中小企業の「デジタルトランスフォーメーション」は過去のIT化とどう違う?
LIMO / 2020年1月16日 20時20分
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中小企業の「デジタルトランスフォーメーション」は過去のIT化とどう違う?
高まるDXへの期待と課題
2019年12月12日、IDC Japanは2020年の国内IT市場で鍵となる技術や市場トレンドなど主要10項目を発表(https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ45722319)しました。
それによれば、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資は継続し、自社に本当に必要なDXや従来の情報システムとの連携も含めた全体最適の動きが強まる、とのことです。
ただ、多くの中小企業経営者にとって、DXが現実的な課題として認識されているのかという疑問が残ります。そこで今回は、中小企業経営の観点からDXについて考えてみたいと思います。
話題のDXとは
最近、中小企業経営者の間でも話題となっているDXについては、経済産業省によるDX推進ガイドライン(2018年12月発表)で以下のように定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
元々、この概念は2004年にウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が提唱したものです。ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる、といったものです。
では、長年、中小企業も含め様々な業界で取り組まれてきた「IT化」とは何が違うのでしょうか。
おそらく、単なる「IT化」との大きな違いは、「データとデジタル技術の活用」により「ビジネスモデルを変革して競争上の優位性を確立すること」にあると思われます。
過去の「IT化」の失敗とその後遺症
しかし、DXと言われても、過去の「IT化」との違いが分かりにくいため、IT化時代の苦い失敗を思い出す中小企業経営者の方も多いのではないでしょうか。
たとえば、人事評価にITを導入して個人の業績や勤務態度などに基づいて評価するシステムの構築。必要な業績や勤怠データを手作業で入力しなければならず、かえって人事担当の作業を増やす結果となりました。
せっかくITを導入したのに誰も効率化の恩恵を実感できなかったという事例です。皆さんも、似たような悲しい経験をされ、モチベーションが下がったことがあるかもしれません。
現時点で中小企業のITシステムを見ると、10年以上も前に導入したパッケージソフトをいまだにそのまま利用していたり、IT系の仕事が得意な社員が市販の表計算ソフトを駆使して業務を遂行しているケースも多いかもしれません。
いわゆる、「レガシーシステム」なるものが中小企業にも存在しているようです。
余分な資金が必要なのでシステム変更もできず、また、このレガシーシステムを活用するために社員が日々実施している手作業が介在しているケースも多いようです。中小企業は人手不足なのに、あいかわらず煩雑な手作業を強いられているわけです。
DXへの期待が高まっている背景
最近、あらためてDXに対する期待が高まっている背景としては、やはりコンピュータの性能向上と破壊的技術の汎用化、コストダウンがあります。
破壊的技術と言われるものは、具体的には「モバイル」「AI」「IoT」「ビッグデータ」「クラウド」等です。特に、象徴的なAIの技術革新を挙げるとすれば、一つは画像認識処理技術の劇的な進化ではないでしょうか。
これからの中小企業経営者は、競争優位を確立すべく破壊的技術を使い倒していく必要がありそうです。
中小企業の新たなDX戦略とソリューション
かつて「IT化」で失敗を経験したように、目的を明確にせずにDX技術を取り入れようとする、あるいはDXを活用して何かやれと部下に指示するだけでは、決して成果があがらないでしょう。
まずは長期戦略を立てるべきです。そして、顧客サービスの向上や業務効率化といった観点からレガシーシステムを刷新し、自社のデジタル化により新しい競争優位を再構築すべきでしょう。
ところが、中小企業の場合、DXを理解する人材が社内にいないため、自社の戦略目標を達成するために、どのDX製品・サービスやプラットフォームを選んだら良いか戸惑うということがあります。
私の経験上、多くの中小企業の共通課題に対応してくれるDX活用サービスとしては、資金繰りの自動化、クラウド会計サービス、企業価値算定の自動化、企業リサーチの自動化、金融取引サービスの低コスト化・高速化等があります。
また、長期的な視点からは、よくわからないまま世の中にある無数のDX製品を追いかけるより、信頼できるデジタルプラットフォームに飛び込むことも一案です。
特に、将来DXを活用してグローバル戦略をアップグレードしようという意識をお持ちの中小企業経営者の皆さんには、日本語専用の限定的な海外ビジネスマッチングプラットフォームなどよりは、海外発デジタルプラットフォームに直接参加するのがおすすめです(例:Open Business Council(https://www.openbusinesscouncil.org))。
この場合、英語が共通言語になりますが、真にグローバルなデジタル環境で自社のプレゼンスを示すことにより、思わぬビジネスマッチングの機会を得られる可能性があります。
また、デジタルのトラフィックデータの分析・活用、海外営業の強化、世界最先端のデジタル製品・サービスの活用等も可能となるでしょう。
今年、東京オリンピック後の景気後退といった日本の厳しいビジネス環境を考えると、景気後退や慢性的な人手不足が直撃しやすい中小企業だからこそ、会社の競争力や働き方を抜本的に変えるようなDX戦略に取り組むことが必要になってきそうです。
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