発達障害の子を持つ親は不幸?~我が子の発達障害を受け入れられるまで~
LIMO / 2020年1月21日 18時45分
発達障害の子を持つ親は不幸?~我が子の発達障害を受け入れられるまで~
「指示が伝わらない」「癇癪やこだわりが強い」「集団行動が極端に取れない」など、注意欠陥多動性障害(ADHD)の息子には多くの個性的な特徴があります。
今でこそ発達障害への知識や理解があると言えるようになった筆者ですが、はじめから全てを受け入れられたわけではありません。
今回の記事では、発達障害の子どもを抱える母親として、自分自身の葛藤や夫婦間で起こった意見の相違などを赤裸々にお伝えしたいと思います。
「子どもに発達障害の可能性がある」「子どもが発達障害と診断され、どん底に突き落とされた気分でいる」などという方のために、筆者が我が子の診断を受け入れられるようになったきっかけについてもお話しさせてください。
「なぜ我が子が?」という気持ちが消えなかった1年間
息子がADHDと診断された前後1年ほどは「どうか発達障害でありませんように!」「小学校ではみんなと同じ通常学級に行って欲しい!」という気持ちが強くありました。
インターネットで発達障害の記事を読みあさったり、簡易的なチェック項目のテストなどに目を通したりする日々が続いていました。
お腹の中に命が宿ったときは「無事に大きくなって」と願い、出産が近づいてくると「五体満足で健康に」と思いが加わります。
そして、子どもが成長するにつれて「集団行動ができるように」「お行儀よく」「みんなと同じように」など、どんどんと欲が出ていく自分に気がつきました。
息子がADHDと診断されてからは、「どうやってこの子を育てていけばいいのだろう」と不安に駆られ、「将来の就職先がないのではないか」と案じる日も1日や2日ではありませんでした。
「なんでこの子が?」「神様、私何か悪いことしましたか?」なんて嘆く日も…。
息子の個性を受け入れられるようになった「きっかけ」
夫は比較的すぐに『発達障害か。じゃあ、それに合う支援をしっかりと受けていこう』という切り替えができる人でした。
一方の筆者は、「妊娠中の食生活がいけなかったのかな?」「お先真っ暗!」「そもそも、本当にADHDなの?誤診の可能性は?」などと現実離れした考えばかりをしていました。
それもこれも、全ては「息子の発達障害が何かの間違いであってほしい」という気持ちからで、きっと無意識のうちに現実逃避をしていたのでしょう。
そんな私が息子の個性を受け入れられるようになったきっかけは、定期的に受診していた療育センターの医師や、地域の発達支援員、教育委員会の方たちの存在です。
それまでは「発達障害=マイナス」と捉えていましたが、さまざまな専門家からアドバイスを受けるたびに、「発達障害は珍しい障害ではない」ことに気づかされました。
「目の悪い子はメガネやコンタクトレンズを利用する」のと同じで、「発達障害の子は特別な支援を受ける」ことが普通のこと。
発達障害だからって自立できないわけではないし、環境を整えることで本人の才能だってしっかりと花開かせてあげることもできる。
多くの発達障害の子どもを見守ってきた専門医や支援員の方々から直に聴くお話は、筆者にとってまさに「希望の光」でした。
息子の障害が「人とのご縁」をつないでくれた
今でこそ息子の発達障害を受け入れている筆者ですが、もしも「発達障害がすっかりなくなってしまう手術」のようなものがあるとすれば(実際にはありえませんが)、そりゃあ検討します。それで息子がより生きやすくなるのであれば…。
しかし、今はそんなおとぎ話よりも「息子がつないでくれた人とのご縁」が有難いな、と思えるのです。
筆者の出会った専門家の皆さんは例外なく優しい方ばかりで、子どもの発達に深く関わっていらっしゃるだけあって「全てを包み込む」雰囲気が抜群!
そんな方々と定期的に会うことができるため、自然と自分自身の考え方にも柔軟性が生まれ、子どもへの接し方もここ数年で大きく変化しました。
また、息子が度々トラブルを起こすため、当然、小学校の校長先生や教育委員会の幹部の方たちとも顔を合わせる機会が増えますよね。
すると自然と会話をしやすい関係性が生まれ、人と人とのご縁が深まっていくのを実感することができます。
息子がいなければここまで色々な教育関係者の方々とお話しすることもなかったと思うし、何よりも自分自身が子育てについてそこまで深く考えていなかったかもしれません。
息子のおかげで学ばされていたのは実は「筆者自身」で、息子がつないでくれた人とのつながりに感謝の気持ちが持てるようになりました。
発達障害の子を持つ親は不幸とは限らない
発達障害を抱える子どもたち自身はもちろんですが、育てている親にだって何かと負荷がかかります。
ですが「発達障害の子を持つということは不幸だ。可哀想だ」ということは、一概には言い切れないのではないでしょうか。
人それぞれの感じ方がありますが、筆者は少なくとも「息子のおかげで得ることができた経験や人脈」に感謝しています。
決して「息子が発達障害でよかった」という意味ではなく、生きづらさを抱えて生まれてきた息子に対して、頑張って生まれてきてくれたんだね、と感謝の気持ちでいっぱいなのです。
こんな風に思えるようになったきっかけは、たくさんの専門家の方たちとの出会い。
ときには悲しみにくれながら、ときには絶望して泣きながら話をする筆者を、どんなときでも受け止めて支えてくださった医師や教育関係者の皆さま。
かつての筆者のように「お先真っ暗!」と感じてしまっている保護者さんは特に、1人で悩まずに、勇気を出して周りに頼ってみるのもいいかもしれません。
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