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「女性はマルチタスクが得意だから育児向き」は本当?

LIMO / 2020年1月5日 10時45分

「女性はマルチタスクが得意だから育児向き」は本当?

「女性はマルチタスクが得意だから育児向き」は本当?

育児で助かったのはまさかのサッカー経験だった

家事育児は複数の作業を並行して切り替えながら行う必要があるため、マルチタスクだと言われます。マルチタスク能力さえ優れていれば、家事育児はこなせると思っている人も少なくないのではないでしょうか。

しかし、1歳半の子どもを育てている筆者は、マルチタスクと同じくらい重要な能力や視点があるとひしひしと感じています。筆者の実際の経験からお話します。

頭を切り替えながら同時に複数の“やるべきこと”をこなす家事育児

保育園に子どもを預けて仕事をしている筆者も、平日の夜はとにかく時間との勝負。18時にお迎えに行って帰宅したらすぐに食事の用意をして子どもに食べさせ、食べ終わって一人遊びをさせている間にお風呂を沸かす。お風呂に一緒に入ったら保湿ケアをして髪の毛を乾かし、歯磨きをさせ、21時までには寝かしつける。寝かしつけた後に、次の日の夕食の作り置きや保育園の準備をする。

このように、育児は最終ゴールから逆算してやるべきことの優先順位をつけ、時間配分をして頭と体の切り替えをしながら効率よく作業をこなすマルチタスク能力が求められます。そしていつでも予定していたスケジュール通りにこなせられるわけではなく、日々の家事や子どもの予期せぬ行動、さらに体調不良などその都度変わる状況にも臨機応変に対応する必要があります。

先日、筆者の仕事がそれなりに忙しいタイミングで子どもが胃腸炎に罹り、保育園に預けられない期間がありました。今まで仕事に集中していたのに、いきなり状況が変わって子どもと一対一の看病に注力せざるを得なくなったのです。さらに仕事の調整や家事などほかのことにも目を配らせなくてはいけない。この時、筆者は高校生の時にやっていたサッカーとよく似ていると感じました。

サッカーでは攻めだと思っていたのに、いきなりボールを取られて守りに変わることが当たり前のように起こります。ボールを持って相手と一対一になっている状況でも、周りの状況を見てパスをしなければいけません。状況に応じた攻守の切り替えやドリブルしながら顔を上げて次にやることを考える。臨機応変で同時に複数のことをこなす動きは、まさにサッカーと育児の共通点です。

もしかしたらサッカー経験がとても育児に役立っているのかもしれない。そんなことを考えるようになりました。

サッカーで培った2つの視点を同時に持つ力

よくよく考えると、サッカー経験が育児に役立つと感じるのはそれだけではありません。広いピッチやコートを縦横無尽に走る球技特有の「2つの視点を同時に持つ」というスキルが育児にとってはとても重要なことだとしばしば感じるのです。

サッカーだけでなく、バスケやラグビーなどの経験がある人にはわかるかもしれませんが、これらの広いピッチやコートを走る球技は2つの視点を行ったり来たりしながらプレイすることになります。それは自分のポジションからピッチやコート全体を見渡す視点と、テレビ中継のように競技エリア全体を俯瞰して自分がいまどこに立っているかを把握する視点。

前者は実際の目で見ているものですが、後者は言うなれば頭の中で見ているもの。この2つの視点を同時に持ちながら、ボールをパスしたり走ったり、自分のいる場所を確認したり味方との距離感をはかったりします。育児をしていると、このサッカーをしていた時のような2つの視点が顔を覗かせる時があります。それは主観と客観を同時に持つ動きをしなくてはいけない時です。

主観が強すぎると子育てを頑張りすぎてしまい、期待通りの結果が出ずに子どもや自分自身にイライラしたり罪悪感に襲われたりして苦しくなりがち。そういう時に、客観的な視点を持ってみると「もう十分に頑張っているのだから」と子どもや自分を許せたり心に余裕が持てたりしてバランスを保つことができます。

また、親の視点と子どもの視点の2つを持つことができると、子育てに悩んだ時に「親としてどうすべきか」という親目線だけでなく「自分が子どもだったらどう思うか」という子ども目線に立つと適切な答えが出ることもあるでしょう。ピッチやコートに立っている時のように異なる2つの視点を持つことは、子育てにおいてもとても重要で、筆者の場合その力はかつてのサッカー経験が押し上げてくれているのだと思います。

「家事育児は女性が得意」は本当か?

「家事育児は女性の方が得意」、「仕事は男性の方が得意」という言説は、男女の役割分担を規定し、多くの人の生きづらさを助長してきました。もっとも最近では「女性はマルチタスクが得意」という考えは科学的にも否定され始めていますが、今でも「男性=仕事が得意」、「女性=家事育児が得意」という考えは根強く残っています。

【参考】”Women aren’t better multitaskers than men – they’re just doing more work(https://theconversation.com/women-arent-better-multitaskers-than-men-theyre-just-doing-more-work-121620)”(The Conversation)

サッカーをはじめとするフィールド競技をやっていた人すべてが家事育児を得意とするわけではないでしょう。しかし、少なくとも筆者の場合にはサッカー経験がかなり役立っていることは事実。家事育児を性別だけでなくやってきたスポーツ経験でなぞらえてみると、意外と男性の方が器用にこなせる夫婦もいるかもしれません。

そんな風に、その人自身の気質や経験に基づくスキルを多角的に考えてみることで、主に女性を苦しめる家事育児の性別役割分担が少しでも減っていくのではないでしょうか。

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