「叱る」けど「怒らない」私、怒らないママなんです。
LIMO / 2020年2月1日 19時50分
「叱る」けど「怒らない」私、怒らないママなんです。
最近話題になっている「叱らない育児」が取り上げられるたび、一部でバッシングされる叱らないママたち。「上手に育てれば自尊感情が高い子に育つけれど、私の周りはワガママな子ばっかり」「叱られないで育った子供はロクな者じゃない」なんて言われがちです。しかし、実際にバッシングを受けているのは本当に叱らない育児をしているママなのでしょうか。
「叱る」と「怒る」を区別してみた
街でみかける「好き放題暴れる子供を何もいわず見ている親」は、世の中で言われている本物の叱らないママではありません。これはやりたい放題の子供をただ野放しにしている「叱らない育児勘違いママ」と呼ぶべき人たちなのではないでしょうか。
叱らないで子供を育てるというのはかなりの技術が必要です。今回お話を聞いたNさん。「叱らないで育てること、私には到底できません。私は子供を叱ります。でも『怒らない育児』は目指しています」。一体何が違うのでしょうか。
二人のお子さんを育てているNさんですが、彼女は子供の頃に父親からこんな話をされたそうです。「お父さんは『怒って』いるわけじゃないんだ。お前が間違ってしまったことを『叱って』いるんだよ。」
その時は違いがよくわからなかったというNさん。しかし、成長するにつれ「悪いことをしたタイミングではなく、自分が不快なときに怒鳴ったり大きな声をあげるのは叱っているのではなく、怒っているということなのでは」と考えるようになったそう。その点に注意しながら両親をみていたところ、母親のある傾向に気づいたといいます。
「母は週末、疲れてくるとちょっとしたことにも腹を立て、私や弟に怒っていることに気が付きました。いつもだったら言われないような、ちょっと物が出しっぱなし程度のことにまで『自分のものくらい自分でやってよ!』という感じです。それが慣例化されているものだったら納得もできますが、これは完全に母の機嫌によるものでした。逆に、何度言っても傘さし運転を止めない弟に対し、母がその危険性をしつこく注意していたことがありました。これに関しては『本人や周囲のために危険な行為を止めさせるために叱っている』という印象を受けました」
そんな風に二つを切り離した結果、叱ると怒るは似ているものの、怒ることは自分次第で減らすことができるのではないか?と思うようになったといいます。
母になって実践
そしてNさんは結婚、出産を経験。長年考えていた「怒らないで叱る」ということを我が子に対して実践してみたそうです。
「よく街で『ほら、そんなことして怒られるよ!やめなさい!』なんて声掛けしているお母さんたちがいますよね。私はそれに対してすごく違和感がありました。誰かを怒らせるということは、その人に対し嫌なことをしているということ。全く関りのない人を怒らせるというのは、何か必ず原因があるはずです。そこを子供に理解させないのは注意として成り立っていないのではないか。そう考え、うちの子が第三者にご迷惑をかけそうになった場合は『なぜその行為が駄目だったのか』理由を加え、叱ることを目指しました」
確かに「怒られるよ!」という発言は、目の前の嫌なことから逃げたい子供に対して効果のある一言ではあります。しかし、それはその場しのぎに過ぎません。なぜその人が嫌な感情になったのか理解しなければ、次回同じことを繰り返すことも大いに考えられます。
「とはいえ、子育てをしたからわかったこともあります。それは、大人だって人間だということ(笑)。疲れもするし、余裕のないときだってある。何度いっても同じことを繰り返す子供に対し、単純に『いい加減にして!』と思うことが想像以上にありました。それを知ったことで『母もなるべく怒らないようにしてくれていたんだな』ということがわかりました」
そこでNさんが考えたのが「無理なスケジュールや理想は諦める」というものだったそう。確かに忙しいと怒ってしまう頻度はあがるものです。また、よその子供に比べ我が子ができていないなどの焦る感情は、子供のためを思って叱ることよりも、自分のモヤモヤをどうにかするための「怒り」が出てきてしまうことに気づいたそうです。
子供たちの変化
母としてのハードルを下げ「よその方に迷惑をかけてしまうことや子供にとって危険なことに絞って注意する」ことに専念したことで、お子さんたちにも変化があったそう。
「疲れるとついつい『あの時もそうだった!』といったセリフが出てしまうと思います。でも、子供は目の前のことで頭がいっぱい。ネチネチ言っても『親が怖い顔をしている』という情報しか入ってきません。だったら、もうこちらもいたってシンプルにしようと。『他の人が嫌な気持ちになってしまうよ』『それはケガをしやすいことだからやめようね』など、わかりやすい言葉で簡潔にしました。すると、子供たちのいつ私が怒るかチラチラ観察する頻度が減ってきました。気をつけていたつもりでも、子供は私の顔色を見ていたんだと反省しました。また、以前よりも『いけないこと』の基準がはっきりしたことで子供たちもその点は理解し始めたようです」
上を目指したらキリがない。しかし、感情に任せずキッチリと叱ることに集中したというNさん。悪いことをしているのにニコニコしている「野放し」ママにならず、ポイントを押さえて叱ることは「怒らない育児」になるのではないかと語ってくれました。
まとめ
叱らなくていいほど子供も自分も完璧な人間であれば、何も苦労はしません。しかし、そんな家庭はほんの一握りです。真面目に頑張るお母さんたちだからこそ悩む「また怒ってしまった」という気持ち。一生懸命子育てしているからこそ、怒ってしまうこともたくさんあります。子供はまだ世の中のことを知らないため、間違ったことをするのは仕方のないことです。そんなとき、感情をグッとこらえ、怒ることから叱ることへのチェンジを目指してみるのも一つの方法かもしれません。
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