MISIAの歌唱に氷川きよしの決意。「紅白歌合戦」でアーティストが発信したメッセージ
LIMO / 2020年1月10日 20時45分
![MISIAの歌唱に氷川きよしの決意。「紅白歌合戦」でアーティストが発信したメッセージ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_15315_0-small.jpg)
MISIAの歌唱に氷川きよしの決意。「紅白歌合戦」でアーティストが発信したメッセージ
日本の年末の風物詩といえるのが、「NHK 紅白歌合戦(https://www.nhk.or.jp/kouhaku/)」ではないでしょうか。日本の音楽界を築いた大御所から、今年の顔とも言える若手アーティストまで、毎年様々なアーティストが出演し歌唱する楽曲や演出が注目されます。
特に2019年の大晦日に放送された第70回紅白歌合戦では、ジェンダーフリーを表現するようなアーティストの姿が話題になりました。
自分らしさは”紅組”でも”白組”でもない、氷川きよしが見せた新境地
NHKでは毎年紅白の会場となるNHKホールで本番同様のリハーサルを行い、それを取材陣に公開しています。昨年は28日午後から31日昼までの4日間行われ、数多くのアーティストが取材に応じました。
その中でも一際目を引き注目を集めたのが氷川きよしです。彼のステージにかける思いは、これまで築かれた”演歌界の貴公子”というアーティスト像を超えていくものでした。
デビュー20周年の年に当たる2019年の氷川きよしは、SNSでの投稿やテレビ出演で美についてのこだわりについて語るなど、演歌だけではなくジェンダーフリーな姿を披露してきました。
リハーサル時の取材でも「紅組のような白組のような演出になっている」と発言しましたが、その決意の裏にはトップアーティストが抱いていた苦悩も物語っていたのです。
これまで世間が描いてきた氷川きよし像は、演歌界の貴公子というキャッチフレーズで、さわやかな好青年が日本の伝統的な演歌の世界を表現するというものでした。
もちろんその中でも名実共に人気を博していた彼ですが、そのカテゴライズが苦しかったこともあると告白。そこから自分らしく、ありのままの姿で表現したいという思いが募っていったと語ります。
この紅白には「きーちゃんらしく、きよし君にはちょっとさよならして、ありのままの姿で紅白で輝きます。」という彼自身の並々ならぬ思いが込められていたのです。
本番では『限界突破×サバイバー』という、まさに己を表すような楽曲を熱唱。輝く龍に乗った姿、そして歌唱の最後に見せた観客への投げキッスは、まさに”紅でも白でもない"誰よりも美しいと視聴者からも絶賛の声が聞こえました。
氷川きよしの見せた新境地は音楽界だけではなく、日本社会全体が自分らしさを追求することを後押ししたのかもしれません。
紅組のトリを務めたMISIAが掲げたレインボーフラッグ
華やかなアーティストが揃った紅組のトリを飾ったのは、言わずと知れた実力派のディーバMISIAです。真っ赤なドレスに身を包み、しっとりとした楽曲『アイノカタチ』を熱唱する姿は優雅で、まさにトリにふさわしい佇まいでした。
一変、DJが現れ楽曲がテンポよい『INTO THE LIGHT』そして代表曲『Everything』のリミックスに変わると、衣装は輝くようなまばゆい白のドレスとなり、さらには「ドラァグクイーン」と呼ばれる女装家のダンサーたちが舞台上に現れます。タレントとしても活動するミッツ・マングローブも、ドラァグクイーンたちの一員となりコーラスとして参加。
そして舞台上にはLGBTQを象徴するレインボーフラッグが現れ、この舞台が年齢、国境、性別を超えるべきだというメッセージを強く掲げました。
MISIAから特別な説明はありませんでしたが、言葉なしに音楽でメッセージを強く伝える姿は、まさに日本を代表するアーティストであることの証明ではないでしょうか。視聴率自体は2部制になった1989年以降歴代ワーストとなり、紅白離れが叫ばれる中、ツイッターのトレンドワードでは1位になるなど、多くの人々に思いを届けたMISIA。彼女の姿がこれからのエンターテインメントの可能性を示したのではないでしょうか。
2018年の紅白でも星野源が発していたメッセージ
ジェンダーフリーのメッセージが多く込められていた2019年の紅白ですが、実は2018年の紅白で既にこのメッセージは叫ばれていました。
大人気アーティストの星野源は、2017年からNHKで”おげんさんといっしょ”という自身の音楽番組を持っています。星野源はおげんさんというお母さんに扮して、ゆるい雰囲気のなかでも、音楽についての深いトークを展開し人気の番組となっています。
2018年の紅白では、企画コーナーでおげんさんが登場し「おげんさんは白組紅組どっちなの?」という質問に対し「おげんさんは男でも女でもないけど…紅組も白組も性別関係なく、混合チームでいけばいい」と答えました。
おげんさんらしいゆるい回答ながらも、多様性を認めていく世相を反映した発言は注目を集めました。その人気は衰えず2019年の紅白にも星野源は星野源、そしておげんさんとしても出演。着ていたピンクの衣装には、今年も混合チームでいけばいいというメッセージが込められているのでしょう。
まとめ
紅白歌合戦には、”紅白”という伝統的な対決の様式はもちろん必要かもしれません。けれどLGBTQ、性の多様性が叫ばれる現代、これまでの概念を超えた多様な表現が必要だと、アーティストたちが発信しました。
令和の時代は歌番組はもちろん、私たちの社会のあり方も大きく変化していく必要があるのではないでしょうか。
【参考】
『第70回紅白歌合戦(https://www.nhk.or.jp/kouhaku/)』
『「きよし君にさよなら」紅白の大舞台で見た氷川きよしの覚悟…美し過ぎた熱唱後の投げキッス(https://hochi.news/articles/20200101-OHT1T50076.html)』スポーツ報知
『星野源が演じる“おげんさん“が紅白に苦言?「性別関係なく、混合チームでいけばいいと思う」(https://www.huffingtonpost.jp/entry/hoshinogen-ogensan_jp_5c5d8bc7e4b0974f75b3bef8)』ハフポスト日本版編集部
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