子どもが父親嫌いになった…我が子に夫の愚痴を言い続けた家族の悲劇
LIMO / 2020年2月11日 10時45分
子どもが父親嫌いになった…我が子に夫の愚痴を言い続けた家族の悲劇
家事に育児に目まぐるしく過ぎていく毎日。ひとりでのんびりお茶をしたり、趣味に没頭できる時間を持てたりしたのは、いったいつだろう…。そんな風に思ってしまうと、家事も育児も手伝わない、好きな時に飲みに行き、自分の趣味にお金をつぎ込む夫をうらやましく感じてしまいます。
そんな気持ちが積み重なり、ついつい子どもに夫の悪口を言ってしまう…。実はこれが大きな悲劇を生んでしまうかもしれません。
「お父さんなんて最低」
「後悔先に立たずとは、本当にこのことだと思いました…」と肩を落とすのは、Kさん。小学2年生の女の子のお母さんです。
Kさんのご主人は仕事がとても忙しく、Kさんはほぼワンオペでお子さんを育ててきたそうです。
「平日は帰りが遅く、休日には疲れているから、と家でゴロゴロする夫。そんな夫に不満が募り、つい娘に夫の愚痴を言ってしまっていました」
「お父さんはいいわよね〜、ああやって休みの日には家でゴロゴロして」「お父さんは私たちよりお仕事のほうが大切なのかもね」「ほんと、お父さんなんていてもいなくても一緒だわ」
自分だけがしんどい、自分だけが大変な思いをしている…そんな気持ちにさいなまれていたKさんは、「まだ小さいからわからないだろう」とついつい我が子に夫への不平不満を吹き込んでいたのだそうです。
「あれ?と思ったのは娘が幼稚園にあがったころでした」とKさんは振り返ります。
「夫は家にいるときは娘とスキンシップを取ろうとしています。でも、娘が『ヤダ!』と言ったときにすかさず私も『そうよ、パパ、イヤよね〜』と言ってたんです。それがいけなかったのでしょうか…。幼稚園の親子行事で、他の子どもたちはお父さんと楽しそうに遊んでいるのに、うちの娘は『パパ、イヤ!ママがいい!』とかたくなに夫を拒んでいたのです」
「俺、嫌われてるのかな…」と落ち込む夫。Kさんは「普段あまり家にいないし、休みの日に遊びに連れて行ってあげたりしないからよ」と辛らつな言葉を浴びせながらも、「うちの娘の嫌がり方は少しひどいな…」と心中穏やかではありませんでした。
でも、それは「夫と子どもの時間が少ないせいだ」と信じて疑わなかったKさん、相変わらず娘に「パパは仕事仕事で休みの日にどこも連れて行ってくれない」「ママがパパの代わりになってあげるからね」などと話しかけていたそうです。
どんどん夫を嫌う娘。娘に嫌われる夫にイラつくKさん…そしてついに事件が起こります。
「娘が小学2年生になってすぐのころ、夫が娘に『食事中に机にひじをついてはいけない』と注意したんです。すると娘が思いもよらない態度にでて…」
娘は夫をキッとにらむと「お父さんなんて大嫌い! なんでお父さんに叱られなきゃいけないの! どっかいっちゃえ! いらない!」と口ごたえをしたのです。「そんな言い方はよくない」とKさんがたしなめても「お母さんが幸せじゃないのはお父さんのせいなんでしょ! なんで私が悪いの!」と泣き出してしまったのだとか。
「あのときの夫の驚き、傷ついた顔は忘れられません。『そうか、俺はふたりにそんな風に思われていたんだね』と悲しそうに夫は言いました。それ以来、なんとなく夫婦間もぎくしゃくしています」
夫婦間の問題に子どもを巻き込まないで
夫の愚痴を子どもに言い続ける…これは、子どもから父親を奪う行為に等しい、と筆者は感じました。Kさんの娘は長年Kさんから父親の愚痴や悪口を聞かされてきたばかりに、「お父さんのせいでお母さんは不幸になっている。お父さんは悪者だ」と考えるようになってしまったのです。
さらに、敵であるはずの父親に反抗したら、なぜか母親が父親に加勢した。このことで、母親にも裏切られたような気持ちになったのではないでしょうか。子どもにとって絶対的な存在である父親を憎み、母親からは裏切られたと感じる…Kさんの娘の傷はいかばかりか、と心が痛くなってしまいます。
夫婦間にはいろいろな問題が起こります。時には夫に我慢ならないこともあるでしょう。しかし、「まだ小さいから」と子どもに夫の愚痴を言うのは、子どもの未来を悲しいものにしてしまう、と心得なくてはいけません。夫婦間の問題に、決して子どもを巻き込んではいけないのです。
まとめ
子どもに夫の愚痴を言ってしまうと、子どもは父親のことを「大好きな母親を苦しめる敵」だと思ってしまう、というのはよく聞きます。なぜなら、子どもに与える母親の発言の影響力は、とても大きいものだから。私たち大人が想像するよりも、ずっとずっと大きいものです。
母親が「ちょっと不満があったから愚痴っただけ。心底嫌いなわけではない」と思っていても、そこまで子どもがくみ取れるはずはありません。子どもにとっては大人が言った一字一句がすべて、なのです。
子どもには自分の味方になってほしい、と思う気持ちはわかります。でもそれが子どもをはけ口にしていい理由にはならないのです。
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