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民法改正がビジネスチャンス! オフィス向け家賃債務保証サービスの肝とは?

LIMO / 2020年1月13日 20時40分

民法改正がビジネスチャンス! オフィス向け家賃債務保証サービスの肝とは?

民法改正がビジネスチャンス! オフィス向け家賃債務保証サービスの肝とは?

スターリンク長尾社長に聞く(後編)

前回は、私のビジネスメンターであるスターリンク株式会社の長尾泰治社長の看板にまつわる思考法をお伝えしましたが、その長尾社長が、「民法改正という大きな流れ」の中で、ここが参入のタイミングと言い全力を傾けるのが、家賃債務保証サービス「オフィス保証24」です。

そこで前回に続き、長尾社長のインタビューを通じて、オフィス向け家賃債務保証サービスの仕組みや「オフィス保証24」の特徴を通して、新しいビジネスを仕掛けるヒントを探ります。

民法改正で変わる連帯保証人制度

大竹:賃貸オフィスの保証に関する事業とは、どのようなものですか?

長尾:スターリンク創業の際に、事業用物件オーナー向けの家賃保証保険ができないかと考えて、相談をしていたのが原型なんですが、当時は難しかった。

大竹:その状況が変わったのですか?

長尾:はい。今回、スターリンク社が契約販売した「保証商品」に関して大手損保会社が最終保証してくれる包括契約が決まったことと、連帯保証人に係る民法改正が迫っていることで、大きく変わりました。

大竹:損保会社との包括契約は、あまり聞いたことがありませんね。

長尾:銀行などの金融機関以外では、当社だけかもしれません。

大竹:それはすごいですね。民法改正のポイントは何ですか?

長尾:不動産の賃貸借契約に色々と関わってきますが、連帯保証人制度が大きく変わることです。特に事業用資金調達で貸金に大きく影響するのは、連帯保証人になるには1カ月前に公証人役場にいって公正証書を作成することが前提になる点です。

大竹:署名捺印があれば、その場で契約成立するのが当たり前でしたが、それができなくなる。現実的に考えて1カ月前に役所で手続きをすることは難しいですね。

長尾:社会の変化もあり、保証人を頼めるような関係性がなかったり、雇用状況の変化で保証できるような金銭面で安定的な裏付けがある人も減っている。ただでさえ頼みづらい状況になっているのに、さらに1カ月前となると現実的には無理といっていいと思います。賃貸借契約でも連帯保証人になってくれる個人は大幅に減ってくると思います。

「オフィス保証24」の特徴

「オフィス保証24」のスキーム図

「スターリンク株式会社」ホームページより

大竹:家賃保証に関する事業は個人の賃貸住宅が中心だったとはいえ、法人向けのオフィス賃貸向けのサービスも既にいくつかありますね?

長尾:はい、けれどもこれまでのサービスは実質的な保証になっていません。

大竹:それはどういうことでしょうか、よく24カ月保証などとかなり長期間カバーしてくれるイメージがありますが?

長尾:家賃が支払われなかった場合は24カ月分を保証してくれるんですが、法人向けの場合、1年間も家賃が支払われないことはありません。手形の不渡りと一緒で、2回連続で家賃が支払われなければ即時解除と言って退去を通告することが可能です。ここは、居住権などで守られる個人住宅とは大きく違います。

大竹:確かにそうですね。

長尾:けれども、すぐに退去させることができても、実際的にお金がかかるのは「残置物処理」と「原状回復」です。しかし、必ず負担が起こるそこの保証が少ないのが既存の他社商品です。既存の他社商品では、「残置物処理」「原状回復費」の保証には上限が2カ月程度に設定されているものがほとんどですが、このことはあまり知られていません。

大竹:そういうことですか。24カ月以上に見せておいて実は保証が適用されない免責部分が実質的には多いのですね。預かっている保証金と24カ月保証を使い切ることがないのに、実はその時になると高額な負担がかかるのでは保証商品としては問題ですね。

長尾:24カ月保証は不払い家賃に対してだけであって、「残置物処理」や「原状回復」に関しては家賃の2~3カ月以上はかかることが多いのが一般的です。だから圧倒的に足りていません。

そこで『オフィス保証24』は、本当にお金が必要となる「残置物処理」と「原状回復」などの費用も含めて最大家賃24カ月分の保証をすることにしました。ですので、現金で24カ月分の保証金を預かるのと同じ効果がある保証商品となっています。ここが一番の特徴といってもいいと思います。

大竹:なるほどそれは安心です。対象物件はオフィスだけなのですか?

