2人目不妊に悩む40歳。「2人目まだ?」周囲の期待と「1人いるからいいじゃない」という夫の狭間で
LIMO / 2020年1月9日 19時50分
2人目不妊に悩む40歳。「2人目まだ?」周囲の期待と「1人いるからいいじゃない」という夫の狭間で
女性にとって大きなイベントでもあり、悩みともなる妊娠出産ですが、晩婚化の影響もあり、年々、第一子出産年齢が高齢化しているといわれています。今回は、ある女性の体験談から、「高齢出産」と「2人目不妊」について、考えてみましょう。
遅い結婚で授かった1人目
今年40歳になるRさんが結婚したのは33歳の時。翌年に1人目を授かり、35歳で男の子を出産しました。日本産婦人科医会によれば、初産年齢35歳以上での出産を「高年初産婦」と定義しています。
つまりRさんは、いわゆる「高齢出産」。先天性異常などの心配もありましたが、なにより高齢になればなるほど流産率もあがるということで、妊娠中は、とにかくお腹の子を無事に産むことだけを考えてすごしていました。だから、無事に出産できた時は、「もうこの子で充分」とすら思っていたそうです。
しかし、子どもが1歳半になるころから、Rさんは2人目を強く意識するようになります。というのも、幼児教室や児童館で知り合ったママ友たちが、次々と2人目を妊娠しはじめたからです。
どうやら、「2学年差がちょうどいい。」「今仲良くしている人と子どもの学年を合わせておくと心強い。」等の理由から、お互いがお互いに影響を受けて…ということのようでした。当然、Rさんも「うちだけ一人っ子」の状態が気になり始めます。
加えて、このころから双方の実家に帰省する度に、実両親、義両親をはじめとした親戚の人々から挨拶代わりのように「2人目はいつ?」という言葉が発せられるようになりました。「もう若くないんだから、連続してポンポンと産んでしまったほうがいいよ。」と、アドバイスしてくる人もいます。
だんだんとRさんは「2人目がいたほうがいいのでは。」と考えるようになりました。そして、子どもが2歳になる少し前から、基礎体温を測るなど、妊娠を意識した生活を送ることにしたのです。
しかし、子どもが5歳になった今でも、Rさんは子どもを授かることはできていません。いわゆる「2人目不妊」の状態になっているのです。
実は多い?2人目不妊とは
そもそも不妊は日本産婦人科学会の不妊の定義(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=15)では「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。その一定期間については1年というのが一般的である。なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない。」とされています。
2人目不妊とは、1人目の子どもは出産できたけれど、2人目を妊娠しないという状態のこと。1人目は自然に授かったのに、なぜか2人目は妊娠できない。そんな状態を思い悩む女性は、実はとても多いのです。
2人目不妊の原因は様々です。例えば、1人目出産後に子宮内に細菌が入ることによっておこる子宮内膜炎などの病気を発症し、これが原因で卵管が詰まるなどして妊娠しにくい身体になってしまうということも考えられます。しかし、ある程度の年齢がいった女性の場合、加齢による妊娠可能な卵子の減少も、少なからず影響を及ぼします。加えて、男性側も加齢により、精子の活動力が下がってしまいますので、年齢が原因の一端となることについて、否定はできません。
2人目不妊ならではの悩み
最初のうちは、妻の2人目希望に協力的だったRさんの夫ですが、ここ数年は、仕事の多忙を理由にタイミングをあわせてくれなくなりました。Rさんが抗議をすると、夫は「もう一人目の子がいるからいいじゃないか」と言います。
2人目不妊と聞くと、子どもはもう1人はいるからいいじゃない、と思われる方もいるかもしれませんが、子どもが欲しいのに授かることができない辛さは1人目も2人目も同じです。
そして、2人目不妊には、1人目不妊とまた違った悩みが伴います。例えば、Rさんのように夫との意見が食い違うこと。2人目が欲しいと望む女性に対して、夫は「もう一人目の子がいるからいいじゃないか」と協力してくれない、といったことなどです。また、本格的に不妊治療を考えるにしても、それは自費になります。「高額な治療費をかけてまで2人目を妊娠しなくても、今いる子どもにお金や時間をかけてあげたい。」と夫に主張されてしまうと、それも間違いではないだけに、折り合いを付けるのは難しいのです。
いざ不妊治療を受ける場合でも、子供を連れては難しいというのも悩みのひとつです。不妊治療専門のクリニックには、1人目不妊の人に配慮をし、子ども連れを歓迎しないところが多いのが現状です。さらに、育児、家事、さらに仕事などで忙しい中、治療の時間を割くということも、負担になります。
周りのママ友がプレッシャーになることもあります。Rさんも仲の良かったママたちがどんどん2人目を産んでいく中、自分ひとりが取り残されてしまう気持ちを、何度も味わいました。そんなふうに、やりきれない気持ちを抱えて、ひとりで悩んでしまう女性も多いのでしょう。
そして葛藤は続く
「時々、わからなくなります。」とRさん。「息子を見ていると、正直、もうこのまま一人っ子でもいいと思うこともあるのです。夫の言うこともわかります。でも、周囲から『2人目は?』と質問されたり、2人目、3人目の妊娠・出産報告を聞くたびに、劣等感のようなものを感じてしまうんです。
だからといって、今から順調に授かっても、下の子が成人する前に自分が還暦を迎えてしまいます。そう考えると、今の自分にとっての一番の選択がなんなのか…。」Rさんは、今も迷っているといいます。
まとめ
子どもが欲しいと思う気持ちは、女性にとって、とても自然なことです。だからこそ、後悔のないように夫婦で話し合い、お互いが納得できる形を進んでいきたいものです。また、その際は、周囲の言葉や状況に、流されすぎないようにしていくことも大切なのかもしれません。
参照:日本産婦人科学会「不妊の定義(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=15)」
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