女性だけの職場は本当に「カオス」か、5つの視点で考える
LIMO / 2020年1月16日 11時0分
女性だけの職場は本当に「カオス」か、5つの視点で考える
新年もスタートし、職場でも心機一転という方も多いのではないでしょうか。さて、その「職場」ですが、仕事のしやすさという観点で見ると、男性だけの職場や、女性だけの職場に対してどのような印象をお持ちでしょうか。
その中でも、「女性だけの職場」と聞いて皆さんはどんな感想を持たれるでしょうか。
例えば、「陰湿ないじめがありそう」、「お局様の独裁」、「女性グループ同士の対決」、「マウンティング」などなど、あげればキリが無いですが、こうしたことから女性の職場は「カオス(混沌)」にあるというのは本当なのでしょうか。今回は、女性だけの職場で十数年過ごした私の経験もあわせてみていきます。
「男性の職場 vs 女性の職場」という構造抽出のワナ
女性の社会進出が当たり前となっているのはご存知の通りだと思います。皆さんの周りを見渡しても、共働き世帯も多く、女性管理者も増えてきたという実感をお持ちの方も多いいのではないでしょうか。
そうした職場で、女性同士の確執が取り上げられるのは、今も昔も変わりはないですが、私は別の感想を持ち始めています。
例えば、上司への媚びに始まり、同僚や部下などへのいじめやマウンティングなど、必ずしも女性同士だけで見られる現象というのではないでしょう。
私の経験も踏まえてみていくと、男性同士もさることながら、男性から女性への攻撃(口撃)というシーンも決して見逃せないと考えています。
女性から見て、男性が「取り扱いにくい」と思う5つの背景
こうしてみてきた問題を「男性同士での問題」や「女性同士の問題」ととらえると、「それぞれのグループで問題があるのね」と、ややもすれば、異性から見ると簡単に片付けられがちではあります。
しかし、ひとたび異性間での問題ととらえると、もう少し日本社会の構造的な問題点が広がっているのではないかと考えています。なぜそういえるのか、5つのポイントで見ていきたいと思います。
その1:「大和撫子」信仰?!ってまだ存在するのか
「女性は三歩下がって」というような考えはまだ存在するのでしょうか。女性が男性の後をついていくのが当たり前、ということを口にする男性もほとんど見かけなくはなりましたが、気づかないうちにそうした意識があるという方は、まだいるかもしれません。
そうした意識は、パートナーや恋人などの異性だけではなく、ご結婚されている方は感じることがあるかもしれませんが、舅という異性にもあるかもしれません。例えば、「長男の嫁になろうものなら、何をしても許される」と舅が考えているというようなシーンです。
また、「男が台所に立つなんてありえない」というなど、女性からしてみれば「いつの時代だよ?!」と突っ込みたくなる事をいまだに信じてやまない男性が身の回りにいるという方もいるのではないでしょうか。
その2:年功序列制度も男性意識に影響してやしないか
年功序列というのは、「歳を重ねたものは経験豊かで、その年齢に比例して相応の結果を出すことができる」という前提に立った制度だということができます。しかし、それは、すべてのケースであてはまるというものではないでしょう。
そうした前提が影響しているのでしょうか。男性に対して、すべての人物に対して年功序列で評価してもよいわけではない、とは思うのですが、そうした仕組みにより、結果として男性全体への評価軸が下駄をはいているとは言えやしないでしょうか。
そうした結果、どんなに女性が働いて、支えても、「成果はすべて自分にある」と思っているという人を見かけることがあります。
そういう人に限って「俺がやった、俺のおかげだから」を連呼するのです。男性に対しての評価軸全体が、株式市場の用語でいえば、「フェアバリューに対して過大評価されている」という可能性も考慮する必要があるといえます。
男性への評価軸がバブルにあるとまでは言いませんが、女性の評価軸と比較すると過大に評価されているとも見えるのです。
その3:跡継ぎは男性であるべき!?か
