用可能な場合もあります。
高年齢雇用継続給付金制度
定年後に給与を受け取っている65歳未満の人で、給与が現役時代の75%未満に下がった場合に、雇用保険から賃金の最大15%の支給が受けられることがあります。これが高年齢雇用継続給付金です。
ただし、65歳になる前に特別支給の老齢厚生年金などの老齢年金を受けている人では、高年齢雇用継続給付金を受けた時点で年金の支給が止まります。高年齢雇用継続給付金の受給を停止すると年金の精算が行われて停止された分の年金は支給されますが、その金額は最大6%カットされます。
政府は2019年、この制度を段階的に廃止する方向性を打ち出しました。
【参考】
「雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/koyou-chosei/20140421-02.html)」日本年金機構
失業保険
定年後も働く意欲があってハローワークで手続きすれば、失業保険の対象になります。ただし、在職老齢年金や特別支給の老齢厚生年金、高年齢雇用継続給付金との同時受給はできません。
【参考】
「雇用保険の失業給付と年金は同時に受けられるの?(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/koyou-chosei/20140421-03.html)」日本年金機構
高年齢求職者給付金
年金をもらっていない65歳未満の人が条件を満たすと、一般的な失業保険の対象となります。一方、65歳以上の該当者には高年齢求職給付金という一時金が支給される仕組みです。年金との併用が可能で、条件を満たすたびに受給できるのが特徴といえるでしょう。
【参考】
「雇用保険の適用拡大等について(https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/library/okayama-roudoukyoku/a_corner/280912-hokentekyou-kakudai2.pdf)」厚生労働省
配偶者との関係も見直しながら定年に備えよう
定年退職でライフスタイルやキャッシュフローが大きく変化すると、戸惑う人もいるかもしれませんね。一方、家族がそれまでの生活に不満を抱えていると、退職離婚を迫られる可能性も。お金のことだけでなく夫婦のコミュニケーションにも気を配りながら、第2の人生に備えましょう。
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