3人に1人が「とるだけ育休」!?男性の育休取得、これからどうなる?
LIMO / 2020年2月3日 19時50分
3人に1人が「とるだけ育休」!?男性の育休取得、これからどうなる?
昨年8月にフリーアナウンサーの滝川クリステルさんと結婚した小泉進次郎環境大臣が、第一子の誕生に合わせて2週間の育児休暇を取得すると発表しました。
日本の男性閣僚としては初めてとなる育休取得に対して、賛否両論さまざまな意見が上がっています。このニュースから、男性はどのように育休を取るべきか考えたいと思います。
“取るだけ育休” への懸念?批判の声とは
小泉氏の育休取得の発表は連日ニュースで取り上げられ、非常に話題となりました。この決断によって「これから男性も育休を取りやすくなるのでは」と期待を寄せる人も増えましたし、政界からも小泉氏を応援する声が多く上がっています。一方、育休取得を疑問視、反対する声も上がっているのが事実です。
小泉氏は育休の取得を2週間とし、国会審議や閣議には期間中でも出席するとしています。これに対し「結局は閣議などに参加し、仕事をしているのと変わらないじゃないか」といった批判の声や、「2週間という期間ならベビーシッターなど他の方法で育児参加すればいいのでは」などといった意見もありました。
このような意見は日本の現在の育休事情を反映しているといえます。
母親向けのスマートフォンアプリ「ママリ」を提供するコネヒト㈱が実施した調査(※1)では、育休を取得した男性が1日に費やした家事育児時間が「2時間以下だった」との回答が全体の32%となったことを発表しました。3人に1人が ”取るだけ育休” であるようです。さらに育休中の男性の家事育児時間が2時間以下の場合、育休を取得していない男性よりも家事育児の役割分担に対して女性が納得していないこともわかりました。
つまり “取るだけ育休” になってしまうのなら、育休を取得しないほうが女性側の満足度が高いのです。確かに期間や閣議への出席という文字だけを見ると、小泉氏の育休が「取るだけになってしまうのでは」との声が多いのも理解できます。
けれど先ほどの調査では、男性の家事育児時間が5時間以上になるだけで、92%の女性が家事育児の役割分担に納得できたという結果も出ています。つまり大切なのは、男性も家事育児への参加時間を少しでも多くし、男女共にその時間を分担することなのです。
小泉氏は向けられた反対意見に対して、実際にどのような育休期間を過ごしたか、具体的な時間や内容も含めて示す機会が今後必要なのかもしれません。
心も不安定になる時期、だからこそ男性の育休の必要性
別の調査によると、男性の育休取得自体には概ね満足していると回答している女性が70%以上となっています。その中には「一人じゃないという心の余裕につながった」といった回答が多く見られました。
厚生労働省の研究班が行なった調査(※2)では2016年までの2年間で、産後1年までに自殺した妊産婦は全国で少なくとも102人いたと発表ました。
この期間の妊産婦の死因では、がんや心疾患などを上回り、自殺が最も多かったという結果になっています。”産後うつ”とも言われるように、この時期の女性は子育てへの不安や生活環境の変化から、精神的に不安定になりやすいとされており、メンタル面のケアが非常に大切だと言われています。
男性の育休取得は、実際に女性の家事育児における負担を減らすだけではなく、不安定になりやすい時期の母親の心のケアを父親がするという役割も担うといえます。
ベビーシッターや保育園など、育児負担を減らすようなサービスももちろん存在しますが、精神的な支えとなることからも、男性=父親が育休を取ることは大切だといえます。
育休取得中の男性、または今後育休を取得したいと考えている男性は、ぜひ育休期間中にどう過ごすのか、女性の不安を取り除くためにも話し合ってみてはいかがでしょうか。
小泉氏の育休取得は日本の「空気」を変えるのか
小泉氏は今回の育休取得の表明にあたり「制度だけではなく空気も変えていかなければ、育休取得は広がっていかない」と決意を込めています。
海外に目を向けると、フィンランドでは男性の育休取得率が8割を超えています。フィンランドでは1998年に当時の首相が男性の閣僚として初めての育休を取得しました。そのニュースが男性の育休取得が広がった大きなきっかけになったといわれています。
小泉氏の決意もフィンランドの事例のように、これからの日本の男性の育休取得を後押しするきっかけになるといえるでしょう。だからこそ併せて、取るだけではなく "男性も家事育児に参加する育休取得をするべき" といった質にも目を向けられるように日本の空気を変えて欲しいと強く思います。
まとめ
男性は女性と家事育児を平等に分担するために、さらに不安定になりやすい産後の母親をケアするためにも育休を取得するべきだと考えられます。意味のある育休取得の必要性が広がって行くように、今回のニュースをきっかけとして育休の質にも目を向けられるよう、私たちは考えていくべきなのではないでしょうか。
【参考】
(※1)「パパ・ママの育児への向き合い方と負担感や孤立感についての調査(http://news.connehito.com/entry/childcare-survey)」コネヒト
(※2)「人口動態統計(死亡・出生・死産)から見る妊娠中・産後の死亡の現状(https://www.ncchd.go.jp/press/2018/maternal-deaths.html)」国立成育医療研究センター
「男性の3割が「とるだけ育休」夫婦で話し合いを(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200122/k10012254801000.html)」NHK ニュース
「妊産婦の死因、自殺がトップ 産後うつでメンタル悪化か(https://www.asahi.com/articles/ASL9473MVL94ULBJ00Z.html)」朝日新聞
「小泉進次郎氏の育休取得は“空気”を変えるか?フィンランドでは「もはやニュースではない」(https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e1ec3efc5b673621f6daa5d)」ハフポスト日本版
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