本当に消費増税の影響?「いなげや」の4~12月の営業利益40%減の理由
LIMO / 2020年2月7日 18時45分
本当に消費増税の影響?「いなげや」の4~12月の営業利益40%減の理由
「いなげや(8182)」の営業利益が前年同期比40%減となり、消費税増税の影響ではないかと話題になりました。その理由を考えてみましょう。
「いなげや」のセグメント別売上高・純利益は?
関東地方南部を中心に店舗を展開するスーパーマーケット大手チェーン「いなげや(8182)」が2020年2月4日に発表した「2020年3月期 第3四半期決算短信」(2019年4月1日~2019年12月31日)によると、営業収益は1,912億2,000万円(前年同期比0.7%減)、営業利益4億1,000万円(同39.9%減)、経常利益6億5,400万円(同30.3%減)、親会社に帰属する四半期純利益は1億6,900万円(同43.6%減)でした。
経費については、一般管理費や運送費が増加する中で経費全体の見直しにより580億900万円(同0.5%減)まで抑えることができましたが、天候不順や台風等の自然災害による影響や消費税増税の影響などもあり前年同期と比較して減益となりました。
セグメント別での売上高・純利益としては、主力事業であるスーパーマーケット事業では1,517億5,600万円(前年同四半期比1.2%減)、セグメント損失は9,500万円(前年同四半期は1億3,800万円のセグメント損失)でした。
一方で、ドラッグストア事業においてのセグメント別売上高は321億8,200万円(同1.3%増)、セグメント利益は2億9,700万円(同52.5%減)となりました。
注目すべきポイントは「ドラッグストア事業」
決算短信結果だけを見ると「いなげや減益で低調か」と思いがちです。
しかし、主力事業であるスーパーマーケット事業は、損失ではありますが前年同期と比較して損失額が減少しています。
ここで注目すべきポイントは「ドラッグストア事業のセグメント売上高に対するセグメント利益の少なさ」です。
まず、2019年11月に発表された「2020年3月期 第2四半期決算短信」(2019年4月1日~2019年9月30日)では、ドラッグストア事業のセグメント別売上高は217億7,500万円(同3.9%増)、セグメント利益は4億円(同7.1%増)でした。
これに対し、今回発表されたドラッグストア事業のセグメント利益は2億9,700万円です。
2019年10月~2019年12月までの間に売上高が約100億円増額しているにもかかわらず、利益が約1億円減少していることがわかります。
また、前年同期(2018年4月1日~2018年12月31日の売上高317億8,000万円 セグメント利益6億2,500万円)と比較すると、売上増額にもかかわらずセグメント利益が3億2800万円減益となっています。
「いなげや」の「2020年3月期第3四半期」の前年同期比減益額が2億7,200万円であるため、比較することで今期決算の前期比減益が、ドラッグストア事業に大きな原因があることがうかがえます。
ドラッグストア事業が増収減益となった原因は?
このような「増収減益」となった原因として、一般的には「災害等による特別損失」や「売上原価の増加」が考えられますが、「2020年3月期第3四半期決算短信」によれば、特別損失は前年と比較してむしろ減少しています。また、売上原価も前年と比較して減少しています。
決算書内では「ドラッグストア事業において5店舗の新設と11店舗の改装を行った」と記載されていますが、「いなげや」のドラッグストア事業の子会社である「ウェルパーク」の店舗新設や改装は、毎年のように行われています。
決算書には、この大きな増収減益に関する詳しいコメントが記載されていませんでした。
「中期3ヶ年経営計画」への投資が原因?
「いなげや」のドラッグストア事業の子会社である「ウェルパーク」では、2018年度より「中期3ヶ年経営計画」として「骨太体質の進化に基づく店舗主導型経営の確立」をスタートしていました。
主な取り組みとしては、ヘルス・ビューティー部門の専門性強化や、ウェルパーク独自の商品と売場を通じて「ウェルパークブランド」を発信することで、地域民の 「かかりつけ薬局」として、健康で豊かな生活をサポートするドラッグストアを目指して店舗作りを進めています。
2020年度は、この「中期3ヶ年経営計画」の最終年度にあたります。つまり、「中期3ヶ年計画の完成のため、ドラッグストア事業において何らかの投資を行ったために、増収減益となった」可能性が考えられないでしょうか。
2019年3月期は期純損失13億400万円となった「いなげや」ですが、今期の「親会社に帰属する当期純利益」の予想は1億円を見込んでいますが、今年度は達成することができるのでしょうか?次回の決算発表が注目されます。
【参考】
「2020年3月期 第2四半期決算短信[日本基準](連結)(http://www.inageya.co.jp/ir/pdf/20191105KT2Q.pdf)」いなげや
「2020年3月期 第3四半期決算短信[日本基準](連結)(http://www.inageya.co.jp/ir/pdf/20200204KT3Q.pdf)」いなげや
「2019年3月期 第2四半期決算説明会資料(http://www.inageya.co.jp/ir/pdf/20181109KSS2Q.pdf)」いなげや
「2020年3月期 第2四半期決算説明会資料(http://www.inageya.co.jp/ir/pdf/20191108KSS2Q.pdf)」いなげや
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