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私大の授業料は毎年アップ、それでも淘汰が待っている? 親の経済負担は重く…

LIMO / 2020年2月11日 20時20分

私大の授業料は毎年アップ、それでも淘汰が待っている? 親の経済負担は重く…

私大の授業料は毎年アップ、それでも淘汰が待っている? 親の経済負担は重く…

先日、最後となった大学入試センター試験も終了し、大学受験は最後のヤマ場を迎えています。既に私立大学の入試が始まっており、その後は国公立大学の入試が待っています。受験生の皆さんには最後の力を振り絞って頑張ってほしいと思います。

私立大学の平均授業料は8年連続で過去最高を更新

さて、現実問題として、おめでたい合格後に待ち受けるのが授業料などの経済的負担です。特に初年度は入学金や施設設備費などの費用に加え、私立大学では寄付金の納付もあります。多くの場合、家計への負担は決して小さくありませんが、昨今における大学の授業料はどうなっているのでしょうか。

文部科学省が昨年発表した調査によれば、2018年度(平成30年度)入学の私立大学の平均授業料は90万4,146円(対前年比+0.5%増)となり、8年連続で過去最高を更新しました。

また、入学金24万9,985円や施設設備費18万1,902円など諸費用を合わせた初年度納入額は133万6,033円(同+0.2%増)でした。これに、表向きは“任意”という寄付金を加えると、さらに数十万円(学部によっては百万円超も)は増えると考えられます。

なお、この授業料等の金額は全学部平均です。学部によって大きな差がありますが、後述する国立大学との比較の関係上、この平均値を用います。ちなみに、2018年度の私立大学の授業料(約90万4千円)を少し細分化すると、文系が約78万5千円、理系が約110万5千円、医歯科系が約286万7千円、家政・芸術その他が約95万8千円となっています。

いずれにせよ、受験勉強に打ち込んできた新入生が支払える金額でないことは明らかであり、一時的かどうかは別として、親(家計)の経済負担が大きくなることは間違いありません。

【授業料の推移】45年前は私立大学が約18万円、国立大学は4万円弱

ここで、初年度特有の費用がなくなった後の年間授業料(平均額)だけを見てみましょう。私立大学は前掲したように90万4千円ですが、国立大学は前年と変わらずの53万5千円でした。ちなみに、私立大学、国立大学の順序で授業料の推移を見てみると、以下のようになります。

1975年度:18万2千円、 3万6千円

1980年度:35万5千円、18万0千円

1985年度:47万5千円、25万2千円

1990年度:61万5千円、33万9千円

1995年度:72万8千円、44万7千円

2000年度:78万9千円、47万8千円

2005年度:83万0千円、53万5千円

2010年度:85万8千円、53万5千円

2015年度:86万8千円、53万5千円

2016年度:87万7千円、53万5千円

2017年度:90万0千円、53万5千円

2018年度:90万4千円、53万5千円

意外? 国立大学の授業料は15年間近くも据え置き

物価変動率などを考慮する必要があるので、30~40年前と単純比較するのは適切ではありませんが、授業料がほぼ一貫して上昇していることは確かでしょう。この授業料を4年間支払うことになる家計の経済的負担は大変厳しいものがあります。

まず注目したいのが国立大学の授業料です。さすがに私立大学よりは安いものの、一昔前のような“格安感”は消失しています。これは、国の財政難を受けて財務省(以前は大蔵省)が値上げに踏み切ったことが要因と言われていますが、単純な上昇率だけを見れば、私立大学を上回っています。

国立大学に入れば経済的負担が小さいというのは、現在では、私立大学との比較相対的な話と言っていいでしょう。

国立大学でもう一つ注目したいのが、近年の授業料の据え置きです。2005年度から国立大学法人化制度が始まり、各国立大学が、国の定める標準額を基準にして自由に決定することができるようになりました。したがって、現在の53万5千円は国が定めた標準額なのですが、実際にはほとんどの国立大学がこの標準額を授業料にしているようです。

53万5千円が高いか安いかは議論があるとは思いますが、15年近く値上げしていないという事実は見逃せません。

この国立大学の授業料据え置きは、私立大学にも少なからず影響を与えていると見られます。2005年度に始まった国立大学法人化まで、国立大学の授業料値上げは“国私間の格差縮小”となって、私立大学側に追い風だったと考えられます。

しかし、その後は少子化による受験者数の減少が顕著となり、私立大学の重要な収入源の1つである“入試受験料”が大きく減っています。そのため、“本当は授業料をもっと値上げしたいけど、あまり値上げできない”という私立大学の苦悩を見て取ることができます。

国立大学の授業料据え置きが、私立大学の経営を圧迫している一因となっており、私立大学は国立大学の授業料値上げを待ち望んでいると見るのは、うがった見方でしょうか?

授業料の値上げ実施は私立大学の淘汰を一気に進める可能性も

実際、財務省と文科省の判断一つで、国立大学の授業料が再び値上げになる可能性は十分あるでしょう。しかし、その時に、私立大学が大幅な授業料値上げに踏み切れば、最終的には家計への負担増に結びつくのは明白です。その場合、大学進学者の減少が加速し、既に顕著になりつつある私立大学の淘汰が一気に進む可能性は高いと言えそうです。

私立大学にとっては、授業料を上げるのも地獄、下げる(上げられない)も地獄なのかもしれません。

【参考】「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について(https://www.mext.go.jp/content/20191225-mxt_sigakujo-000003337_1.pdf)」「国公私立大学の授業料等の推移(https://www.mext.go.jp/content/20191225-mxt_sigakujo-000003337_5.pdf)」(文部科学省)

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