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ゴーン劇場「エピソード2」 レバノンに逃げても安住の地にはならない!?

LIMO / 2020年1月11日 8時20分

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ゴーン劇場「エピソード2」 レバノンに逃げても安住の地にはならない!?

金融商品取引法違反で2018年12月に起訴された元日産会長のカルロス・ゴーン被告が、裁判を前にレバノンに逃亡。2018年11月の逮捕以来、映画のような展開が続くゴーン劇場ですが、レバノンでエピソード2が始まることになりました。

ただし時を同じくして中東情勢が緊迫化しており、政情不安のレバノンはゴーン被告にとって安住の地となりえない可能性もあります。ゴーン劇場エピソード2はどのような展開となるのでしょうか?

ゴーン劇場の幕開けもプライベートジェット

世間を驚かせた逮捕が行われたのが2018年11月。ゴーン劇場は羽田空港に着陸したプライベートジェット機内での逮捕から幕を開け、作業員に変装した姿で拘置所から釈放されるなどの見せ場を経て、次は2020年に始まる裁判を待つのみの状況となっていました。

しかし2019年の暮れ、日本が年末年始の休暇モードの中、ゴーン被告は楽器ケースに隠れチャーターされたプライベートジェット機で関西空港からレバノンへの逃亡に成功し、再度世間をアッと言わせることになりました。

レバノンってどんな国?

レバノンと耳にしても、ほとんどの日本人には中東の遠い国というイメージしかないでしょう。レバノンはイスラエルとシリアに囲まれた国家で、面積は10,452㎢、日本の岐阜県(10,620㎢)に相当する広さです。

国内では岐阜県の面積は広い部類に入りますが、国家という観点からは決して広くはありません。また人口は約610万人と推定されていますが、これに近いのは千葉県の約620万人です。

元々フランスの植民地でもあったレバノンは、同じくフランスの植民地であったシリアと緊密な関係にあり、イスラエルとの激しい対立やシリア軍駐留の歴史があります。

また、レバノンにはイランが支援し、レバノン軍以上の軍事力を持つとされるイスラム教シーア派武装組織ヒズボラが拠点を置き、2006年にイスラエルとの武力衝突が発生するなど、中東紛争の多発地帯でもあります。

さらにレバノンにはイスラム教とキリスト教の様々な宗派が存在し、かつては内戦も行われました。現在は宗派ごとに議会の議席などを配分することでバランスを取るなど、国としてのまとまりを欠く状態です、

なお、ゴーン被告はレバノンのハリーリ大統領と同じく東方キリスト教会のマロン派に属しています(レバノン大統領はマロン派からの選出が慣行とされている)。

ちなみに、日本政府は2017年度末までに有償資金協力130.22億円、無料資金協力69.11億円、新技術資金協力17.56億円の合計約200億円の援助をレバノンに対して行っています。

レバノン逃亡後の”想定外”

ゴーン被告のレバノン逃亡から程なく、アメリカ軍がイラクにおいてイラン革命防衛隊のスレイマニ司令官を殺害し、両国の関係は緊張。

イラン政府はアメリカに対する報復を明言し、8日にはイラク駐留のアメリカ軍拠点に弾道ミサイル攻撃を行いました。その後、トランプ米大統領の演説で武力衝突激化への警戒感がやや和らいだとの見方もあります。

ただし、イランが支援するヒズボラが拠点を置くレバノンは、アメリカとイランの対立激化の影響を受ける地域の1つです。

また米・イラン問題とは別に、レバノン国内でゴーン氏が過去に敵対国のイスラエルを訪問したとして刑事告訴されたとの報道もあります※。つまり、ゴーン被告はレバノンでも裁判を抱えることになりました

※現地の法律ではイスラエル訪問が禁止されており、有罪の場合は最長15年の禁固刑の可能性もあると報じられている。

中東情勢が緊迫化する中、レバノンの国内情勢や国民感情が悪化した場合、ゴーン氏は自らの身を守るためにレバノンを離れざるを得ない事態が到来する可能性も否定できないでしょう。

ゴーン劇場は今後も続く?

ゴーン被告は少なくとも日本にいれば国を転々とするリスクはありませんでした。しかし政情不安なレバノンに逃亡したことで、今後の見通しはかえって不透明になったと言わざるを得ません。ちなみに9日、レバノン検察は当分の間、ゴーン被告の国外渡航を禁止したと報じられています。

中東情勢の悪化はゴーン被告も予期していなかった事態でしょう。レバノンもゴーン氏にとって安住の地となりえない可能性があります。

2018年11月の逮捕以来、まるで映画のような展開が続くゴーン劇場ですが、レバノンでエンドロールが流れることになるのでしょうか。日本脱出後のレバノンでのエピソード2に続くエピソード3があるのか、今後の展開が注目されます。

参考資料:
『現代アラブを知るための56章』(松本弘、明石書店)
『シリア・レバノンを知るための64章』(黒木 英充、明石書店)
レバノン共和国(Lebanese Republic)基礎データ(外務省)
区町村別人口と世帯(最新)ウェブサイト(千葉県)

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