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買い物の”3択”で無駄金を使ってしまう!? あなたを騙すアンカリング効果とは

LIMO / 2020年1月6日 20時20分

買い物の”3択”で無駄金を使ってしまう!? あなたを騙すアンカリング効果とは

買い物の”3択”で無駄金を使ってしまう!? あなたを騙すアンカリング効果とは

いきなりですが、携帯のプラン選びについて質問です。

直感で選んでみてください。プランAでは月額1,000円、プランBでは月額3,000円、プランCでは月額9,000円だとすると、どのプランを選びますか?

携帯のプランでは分かりにくいかもしれないのでもう一つ、定食選びについても質問です。

定食セットで梅・竹・松の三種類があり、それぞれ値段が300円、500円、800円だとするとどれを選びますか?

一般的な回答は、携帯電話プランだと「B」、定食セットだと「竹」になります。

もちろんこのような回答にならなかった方もいると思いますが、多くの人が真ん中の選択肢を選んだことでしょう。

実は、心理学と経済学を融合させた行動経済学ではこのようなことを「アンカリング効果」と呼んでいて、「真ん中の価格を選んでしまう」ことや「最初に見たものの価格で基準が作られる」ことを意味します。

より簡単に言うと、企業は商品を売りたいときに「選択肢を3にして」なおかつ「真ん中の価格の商品」を選ぶように誘導するのです。

今回は、心理学や行動経済学において有名な「アンカリング効果」を詳しく解説し、明日から無駄なお金を支払わないようにする方法を考えていきます。

「真ん中」を選んでしまう理由

携帯電話のプランや定食プランでは、値段が安い順か高い順に見ていくと思います。

その際に、もし最初に一番安い価格を見てしまうと、そのあとの商品の価格は「割高」に感じてしまいます。かといって、一番安い価格の商品は「品質に問題があるのではないか」と考え、結果的に真ん中の価格を選ぶことになるのです。

またこれは、最初に一番高い価格のものを見たときにも同じことが起こります。

つまり、「安すぎてもダメ、高すぎてもダメ」なので真ん中の価格を選んでしまうのです。

選択肢が3つである理由

選択肢が3つである理由は「真ん中の価格」を選択させることができるからです。

というのは、もし選択肢が(定食の例でいうと)500円と800円の2つになると、多くの人は500円の「安い方」を選ぶことが心理学で分かっています。

また、もし選択肢が4つ以上になると、人は「選択肢が多くて選ばなくなる」ことが、コロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授が実証しています。

つまり、みなさんの選択を誘導する上では「選択肢は3つ」がちょうどいいのです。

さらに厄介なアンカリング効果

前述した選択肢によるアンカリング効果よりもさらに厄介なのが、最初に価格を高く設定しておいて徐々に下げていくという手法のアンカリング効果です。

たとえば、一人暮らし(家族暮らしでも構いません)における東京での賃貸契約について考えてみましょう。

不動産の仲介業者に家賃12万円や11万円の物件を提案された後に、月8万円の物件を提案されたらどのように感じるでしょうか?月10万円を超える物件を長々と説明された後だと、8万円の物件が安く感じてきませんか?

ちなみに一人暮らし用の部屋の家賃の相場としては(立地にもよりますが)、月5万~7万円くらいではないでしょうか。

家賃7万円でも十分良い物件があるにもかかわらず、仲介業者は契約した家賃から手数料を取ることが商売ですので、できるだけ高い家賃の部屋を契約するように仕向けてくる可能性は十分にあり得ます。

不動産仲介業界では「3番目以降に契約してほしい物件を見せる」という営業手法も存在しているといいます。

つまり、高い家賃の物件を見せた後に、それより安い家賃を提示することによって、顧客の「落としどころ」を誘導しているということがいえます。

アンカリング効果に関する行動経済学の研究

それでは、徐々に価格を引き下げられると、なぜ安く感じてしまうのでしょうか?

1974年「Science」に掲載された行動経済学の第一人者でもあるダニエル・カーネマン氏とエイモス・トヴァスキー氏が行った有名な実験では、徐々に価格を下げることの有効性が見てとれます。

実験では、まず参加者を2グループに分け、一方のグループには65という数字を見せ、もう一方には10という数字を見せます。

そのあとに「国連加盟国のうち、全体の何%がアフリカの国々で占められているでしょうか?」という質問をしてみると、「65」の数字を見たグループの平均回答は45%で、「10」の数字を見たグループの平均回答は25%でした。

つまり参加者は、質問される前に全く関係のない数字を見せられたことで、質問に対して予想した数字が大きく誘導されていたのです。

アンカリング効果に騙されないためには?

ここまで、私たちの選択を誘導するアンカリング効果について見てきました。そのうえで、最初の定食セットの例に戻り、もう一度考えてみましょう。

定食の内容が梅・竹・松の順に、焼きそば・焼きサバ・刺身盛り合わせだったとしたら(定食の値段は最初と同じく300円、500円、800円とします)、松を選ぶ方が一般的にお得になります。

なぜならば、もしお得かどうかで考えるならば「原価率の高いものを選ぶ」、つまり「値段の元を取る(材料の値段が高いものを買う)」ほうが、お得な選択ということができるからです。

賃貸契約においても、事前に賃料を正確には把握できなくても「一人暮らしの家賃相場」や「立地別の家賃相場」などを調べ、おおまかな相場観をつかむことで、あらかじめ自分がターゲットとする家賃の価格帯のイメージを持つことができます。

また、携帯のプランにおいても、今までの自分の1カ月分のデータ通信量や、格安SIMのプランなども事前に把握しておくことで、プランを提示されたときに自分に合っているプランかどうか判断できますね。

このように少し気を付けることで、明日からもっと賢く、自分に合った買い物ができるようになるのです。

アンカリング効果に騙されないために、表示された値段だけでなく、常に自分の軸になる価格のイメージを持つように意識してみましょう!

【参考】
「Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases(http://www.its.caltech.edu/~camerer/Ec101/JudgementUncertainty.pdf)」(Science, New Series, Vol. 185, No. 4157. (Sep. 27, 1974), pp. 1124-1131. Amos Tversky; Daniel Kahneman)

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