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SNSに「自撮り」を投稿する人はナルシスト?成功の原動力として注目される「健康的ナルシシズム」とは

LIMO / 2020年1月9日 19時15分

SNSに「自撮り」を投稿する人はナルシスト?成功の原動力として注目される「健康的ナルシシズム」とは

SNSに「自撮り」を投稿する人はナルシスト?成功の原動力として注目される「健康的ナルシシズム」とは

最近、ソーシャルメディアに「自撮り」を投稿する人たちはナルシストか、という議論をよく見聞します。確かに「自撮り」にうっとりするのは、ギリシャ神話からきた、ナルシシストの語源そのものかもしれません。水面に映った自分に恋しキスしようとして、湖に落ち溺死したという美青年、ナルキッソスの話です。

「自撮り」に自己満足しているだけで、他人に迷惑をかける病的なナルシストと同一視するのはやや極端かもしれません。しかし、ナルキッソスのように考えなしに、自分にキスしようとするようになってしまっては危ないかもしれません。

ナルシシズム(自己愛)はとても複雑です。多くの専門家は、その特性は多様だといいます。様々な研究が実施されています。特に「健康的ナルシシズム」という、ちょうどよく自分を愛す特性については最近ますます注目を浴び、心理セラピーやビジネスのコーチングなどで応用されています。

ナルシシズムに善悪はない

精神分析医のスーザン・コロド博士は心理学専門のウェブ誌「Psychology Today」(※1)に投稿した記事の中で、実は「ナルシシズム」自体はいい意味でも悪い意味でもなく、健康的となるか、病的となるかはその度合いによるものだ、と説明しています。

数カ月前には、北アイランド、クイーンズ大学ベルファストが実施したナルシシズムの研究(※2)から、非現実的な優越感に溺れる誇大性ナルシシストはストレスが少なく、精神的にタフでうつ病になりにくいということがわかったと、既にいくつかのメディアでもとりあげられております(クイーンズ大学ベルファスト ニュースページ)。

この研究のディレクター、コスタ・パパジョージオウ博士は、ナルシシズム自体を善か悪でみるのではなく、進化によってできた産物であり、状況によって利にも害にもなり得る人間の本能を表現するものととらえるべきだと言います。

他人に対して一切思いやりが持てず、傲慢で自己中心的、他人に害を与えるようになってしまうと、「自己愛性パーソナリティ障害」という一種の人格障害かもしれません。

その反対に、メンタルヘルスの向上に役立つ「健康的ナルシシズム」という特性も存在するのです。

「健康的ナルシシズム」とは

コロド博士は健康的ナルシシズムは単なる自尊心と言うよりも、自分の美しさや、自分の成し遂げた事に対して素直に多幸感を感じられるとても大切な特性だと言います。

「チャレンジに成功した時素直に自賛し、深く喜んだ感覚は蓄積され、自信となり、困難を乗り切る力になる」と、コロド博士は語ります。

健康的ナルシシズムを持てないと、自分を否定し、自信を持てず、酷い場合は自分を嫌ってうつ病などになってしまうこともあります。

「健康的ナルシシズムの発達を阻止してしまう原因は様々だ」と、コロド博士。自己中心的な親が子どもの意志を尊重しないことで、次第に子どもは自分が無価値だと思い込むようになり、自信喪失した大人になってしまうというケースはよくあるそうです。

また、「自分が他の子より優れていたら嫉妬でいじめられるのではないか」という恐怖心を、子どものとき何らかのきっかけで抱き、わざと自分の才能や優越した能力を隠し、健康的ナルシシズムを否定してしまうというケースもあるそうです。

成功の原動力「健康的ナルシシズム」の特徴

心理学者のシェリー・キャンベル博士も米ビジネスウェブ誌 「Entrepreneur(アントレプレナー)」(※3)に寄せた記事の中で「ナルシシズムは強すぎても、弱すぎても病的になってしまう。バランスが大切なのだ」と、述べています。

健康的ナルシシズムを成功の原動力としている人の特徴について、キャンベル博士の記事からまとめてみました。

自己認識のレベルが高い

長所も欠点も含めたそのままの自分を受け入れ、他人と比べるのではなく、自分を信じ、自分の目標の為に常に努力する。

柔軟性と強靭性のバランスがいい

柔軟に対応しながらも、自分にとって肝心な点は絶対に曲げないという強固さを兼ね備えている。

誰に対しても敬意を払う

自分より立場が下の人を見下すこともなく、上の人に劣等感を抱くこともない。また、意見が食い違っても、どちらが正しいか間違っているかという見方はしない。

感情のコントロールをする

自分がどういう事に負の感情を抱いてしまうかを理解している。立腹しても、人を責めずに、冷静になってよく考えてから話す。

まとめにかえて

ちょうどよく自分を愛し、自己主張し、自信を持つ。そして、他人を敬う。

なんだか当たり前のことに聞こえますが、この「ちょうどいい」というのが難しいところではないでしょうか。自撮りに自画自賛しているくらいはちょうどいいのかもしれません。

【参考】
(※1)“What Is Healthy Narcissism?(https://www.psychologytoday.com/us/blog/contemporary-psychoanalysis-in-action/201609/what-is-healthy-narcissism)”
(※2)“Narcissism might be a dark trait but it can lower stress levels and reduce chances of depression(https://www.qub.ac.uk/News/Allnews/Narcissismmightbeadarktraitbutitcanlowerstresslevelsandreducechancesofdepression.html)”
(※3)“8 Traits of Healthy Narcissism That Drive Success(https://www.entrepreneur.com/article/297108)”

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