「幸せはお金で買えない」はウソだった!? お金の使い方で変わる幸福度
LIMO / 2020年2月12日 20時15分
「幸せはお金で買えない」はウソだった!? お金の使い方で変わる幸福度
「お金はあればあるほど幸せ」という言葉がある一方で、「幸せはお金では買えない」とも言われています。
たしかに、世の中はお金がすべてではないのかもしれません。世の中にはおもしろい実験があり、“幸せになるためのお金の使い方”を解き明かしているものもあるのです。つまり、お金は“どれくらいあるのか”ではなく、“どう使うか”が幸せになれるかどうかのカギということになります。
本記事では、幸せになるためのお金の使い方についてご紹介していきましょう。
幸せになるためのお金の使い方「ハッピーマネーの原則」
みなさんは「ハッピーマネーの原則」という言葉をご存知でしょうか?
簡単に言うと“幸せになるためのお金の使い方”の5つのコツのことで、書籍『「幸せをお金で買う」5つの授業』にて経営学教授のマイケル・ノートン博士が挙げているものです。
一説として“お金持ち=幸せ”という概念があるものの、一方で“幸せはお金で買えない”という言葉を耳にしたことはありませんか? しかし、ノートン氏は講演にて「“幸せはお金で買えない”というのは嘘である」と述べています。
ノートン氏が挙げている「ハッピーマネーの原則」は、以下の5つです。
経験を買う
ご褒美にする
時間を買う
先に支払って、あとで消費する
他人に投資や寄付をする
ノートン氏は、上記いずれかを満たせば、使う金額にかかわらず幸福度や満足度が上昇するとしました。
また、この原則は個人だけではなく企業などの組織でも応用することができます。実際に、従業員や顧客が「ハッピーマネーの原則」の実践を推し進めることで、企業によい影響があったという事例も報告されているようです。
1つ1つが興味深い内容ではあるのですが、本記事では原則5つ目の「他人に投資や寄付をする」に着目をして、幸せになるためのお金の使い方を追求していきたいと思います。
お金を他人のために使うことで幸福度が高まる
会社員の方やアルバイトをされている方は、お給料を受け取ると「欲しかった服を買おうかな」「来月の旅行資金にしよう!」など自分のためにお金を使うことをメインに考えるという方が多いのではないでしょうか?
もちろん、ずっと欲しかった服を購入した時や、行きたかった旅行が叶った瞬間の喜びというのは非常に大きいですよね。逆に、自分自身のために使うお金が減ってしまったらストレスを感じるのではないか?と考えてしまうでしょう。
しかし、真実はそうではありません。
心理学部准教授であり書籍『「幸せをお金で買う」5つの授業』をノートン氏と共に執筆したエリザベス・ダン准教授らによる「向社会的支出と幸福」に関する実験では、お金は自分自身のためではなく、寄付など他人のために使った方が幸福度の上昇に繋がるということが判明したのです。
彼らはどのような実験をおこなったのかというと、まず学生を複数人集めてそれぞれに5~20ドルを渡しました。
その後、学生を2つのグループ(Aグループ・Bグループに分けたとします)に無差別に分けて、渡したお金についてAグループには「自分自身のために使う」ように指示を出し、Bグループには「他人のために使う(向社会的支出といいます)」ように指示を出しました。また、どちらのグループも当日中に使い切るようにとしました。
そこでお金を使う前と後で幸福度を計測し比較した結果、お金を「他人のために使う」ように指示されたBグループの学生の方が、Aグループに比べて幸福度が高まっているということが分かったのです。
しかも、学生には5~20ドルと金額の幅を持ってお金を渡したものの、金額に大小に関わらずBグループの学生の幸福度は上昇していました。
きっと「より多くのお金を使った方が幸福度は高まるのでは?」と思った方もいらっしゃるでしょう。そう思ったのはノートン氏やダン氏も同じで、「予測は間違っていた」と彼らは述べています。
実験から個人や組織は自分自身のためにお金を使うよりも、他人のためにお金を使った方が満足度や幸福度はより高まるということが明らかになりました。
たとえば日本でも、2011年3月11日に発生した東日本大震災に関して、被災者に寄付をしたことが幸福度の上昇に繋がっていることを示した研究が発表されています。
「金銭的には満たされているはずなのに、幸せが感じられない…」という方は、困っている他人のためにプレゼントや寄付をすることから始めてみるといいかもしれませんね。
まとめ
お金は、自分自身のために使うよりも他人のために使う方が幸福度の上昇につながるという研究を見てきました。
だれにでも当てはまることですが、お金の使い道について考えていると、どうしても自分自身の利益を優先してしまうものです。常に“自分自身の利益=幸せ”が成り立つわけではないというのは意外でしたね。
他人のためにお金を使うことは自分自身の幸福度を高める効率的なルートだということを知っておくと、自然とお金の使い方の幅が広がり、人生がより豊かになっていくかもしれません。
【参考】
・「Prosocial Spending and Happiness: Using Money to Benefit Others Pays Off(https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0963721413512503)」(Elizabeth W. Dunn, Lara B. Aknin, Michael I. Norton)
・「東日本大震災が生活満足度と幸福感に与えた影響(https://www.pdrc.keio.ac.jp/uploads/892846dea908b6344b0dfd7dcd269c8e.pdf)」(石野卓也、大垣昌夫、亀坂安紀子、村井俊哉)
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