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ボール禁止の公園、屋外でゲーム…。子供の体力低下は無理もない!?

LIMO / 2020年1月30日 10時15分

ボール禁止の公園、屋外でゲーム…。子供の体力低下は無理もない!?

ボール禁止の公園、屋外でゲーム…。子供の体力低下は無理もない!?

スポーツ庁が小学5年生と中学2年生を対象に平成20年度から毎年調査している「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の最新の結果(令和元年度版)が昨年12月に発表されました。

小学5年生男子の体力や運動能力が過去最低を記録したことがメディアでも大きく取り上げられ、低下した原因はスマートフォンの視聴時間が影響しているという論調が多く見られました。

たしかに、スマートフォンの視聴時間が少なからず影響を与えているのは間違いありませんが、本当に小学生の遊び方は大きく変わってきているのでしょうか。

「外に遊びに行く」と言って公園でゲームをする子供達

ファミコンと呼ばれた家庭用ゲーム機が急速に普及したのは1980年代後半です。その時代から「子供が外で遊ばなくなった」といった指摘がありましたが、現在のゲーム機とは決定的な違いがあります。

今の保護者世代が子供時代に遊んだファミコンは、備え付けで家庭のテレビと接続していないと遊べませんでした。親から「外で遊びなさい」と言われたら、皆で外に出て遊ぶしかなかったのです。

しかし、現在のゲーム機は本体が持ち運び可能な形態となっています。そのため、親から外で遊ぶよう言われても公園でゲームに興じることができるのです。

児童間のトラブル防止の意味も兼ねて、放課後に外で遊ぶ際はゲーム機を持ちださないよう頻繁に指導している学校もありますが、全員がルールを厳守するのは現実的に無理があります。

実際、平日の夕方に公園の近くを歩いていると任天堂スイッチでゲームをして盛り上がっている小学生を多く目にします。公園にいてもゲームばかりしているのは圧倒的に男児のグループの方が多く、スポーツ庁の調査結果で男子の結果が悪かったのも頷けます。

小学生になると不特定多数の子と遊び、その中の1人、2人でも携帯ゲーム機を持参していると、体を動かす遊びをせず、座り込んでスクリーンを眺めるだけで時間を潰しているのです。

ゲーム機の持ち出しを厳禁してもカードゲームで遊ぶ

ママ同士が知り合いだと、連携して学校のルールを守らせるべくゲーム機の持ち出しを確認するなどしっかり取り締まっています。筆者の周りでも「ゲームをするなら親の目が届く家でする」「親の不在中に勝手にゲームで遊ばない」など各家庭で約束を決めています。

すると、子供達は屋外でポケモンカードのようなカードゲームに興じるようになりました。

カードゲーム自体は学校でも「放課後に外で遊んではいけないモノ」に指定されておらず、学校周辺のマンションのエントランスや公園のベンチで、持ち寄ったカードで遊ぶ子供達の姿を頻繁に見かけます。

このように公園で遊ぶというのは、今の小学生にとって必ずしも「体を動かして遊ぶ」ということを意味しているわけではありません。友達同士でカードゲームをする子供は、大まかに小学3年生あたりから増えてきます。

実際、小学1、2年生の頃は外遊びをしていても、学年が上がるとゲーム機やカードで遊ぶようになってくるのを目の当たりにしています。

ボール使用が禁止されてしまった公園

子供が外遊びしにくくなっている原因は、携帯ゲーム機やカードゲーム、そしてスマートフォンの存在だけではありません。

野球やサッカー、ドッジボールなどで遊ぶ際になくてはならないボールの使用を禁止する公園が増えてきています。筆者が住む町でも、昔からある小さな地域密着型の公園に数年前からボール禁止の立て看板が設置されました。

平日は夕方まで子供達が集まってドッチボールをしたり、週末になるとキャッチボールする親子の姿があったり、地元の人々に愛されている公園でした。しかし、役所の人が何の前触れもなく立て看板を設置したのです。「近隣に住む人から自治体に苦情が届いたらしい」という噂が広まりました。

長年何の問題もなく遊んでいたボールが突然使用禁止になったこともあり、公園周辺に子供を毛嫌いしている住民がいるのではないかと保護者の間で話題になりました。そして、多くの保護者が「子供の騒ぎ声を聞いて逆上する人がいるのかもしれない」という得体の知れない不安を抱いたのです。

筆者も含め、子供になるべくその公園で遊ばせないよう言い聞かせた保護者は多く、放課後になるとたくさんの子供達が集まっていた公園は人が寄りつかない場所になってしまいました。

体力低下の要因はスマホだけとは言い切れない

子供にとってスマートフォンは、1台でゲームもできればYoutube視聴もできるなど時間を忘れて使ってしまう魅力的なアイテムです。しかし、今の子供達を取り巻く状況を考えると、今回の体力低下の結果は必ずしもスマートフォンだけが問題とは言い切れません。

小学5年生の男子の体力が突然落ちたのではなく、幼児期からの外遊びの積み重ねがこれまで以上に少なく、体力の低下を招いているとも考えられます。日頃から運動する機会が奪われてしまえば必然的に基礎体力は落ちていくからです。

昔と違い、外でもゲーム機を使えたりカードゲームの人気など遊び方の質も大きく変わってきています。そして何より大きいのは、様々な制約がかけられて子供達から遊ぶ場所を奪ってしまっている現代の意識の変化なのではないでしょうか。

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