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年金だけでは「毎月5万円」足りない―老後資金なぜ貯められない?年収別の原因と対策

LIMO / 2020年1月24日 19時15分

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年金だけでは「毎月5万円」足りない―老後資金なぜ貯められない?年収別の原因と対策

2019 年、大きな話題となった金融庁の「老後2,000万円問題」。その後、老後資金に必要なのは「2,000万円」や「1億円」など、多くのメディアで様々な意見が挙げられてきました。実際のところいくら準備しておけばよいのでしょうか

また、せっかく老後資金を用意しても、思わぬ出費がかさむこともあります。まずは老後のためにどれくらい貯蓄が必要かを確かめてみましょう。

老後に必要な資金

総務省統計局 の「家計調査報告(家計収支編)2018年(平成30年)平均結果の概要(https://www.stat.go.jp/data/kakei/2018np/gaikyo/index.html)」では、世帯主の年齢層階級別消費支出額を開示しており、60~69歳の年齢層(2人以上世帯)では29万1,019円、70歳以上では23万7,034円となっています。

ここでは仮に、65歳で定年退職をし、その後は調査報告どおりの支出額が続いたとします。年間の支出額は以下の通りです。

60~69歳 約29万円×12カ月=348万円
70歳以上 約23万5,000円×12カ月=282万円
65歳の定年退職後、老後が25年だとすると支出合計は、(348万円×5年)+(282万円×20年)=7,380万円です。

一方、生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査(https://www.jili.or.jp/press/2019/nwl4.html)」によれば、「ゆとりある老後生活費」は月額36.1万円(夫婦2人)とされています。こちらの金額で退職後の支出額を計算する、約36万円×12カ月×25年=1億800万円となります。

老後に得られる収入

老後の収入として一般的な収入源は年金ではないでしょうか。ここでは2018年12月の厚生労働省の「平成29年(2017年)度厚生年金保険・国民年金事業の概況(https://www.mhlw.go.jp/content/000453010.pdf)」を見てみましょう。

2017年度末の厚生年金保険(第1号)の平均年金月額は14万7,051円。また、国民年金の平均年金月額は5万5,615円でした。

たとえば、夫が定年退職まで企業に勤め、その間に専業主婦であった世帯の場合、先ほど見た年金額を単純に合計すると20万2,666円となります。独身、共働き、退職の時期など考慮すべき点はたくさんありますが、ここでは仮に世帯当たり月に20万円の年金収入があると考えてみましょう。年金を25年受け取るのであれば受給額は6,000万円という計算になります。

退職後の25年間に貰える年金は6,000万円で、老後生活に必要なのは7,380万円、ゆとりある生活なら1億800万円ということを確認しました。単純に考えると、差額の1,380万円もしくは4,800万円が退職までに貯蓄しておくべき老後資金です。公的年金以外に、iDeCoのような私的年金や株の配当等による現金収入があったほうが安心なのはいうまでもありません。

意外と負担が大きい「孫出費」

計画的に老後資金を用意した人たちでも、思った以上に大変だという声が多いのが「孫出費」。最近はお年玉ならぬ「お盆玉」という新しい習慣も生まれ、負担が厳しくなっています。ソニー生命保険が実施した「シニアの生活意識調査2019(https://www.sonylife.co.jp/company/news/2019/nr_190904.html#sec2)」では、孫のために1年間で使った平均金額は13万1,334円としています。これは直近の5年間では最も大きい金額です。具体的なお金の使い道(複数回答可)は以下のとおりとなりました。

1位:「おこづかい・お年玉・お祝い金」(75.1%)、
2位:「一緒に外食」(53.1%)
3位:「おもちゃ・ゲーム」(41.2%)
4位:「衣類・ファッション」(32.0%)
5位:「一緒に旅行・レジャー」(30.0%)

