「老後2,000万円問題」で不安になる60代以上。貯蓄はどのくらいあるの?
LIMO / 2020年1月9日 18時45分
「老後2,000万円問題」で不安になる60代以上。貯蓄はどのくらいあるの?
2019年は金融庁の「老後の生活には公的年金に加えて2,000万円が必要」という提言が話題になり、様々なメディアで取り上げられました。この提言のポイントは以下の2つです。
・高齢夫婦(無職世帯)の平均的な毎月の赤字額は約5万円
・つまり、20年間で約1,300万円、30年で約2,000万円の自己資金が必要になる
この報道を契機に「年金制度は破たんするのか」という不安と共に政治批判も相次ぎましたよね。でも、金融庁がまとめた調査結果であることは確かですから、データの数値を参考にして、老後に向けた対策を個人で進めておくことが重要だといえるでしょう。
「老後2,000万円問題」60代以上の実際の貯金額は?
この調査結果に対して、60代以上の貯金額がどのくらいなのか気になりますよね。総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2018年(平成30年)平均結果-(二人以上の世帯)(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)」によると、60歳以上(二人以上の世帯)の貯蓄現在高は以下のようになっています。
・60~69歳…貯蓄現在高2,327万円・年間収入569万円
・70歳以上…貯蓄現在高2,249万円・年間収入422万円
この調査では預金残高以外の養老保険等の金融資産も含めた金額となっています。このように、二人以上の世帯については貯蓄現在高が平均で2,000万円を超えることがわかりました。
老後生活に不安があると感じる人は約85%
次に、公益財団法人「生命保険文化センター」が18~69歳(男女4,014名)を対象に行なった「令和元年度 生活保障に関する調査《速報版》(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho.pdf)」を見てみましょう。老後生活に不安がある人は84.4%にのぼり、その中で82.8%が「公的年金では不十分」と回答しています。さらに、65.9%の人が「何らかの手段で準備をしている」ことがわかりました。
《老後生活についての不安の有無》
・「不安感あり」(84.4%)→具体的な不安の内容「公的年金だけでは不十分」(82.8%)
・「不安感なし」(13.2%)
《老後の日常生活費を公的年金でまかなえるかどうか》
・「まかなえると思う」(17.5%)
・「まかなえるとは思わない」(78.7%)
《老後生活のための経済的準備状況》
・何らかの手段で「準備している」(65.9%)
・「準備していない」(31.3%)
《個人で準備した老後資金の使用開始年齢》
老後のための貯蓄について、切り崩し始める年齢は、平均で65.9歳という結果になりました。年齢の分布をみると、多い順に以下のようになっています。
・「65歳」(39.7%)
・「70歳」(20.9%)
・「60歳」(14.4%)
公的年金では不十分と考えてそれぞれが何らかの方法で老後の準備をしていますよね。老後資金はできるだけ使わずに残しておきたいものですが、いつかは取り崩す時が来ます。
収入と支出のバランスにより使い始めるのは65歳が最も多くなっています。生活費設計の目安として参考にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
金融庁の報告書にあった「2,000万円」はあくまでも目安という意見もありますが、一連のデータは日本のこれからの厳しい現実を表しているといえます。退職金の減少傾向や、企業年金の削減など、自力での資金準備が急務となっているのは事実でしょう。
まずは、自分の老後の姿を想像し、ライフプランを立てて必要な資金を把握していくことが先決ですね。その上で、先取り貯金やつみたてNISAなどを利用して、早い段階で準備をしていくことが重要といえるでしょう。
【参考】
市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)」 金融庁
「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2018年(平成30年)平均結果-(二人以上の世帯)」総務省統計局
「令和元年度 生活保障に関する調査《速報版》」公益財団法人 生命保険文化センター
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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