パナソニックの冷蔵庫は”高嶺の花”!? 同社家電部門の営業利益は約3%と低水準
LIMO / 2020年2月8日 8時20分
![パナソニックの冷蔵庫は”高嶺の花”!? 同社家電部門の営業利益は約3%と低水準](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_15778_0-small.jpg)
パナソニックの冷蔵庫は”高嶺の花”!? 同社家電部門の営業利益は約3%と低水準
パナソニックだから、というブランド力を背景に若干高い価格設定で家電を販売していたパナソニック。しかしパナソニック製品が容易に手が届かない存在になっている実態を、冷蔵庫の購入時に感じることになりました。
それでもパナソニックの家電部門の利益率は約3%と低水準であり、同社の苦戦ぶりがうかがえます。
冷蔵庫の寿命は10年、買い替えを迫られる
昨年初め、10年使った冷蔵庫の調子が悪くなり業者の方に修理を依頼しました。応急措置をしてもらったものの「応急措置の効果は約1年、冷蔵庫の寿命は10年なので本来買い換えるべき」とのアドバイス。実際に1年後に再度調子が悪くなり、遂に買い替えを決断することになったのです。
その後、複数の家電量販店を訪問して冷蔵庫購入の検討を行う中で、白物家電で国内シェアの大きいパナソニックが検討リストにすら入っていない、と気付くことになりました。
以前から他社比で「若干高い」パナソニック製品
パナソニック製品の価格の特徴を一言でいえば、他社との類似製品なら若干高い、というものです。若干高くとも信頼のあるパナソニックブランドなら、と購入する消費者も少なくはないでしょう。ブランド力を背景に同種の製品を他社より高く売る力は、パナソニックの大いなる武器でした。
今回冷蔵庫購入の予算として用意したのは約20万円。量販店を巡って各家電メーカーの製品をリストアップしましたが、パナソニックの冷蔵庫は候補にも上がりません。20万円を多少超える程度なら許容範囲だったのですが、パナソニックは約25万円で完全に予算オーバーでした。
「メイドインジャパン」は高かった!
購入を検討したサイズの冷蔵庫は、多くのメーカーで20万円前後の価格の中、パナソニックは約25万円。以前のパナソニックなら22〜23万円程度の値付けだな、というのが学生時代に家電量販店で2年以上バイトしていた筆者の感覚です。
23万円までならパナソニックだから、との理由でギリギリ手が届く価格。絶妙な値付けがパナソニックの商売上手な所でしたが、今回そうはなっていません。
そして各社の価格差がどこから来ているかといえば、メイドインジャパンか否か。検討した冷蔵庫の中ではパナソニックともう1社のプレミア製品が日本製で、他は全て海外生産品。パナソニックの冷蔵庫が高いのは、国内生産が理由の1つであるのは明らかです。
ちなみに他社のメイドインジャパンのプレミア製品は約23万円であり、それを基準にすればパナソニックの価格には納得感がないわけではありません。
値段的に候補にならないパナソニック
家電製品の中でも白物家電は、モデルチェンジがあっても革新的な技術が搭載されることはほとんどありません。よって同レベルの製品は各社類似の価格設定となります。
シャープが鴻海の傘下入りし、東芝も白物家電を中国の美的集団に売却するなど、家電メーカーを巡る風景も随分と変化しました。
その中でメイドインジャパンを守り続けるパナソニックを応援したいのはヤマヤマです。しかし海外生産で他社製品の価格が下がる中、相対的にパナソニック製品の価格が高くなり、結果的に家電好きの筆者でも今回は候補にすら上がらない現実は注意を引きます。
企業は売上が上がらなければ何も始まりません。家電メーカーにとって売上も利益もボリュームが大きい冷蔵庫ですが、かつてのように「他社と比べて若干高い」ではなく「相当高い」パナソニックというのが実感です。
社会保障の負担感が増し、消費税も上がって消費者の懐事情が厳しい中、今やパナソニックの冷蔵庫は高嶺の花になってしまった感があります。
まとめ
「多少無理すれば買える」ならばブランド力や製品力がモノを言うかもしれませんが、「そもそも価格的に無理」では候補になりません。
実はパナソニックの家電部門の営業利益率は約3%(アプライアンス部門、2020年3月期Q2は3.3%、2019年3月期は3.1%)と高くありません。また、同社の2020年3月期(予想)は営業利益が対前年同期比▲27%減の3000億円となるなど、苦戦が予想されています。今回の冷蔵庫購入では、同社苦戦の一端が見えたように思います。
ブランド力を背景にした「他社の類似品より若干高い」という戦略は今後どうなるのでしょうか。冷蔵庫の寿命が来るのは約10年後です。次回はパナソニックが購入検討リストに入るのか、興味深く待ちたいと思います。
【参考】パナソニック株式会社決算資料(2018年度決算概要(https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/2018_full/financial_results_j.pdf)、2019年度第2四半期決算概要(https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/2019_2q/2q_financial_results_j.pdf)および連結決算概要(https://news.panasonic.com/jp/press/data/2019/10/jn191031-1/jn191031-1-1.pdf))
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