長尾:「オフィス」と「店舗」では多少条件が異なりますが、両方とも対象です。さらに、事業用物件といわれる「倉庫」「貸地」も対象です。

大竹:それは物件オーナーにとっては安心ですね。

長尾:オーナーにとっては、いわゆる「取りっぱぐれ」がなくなるので、かなりのリスク低減になります。今までは与信上の理由で断っていた外国企業や設立1年未満の未決算法人、個人事業主なども受け入れられることから、入居対象者の範囲が広がるので空室も埋まりやすくなりオーナーにとっては収益アップになります。

大竹:そうなると、大家さんも安心なので保証金も下げられますね。

長尾:はい、保証金を下げることにより「入居率が高まる」だけではなく「保証金を減額する分、家賃を上げる」ということが可能になります。

特に弊社のサービスですと、24カ月分の保証金を預かるのと同等の効果があるため、テナントの信用補完という使い方だけでなく、本来そこまで保証金を預かる必要のない上場企業や優良企業の保証金を減額して募集するなど、新しい使い方もできるようになりました。

大竹:確かに、企業側にとっても多少家賃が高くても生産性の無い預ける保証金に資金を割かなくてよいのはすごくメリットを感じます。

長尾:大家さん側にもいろいろな使い方が生まれます。保証にかかる費用は入居者だけではなく大家さんが払うケースもあります。

たとえば賃貸契約の満期更新の際に「保証金の一部を返すから家賃を上げさせてください」ということが可能になるので、入居者も値上げに応じやすくなるという利用方法もあります。移転を検討している入居者には、保証金の一部返還を提案して契約更新の促進を図ることもできます。

おわりに

家賃債務保証サービスは、住宅では20年かかって一般的になりましたが、なぜかオフィスには普及しなかった。市場性はあるのに不思議だと思っていましたが、このインタビューで謎が解けました。

長尾社長を追いかけていると時代の流れが見えるのは、着想と参入タイミングが絶妙なのです。不動産を有効活用する事業でストックビジネスの基礎を作ってきた私にとって、不動産ビジネスにおける師匠的な存在でもあります。

長尾社長はビジネス作りの達人だと思っていましたが、作り方そのものがいつもストックビジネス的なので私もかなり影響を受けました。不動産以外の業界の方にはあまり関係ない話と思われたかもしれませんが、以下にまとめたように、根底にあるのはまさしく経営成功のメソッドです。

    世の中にある良い事業を探し自社で改良する

    完成したら他社を巻き込んで一気に拡大する

    長期的に考えて伸びる市場を狙う

    市場が立ち上がるタイミングを計る

長尾社長の事業創造は「累積するビジネス」、つまりストックビジネスを前提として判断されています。そして、そのような思考で日常の事業を見れば、どこにでもビジネスを拡大するヒントが隠れているのです。

今回のインタビューは、ストックビジネスアカデミーの会員限定オリジナルコンテンツである「実践企業インタビュー」から一部抜粋したものです。皆さんにとって、ここにあるヒントが事業発展の糧になれば幸いです。

筆者が携わるストックビジネスアカデミー(http://otaketakahiro.com/jissen)は、そこに集う仲間とお互いに気づきを与え合う経営者コミュニティーです。そこでは会員に思考のヒントを送り届けるために、毎月ストック思考をフル活用して事例解読をしています。ご興味のある方は一度覗いてみてください。

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