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「働き方改革」で社畜はいなくなる?~「有給取得義務化」3つのポイントとその効果とは?~

LIMO / 2020年1月20日 19時45分

「働き方改革」で社畜はいなくなる?~「有給取得義務化」3つのポイントとその効果とは?~

「働き方改革」で社畜はいなくなる?~「有給取得義務化」3つのポイントとその効果とは?~

「働き方改革」とは、2018年6月に可決・成立した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」のことです。2019年度から本格始動し始めた政府主導のプロジェクトで、年次有給休暇の取得義務化が目玉とされています。

長時間労働の是正や雇用待遇による格差の改善など、今までの働き方を変える取り組みが行われています。ところで、働き方改革によって日本人は働きやすくなってきたのでしょうか

「働き方改革」についておさらい

まずは「働き方改革」について簡単に確認をしておきましょう。

有給休暇のポイントは3つ。「義務化」「全員対象」「5日間」

これまでは有給休暇は働く人の「権利」といいつつ、実際には取得には職場の許可が必要でした。本来であればいつ有休を取るかは働く人の自由で、会社の許可制ではありません。(「時季指定権」:労働者が有給休暇をいつ取得するか指定できる権利のこと)ただし会社には、人数が減ると業務に支障が出るなど対応が厳しくなる時期がありますよね。そのため、明確な事情があれば取得時期を変更できる「時季変更権」を会社側は持っています。

今回の制度のポイントの1つが「義務化」です。これによって、会社が有休取得に積極的に働きかけることになります。日程的には会社の指定(年5日の時季指定義務)となるため、業務スケジュールなどを勘案していくものの、取得義務の対象となる日数は5日間です。これが2つ目のポイントですね。

付与日から1年以内に取得することになっています。入社すると、6カ月以上の勤務で全労働日の8割以上出勤している人であれば、10日間の有休が付与されます。その付与日から1年以内、つまり入社してから1年6カ月以内に5日以上ということになるのです。

3つ目のポイントとなるのが、有給休暇が付与されているすべての従業員が対象という点です。パートタイマーやアルバイトの人についても同様で、有給休暇を取得させる義務があります。

長時間労働の是正

日本は「労働時間が長い国」として世界的に知られ、過労死などの深刻な問題も起きています。このような状況を改善するため、政府は労働基準法を大幅に見直し「残業時間は原則月45時間まで」というルールを定めました。

さらに、残業割増賃金率いわゆる「残業手当」の割合を50%まで引き上げ、労働時間の状況を客観的に把握できるよう企業に義務づけています(1カ月に60時間を超える法定時間外労働が対象)。現状では大企業のみが対象となっていますが、2020年4月からは中小企業もこの法律が適用される予定です(適用が猶予・除外となる業務・事業あり)。

雇用待遇による格差や労働環境の改善

現在は給料や昇給、福利厚生の面など、正社員と非正社員(アルバイト、派遣社員など)の間には大きな格差があります。しっかりと成果を挙げているのにも関わらず、給与や手当の差が出ることもありますよね。この場合は、いわゆる「同一労働同一賃金(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html)」が具体的に動き始めるかもしれません。

また勤務時間を調節できる「フレックスタイム制」も働き方改革で拡充され、「雇用型テレワークの推進」「定年退職年齢の引き上げ」なども目標とされています。育児・介護・病気治療など、働く個人は多くの事情を抱えています。これによって仕事を諦めることも少なくないでしょう。しかし、これらの制度によって、労働環境の改善が進められる可能性があります。

有休取得100%が目標のある企業の取り組み

休みを取りたくても休めない、男性は育休なんて取得できない…こうした休業取得の問題に本気で取り組んでいるブライダル企業の事例を見てみましょう。

年初に有休の予定を決める

厚生労働省によると、ブライダル業界が含まれる「生活関連サービス業・娯楽業」の2018年における有休取得率は36.5%にとどまりました。そんな中、ある企業では2015年より、全社員の有休取得率100%という制度を導入しています。

有休取得率のアップには、「自分だけ取得するのは気が引ける」「休みづらい」という社員の遠慮がネックになります。その課題を解決するため、年初に各人の有休希望日に応じた年間の取得予定表を作成、システム化することで業務分散の効率化を図っているのです

不公正さを生まない奨学金の肩代わり

また同企業では、社員の声をもとに企業が奨学金を肩代わりする支援制度もスタートさせています。勤続年数が5年と10年の社員に対し、奨学金の返済資金として最大200万円を支給しているのです。

奨学金の肩代わりだけを推進していると、社員同士の不公平感も生じてしまいます。でも他の人には、男性の育休取得やベビーシッター利用料の全額負担、30日間休暇制度など、年齢や家族環境、勤続年数に応じて利用できる優れた制度が導入されているのです。

あなたの会社はかわりましたか?

最後に、エン・ジャパン株式会社が運営するサイト「エン転職」にて、「有給休暇義務化」実施から半年後に実施された、「働き方改革」に関するアンケート(https://employment.en-japan.com/enquete/report-62/)の結果をみてみましょう。

アンケートに答えた人が勤務する会社(離職中の人は前職の会社)にて、「何らかの働き方改革が行われた」と回答した人は、全体の43%。そのうち取り組みの結果、得られた効果として「有給休暇が取得しやすくなった」と答えた人は40%、「労働時間が短くなった」と答えた人が33%という結果になりました。

しかし「労働時間が短くなった」と回答した人に対し、「生産性や業績は上がりましたか」という質問をしたところ、「上がった」が27%、「上がってない」が28%となりました。わずかではありますが、生産性や業績の向上を感じられていない人が多いという結果が出ました。

働き方改革によってリモートワークなどの多様な働き方を取り入れる、女性の管理職登用、高齢者の再雇用を積極的に行っている職場もあります。しかしそういった対策は特になく、「定時になったから帰れ」という職場や、いったん帰ったことにしてサービス残業で補うといった、形だけの労働時間短縮を改革としている企業も中には存在しているのかもしれません。

さいごに

働き方改革による試みは、多くの制度や現場の慣習の見直しが必要となるため、賛否両論あります。しかし、会社の言いなりになっている会社員を表す「社畜」という言葉がSNSなどで浸透している現状からも分かるように、日本の労働環境の問題が深刻であることは事実です。

働き方改革が切り込んでいくことで、日本の働き方は少しずつ変化を迎えるでしょう。社会に生きる人々はその変化を受け入れ、一人一人が労働への考え方を見直すことが重要となります。

【参考】

第62回テーマ『働き方改革』 エン・ジャパン株式会社「エン転職」

 

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