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公的年金制度が変わる! 2020年改正の3つのポイントと “人生100年時代”への影響

LIMO / 2020年2月9日 20時15分

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公的年金制度が変わる! 2020年改正の3つのポイントと “人生100年時代”への影響

昨年、5年に一度の公的年金の財政検証が行われました。「人生100年時代」や「老後2000万円問題」など、将来の年金不安が叫ばれている昨今ですが、今後、年金制度がどのように変化していくかは、私たちのこれからの生活に大変大きな影響を及ぼします。

2020年公的年金制度改正案のポイントを整理し、公的年金制度が今後どうなっていくのかについてみていきましょう。

2020年公的年金制度改正のポイントは大きく3つ

まずは、2020年公的年金制度改正の前提となる、2019年の財政検証について。財政検証でチェックされたポイントは、100年間を想定した財政均衡期間において、所得代替率が50%を維持できるかどうかです。

所得代替率とは、年金を受け取り始める時点(現状65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどのくらいの割合かを示すものです。もし、50%を維持できない場合には、法律で「給付及び費用負担の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずるものとする」とされています。

検証結果のポイントは大きく2つです。

1つ目は、所得代替率50%以上を維持するためには、今後の経済成長や労働参加が高い水準で進む必要があること。2つ目が、「被用者保険の適用拡大」や「保険料の拠出期間の延長」「受給開始時期の繰り下げ選択」が年金の給付水準を確保する上でプラスであるという試算結果が出たことです。

これらを踏まえて、2020年税制改正のポイントについてみていきたいと思います。

今回の年金制度改正のポイントは大きく3つです。

① 在職老齢年金の見直し
② 短時間労働者への適用拡大
③ 繰り下げ受給可能年齢の選択肢の拡充

以下、1つずつみていきましょう。

① 在職老齢年金の見直し

在職老齢年金とは、60歳以降に収入があり、厚生年金に加入しながら受け取る老齢厚生年金のことをいいます。

基本月額 {加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金の月額} と総報酬月額相当額 {(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12} に応じて年金額は減額され、一定額を超えると支給停止となります。

現行の在職老齢年金制度は、65歳未満の人は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が「28万円」を超えた場合、65歳以上の人は「47万円」を超えた場合、超えた分の半額が年金からカットされます。60歳代前半の方が基準額が低く、より少ない就労収入・年金で減額対象になりやすい制度となっています。

今回の改正では、この60歳代前半の基準額を65歳以上の47万円に揃えることになります。

これにより、60歳前半の働く高齢者の収入が増すことになります。ただし、そもそも厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられていく過程にあるので、完全に65歳支給開始になれば対象者はいなくなるため、今回の改正の恩恵は一部の世代に限られるでしょう。

② 短時間労働者への適用拡大

これまで健康保険の適用外だった短時間労働者(週30時間未満)に関して、適用要件を緩和して適用対象とするものです。

今回の改正により、これまで第一号被保険者や扶養に入っている第三号被保険者だった人が、第二号被保険者に区分がシフトすることになりますが、メリットは2つあります。

まず1つ目は、老後の年金受給額が増えることです。これまで、第一号や第三号被保険者は基礎年金のみでしたが、第二号になると、基礎年金+厚生年金となります。

2つ目が、就業不能時に所得補償として傷病手当金を受給することができるようになることです(注)。一方で、社会保険料負担の総額はこれまでより増えることになります。また、社会保険料負担は労使折半となっているため、短時間労働者を多く雇用している企業にとっては、負担増となります。

注:厚生年金保険と健康保険は被用者保険として一体適用が原則となっており、厚生年金の適用拡大に基づいて健康保険についても適用拡大になるために、本稿では傷病手当金について触れています。

【参考】第15回社会保障審議会年金部会(2019年12月25日)参考資料1「年金制度改革等に向けた提言 - 1.被用者保険の適用拡大」

③ 繰り下げ受給可能年齢の選択肢の拡充

現行制度では、支給開始年齢を65歳としているが、受給時期を前後5年ずらすことが可能であり、60歳~70歳で選べるようになっています。繰り上げた場合は、毎年の年金額は減額、繰り下げた場合には増額される仕組みとなっています。

今回の改正では、繰り下げ可能な年数を10年に延ばし、60歳~75歳で選べるようになります。より長く働き、繰り下げの選択を柔軟に行えるようにする観点です。なお、受給開始年齢の繰上げについては、減額率が見直しされ、▲0.5%/月から▲0.4%/月に減額率が小さくなります。

公的年金制度の改正と合わせて、私的年金である確定拠出年金の加入要件が拡大されます。現行、企業で働く厚生年金被保険者のうち、65歳未満の人が加入可能となっているのが、70歳まで引き上げられることになりました。

また、個人型確定拠出年金であるiDeCoも同様に加入年齢が引き上げられ、60歳未満が65歳まで引き上げられる予定となっています。65歳まで働く人が増えてくるなかで、税制メリットを5年多く受けられる効果は大きいでしょう。

iDeCoへの加入要件も緩和され、これまで利用できなかった一部の会社員でも加入できるようになる予定です。

おわりに

近年では、これまでと比べて60歳以降も働き続ける人が増え、老後の資金準備の考え方も変わってきています。年金制度も変化してきており、今後もさらに変わっていくことが想定できます。

今後の年金制度改正の内容を注意してみながら、ご自身の将来の生活設計と合わせてプランニングしていくことがより重要になってきます。

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