日本人の2人に1人が「がん」になる時代。でも、「保険の入りすぎ」には要注意
LIMO / 2020年1月14日 19時45分
日本人の2人に1人が「がん」になる時代。でも、「保険の入りすぎ」には要注意
年齢にかかわらず罹患することがある「がん」。著名な方が治療中である報道や、死因として報じられることもあり、ハッとする方も多いでしょう。
でも、がんになったとしても治療が可能です。今回の記事では、がんになったときの医療費や保険について紹介していきます。
日本人の約2人に1人ががんになる時代
厚生労働省「全国がん登録 全国罹患数2016年速報(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000553552.pdf)」によると、年間約99万人もの方が新たにがんと診断され、日本人の約2人に1人が一生のうちにがんに罹ると言われています。
一方で、国立がん研究センターのがん情報サービスにある「最新がん統計(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html)」では、がんと診断された人の5年相対生存率は改善の傾向にあり、男性59.1%、女性66%です。がんによる死亡の確率は男性25%(4人に1人)、女性15%(7人に1人)となっています。生涯のうちでがんになるリスクは高まっているものの、がん患者の生存率は向上してきているといえます。
もはや誰にでも起こりうる「がん」との生活。がんに罹患すると部位や進行度により、想像以上に大きな医療費が必要となることもあります。がんの保障について、どのように考えていけば良いでしょうか。
治療費+治療関連の費用負担
医療保険やがん保険で賄う
病気やケガに備えるのが医療保険で、その中でもがんの保障に特化した「がん保険」があります。一般的にがんの治療方法は、入院・手術から通院治療へとシフトしつつあるので、加入している保険の保障内容はよく確認をしておきましょう。
入院保障を重視しているケースの場合、実際の治療の際に保障がかみ合わない可能性も出てきます。
高額療養費制度を使う
公的医療保険が適用される医療費については、「高額療養費制度」が利用できます。これは高額な医療費がかかった場合でも、上限を設けて負担をしてくれる制度です。
上限額は年齢や所得に応じて定められていて、例えば標準報酬月額が28万円から50万円までならば、治療費が高額になっても自己負担は約8万円程度の見込みです。
これはあくまで、健康保険適用の治療内容に限られます。しかし、退院後も抗がん剤治療や検診などが続くケースなど、1年間で高額療養費に該当する月が4回を超えると、4カ月目からは自己負担額が4万4,400円に減ります。
医療費以外の負担も大きい
入院をした場合、医療費以外にも入院中の食事代や差額ベッド代、日用品や入院用品の購入もあり、意外と負担が大きくなります。
医療関連の品は安売りもなく、院内の食品価格も高めであるため、思いの外高額になることもあります。
収入減少について
日本国内で新たにがんと診断されている年間約99万人の人々の約26%が、就労世代(20~64歳)と言われています。
厚生労働省 による「治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会(資料3 桜井参考人提出資料)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000024tqi-att/2r98520000024tv6.pdf)」のデータによると、がんと診断された方の約半数で就労状況が変化しており、その中でも約半数が退職や解雇、休職に至っています。
仕事を継続した方の中でも約3割の方の収入が減っており、そのうち約3分の2が3割以上年収額がダウンしていることがわかります。
がん保険の必要性
子どもの教育費や住宅ローンの返済などを考えると、収入の減少や治療費の負担により家計は非常に厳しい状況になります。そのため、がん罹患後の収入減少を想定してどう備えていくかが重要となってきます。
がんの治療内容によりますが、入院保障に偏ったり、反対にあれもこれもと保障を追加していくと費用対効果が望めなくなる可能性もあります。保険に加えて継続的にお金を貯めていくことも必要となるでしょう。
保険を見極めるコツ「保険貧乏」という注意点
大切な保険も、月々の保険料に家計を圧迫されてしまうなら本末転倒です。そのため新たに医療保険を検討しようと思った時に、すでに加入している保険等の整理が必要となる可能性もあります。
加入するだけでは「保険貧乏」になってしまいますので、加入する保険を見極めていきましょう。
心配しすぎ? 日本人の「生命保険」「死亡保障」加入件数
生命保険文化センターの「平成30年度 (2018年度)生命保険に関する全国実態調査(https://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf)」によると、日本人の88.7%の人が何らかの死亡保障に加入しています。家族構成によりますが、1世帯あたりの平均加入件数は3.9件。保障金額の平均値は2018年のデータで2,255万円であり、年間に払込む保険料の合計は1世帯あたり平均で38.2万円となっています。
死亡保障を考える際に、もし住宅ローンを利用中であれば団体信用生命保険があるので、契約者に万が一のことがあった場合はその段階でのローンの返済が不要になります。
また、公的には遺族年金などの制度もあります。そして死亡保障そのものは、子どもが自立すれば保障額を減らすことも可能です。それと同時に、今度は老後や病気に備えていく必要があります。
ライフステージに応じた保険を検討しよう
保険に入りすぎることによる保険貧乏を防ぐためには、ライフステージに合わせて保険の種類や保障額を検討していく柔軟性が重要です。例えば定期保険であれば、比較的安い保険料で一定期間に限った保障を契約することもできます。
生命保険については、公的保障と合わせて考えることで削減できる部分も出てくるはずです。家計全体を見渡して、医療保険の加入や見直しに着手していきましょう。
まとめ
家族構成や年齢により必要な保障内容も異なるはずです。万が一の時に備えるのが保険です。希望通りの保障になっているか内容をよく確認しておきましょう。自分が必要としている保障内容と保険料とのバランスを考えて、安心して働き暮らせるようにしっかりと備えていきましょう。
【参考】
「全国がん登録 全国罹患数2016年速報」厚生労働省
「最新がん統計 国立がん研究センター」がん情報サービス
「治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会(資料3 桜井参考人提出資料)」厚生労働省
「平成30年度 (2018年度)生命保険に関する全国実態調査<速報版>」生命保険文化センター
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