現金やおもちゃといった費用だけでなく、外食やレジャー費など孫と一緒に行動する際の出費もかさむようです。

また、最近の傾向として、「ランドセルと学習机は祖父母が買う」というものがあります。ランドセルは母方の祖父母が、学習机を父方の祖父母がプレゼントするというケースが最も多く、両方とも平均額は約5万円。お盆休みで帰省している間にプレゼント話がまとまりやすいように、お盆になるとランドセルのTVコマーシャルが始まるという話もあります。

お盆といえば、今や帰省中の孫や子の交通費を払うシニアの割合は4割にものぼり、さらにはお盆玉と呼ばれるおこづかいを渡すなど、シニアにとっては懐が厳しいシーズンになってしまいました。あおぞら銀行による「2019年度 シニアのリアル調査(https://www.aozorabank.co.jp/about/newsrelease/2019/pdf/19080701_n.pdf)」によると、子や孫が帰省した時に援助する交通費の平均は2万9,700円、交通費以外に負担する金額の平均は4万3,700円合わせて7万円以上負担するうえにランドセルもおねだりされてはたまったものじゃありませんね。

貯金ができない、年収別の原因とは?

孫出費のような予想外の負担に備えるためにも貯金は大切ですが、思ったよりも貯金が増えないという人も多いでしょう。そこで、なぜ貯金できないのか、年収別にまとめました。自分の状況と照らし合わせて、貯金の道を探りましょう。

年収400万円未満 ― 支出を減らす努力をしよう

年収400万円未満の人は、支出を見直して、貯蓄の意識を高めましょう。年俸額が400万円だと、毎月の給与は額面33万円。普通に暮らしていれば赤字になることはありません。しかし、意識しなければ貯蓄ができない状況ではあります。まずは余計な支出をカットしましょう。

例えば、お金の使い道にマイルールを作ってみてはいかがですか。「飲み会の誘いを受けるのは3回に1回」、「コンビニでお菓子を買わない」など。自分の生活パターンを振り返り、あまり心理的な負担にならない程度でルールを設けてみてください。減った支出を貯蓄に回しましょう。

年収400万円以上 ― 貯金の意味を考えよう

年収が400万円以上あれば、余裕を持って生活できますし、毎月の収支が赤字になることもないでしょう。しかし、余ったお金をとりあえず生活口座に入れておく、という意識では貯金はできません。余裕があるうちは、逆に生活レベルが上がってしまい、家計が苦しくなることもあります。

貯金は将来に必要なお金、結婚資金や教育資金、老後貯蓄などを前もって蓄える行為です。余ったお金を貯めるのではなく、給与が入ったら貯金用口座に移すなど、自分から貯蓄する意識を持ちましょう。

年収600万円以上 ― もっと上を目指そう

年収600万円の人はゆとりのある生活を実現できているはずです。だからといって無駄遣いをするのではなく、毎月決まった金額の貯金を続けることが肝要です。できれば、手取りの25%を目安に貯金することを目指しましょう。

現在は終身雇用の時代ではありませんし、この収入をいつまでもキープできるかどうかは未知数です。お金は余裕があるうちに貯めておきましょう。

まとめ

孫出費にかぎらず、インフレなどによって老後の生活プランが変わってしまうことはリスクとしてありうる事です。老後資金の一部を金融市場で運用しておくなど、リスクを下げる努力はしておきましょう。また、孫とつきあうには体力も必要です。若いうちから体力をつけておくようにしましょう。

【参考】
「家計調査報告(家計収支編)2018年(平成30年)平均結果の概要(https://www.stat.go.jp/data/kakei/2018np/gaikyo/pdf/gk01.pdf)」総務省統計局
「生活保障に関する調査(令和元年度)(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/7.html)」生命保険文化センター
「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(https://www.mhlw.go.jp/content/000453010.pdf)」厚生労働省年金局
「シニアの生活意識調査2019(https://www.sonylife.co.jp/company/news/2019/nr_190904.html#sec2)」ソニー生命
「2019年度 シニアのリアル調査(https://www.aozorabank.co.jp/about/newsrelease/2019/pdf/19080701_n.pdf)」あおぞら銀行

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

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