今は以前と比較すると大きくないとは思いますが、「跡継ぎのための男」というプレッシャーというのは、意識の根底にあるのかなとみています。
「いつの時代の話だ」という意見もあろうかと思いますが、自分の家族を振り返ってみても「世継ぎは男であるべき」とう固定観念のようなものはいまだに残っていると感じることがあります。
そういう意識のある親に大事に育てられた男子が、「男子が女性に対して優勢」という意識を持つということも珍しくはないでしょう。
そして「自分は跡継ぎになるのだ」という意識とともにプレッシャーと戦っていく、というプロセスはなくはないでしょう。
そうしたプロセスにストレスはつきものだともいえます。ストレスの結果、女性に対して強くあたるということもあるかもしれません。そうしたストレスがあるというのは理解できなくもないですが、男性の中にはそうした構造を理解しないまま、「男子であるがゆえに女性に対して優位にある」という意識だけを持ち合わせているという人も皆さんの周りに入るかもしれません。
「男女平等」という言葉ももはや珍しくはないですが、「男尊女卑」を意識的にも無意識的にもコミュニケーションの中で感じてしまうのは私だけではないでしょう。
その4:母親に何でもしてもらった男子
母親が甲斐甲斐しくなんでもお世話をしてきた家庭というのは皆さんの周りでもあるのではないでしょうか。
「なんでも母親にやってもらって当たり前」、「ぬぎちらかした靴下や服を片付ける母親」、「母親がごはんは作っていて当たり前」と、こうしたことが日常になると、職場でも女性がそれが当然だと勘違いする男性がいてもおかしくはありません。
お茶汲み、細かい事務作業、デスクの掃除や整理整頓など、気づいてないのか、勘違いしてるのか、こうした細かい事を女性が気づいてやっていても、ほとんどといってよいほど評価されないと思われた女性も多いかもしれません。
なぜ、男性がそうしたことを評価できないのかと考えてみれば、それまで自分にとっての最も身近な女性である母親に当然のようにしてきてもらったから、ということはないでしょうか。
その5:陣取り合戦という意識はないか
電車、という公共インフラのスペースの中ですらも、毎日のように、「どちらがよりスペースを確保するか」というような些細な内容でもめている光景を目にすることはないでしょうか。厄介なのはこうした姿勢に気付いていない、また普通だと思っていることです。
女性の職場は決してカオスではない
女性の職場は、もちろんどのような考えで動いているのか理解できない人もいます。ただ、決してカオスとは言い切れません。
女性の中には細かい事に気づいてくれる人が多い分、仕事もはかどるし、マルチプレーヤーが多かった、というのが私の印象です。
そもそも女性は「共感で絆を深める」という側面が強いように思います。仮に仲良くなれないタイプの女性社員がいても、共通の敵が現れた時の団結力はすさまじい、という体験をしたという方も多いのではないでしょうか。
私は同僚や友人などの女性から仕事の相談を受けるときには言い続けていることがあります。
「かならず女性の時代がくる。どうか腐らず、折れず、信念を貫いてほしい」と。
「名もない家事」の負担が妻を追い詰めるというのが、話題にものぼりつつあります。
また、職場では「名もない仕事」「評価されない仕事」が女性を圧迫しているのでは、と思ってきたことも幾度もあります。
女性は家庭でも職場でも、常に何かをしながら、何かをやる。いわゆるマルチタスクが当たり前の中で生きているといえます。
もしかしたら、求められている機能が男性とは真逆なのかもしれません。
女性もひとつの事に集中出来れば幸せなのに、職場などでは評価につながらない細かい事に気づいてしまう。そうした側面もあるのではないでしょうか。
女性の社会進出は今後も進んでいくとは思いますが、「俺が俺が」と男性が思っているうちに、いつのまにか、女性が職場でこれまで以上に評価されている時代になる可能性は否定できないのではないでしょうか。
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