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「趣味が仕事になった」という人は要注意?「やりがい搾取」の罠

LIMO / 2020年5月19日 18時45分

「趣味が仕事になった」という人は要注意?「やりがい搾取」の罠

「趣味が仕事になった」という人は要注意?「やりがい搾取」の罠

「やりがい搾取」という言葉が注目を集めています。

仕事にやりがいを感じることは充実にもつながり、モチベーションも保ちやすくいいこと尽くしです。しかし、その「やりがい」を都合よく利用され、支払われるべき報酬が得られないということが、近年大きな問題となっています。

そこで今回は、やりがい搾取の影響やターゲットになりやすい人の特徴、対処方法についてまとめました。

「やりがい搾取」とは?

「やりがい搾取」とは、東京大学大学院教育学研究科教授である本田由紀氏が作った言葉です。人によって給料やスキルアップ、人のためなど、どこにやりがいを感じるかはさまざまですが、仕事に対してやりがいを感じるというのはメリットとなることが多くありますよね。

そのやりがいを雇用主などに不当に利用され、報酬以上の仕事を求められたり長時間の労働を強いられたりすることを「やりがい搾取」といいます。このやりがい搾取にはさまざまな影響や問題点があり、今でも話題となっています。

やりがい搾取の悪影響

経済面での損失

やりがい搾取の悪影響はいろいろあります。例えば、長時間働いても正当な賃金を得られなかった場合、経済的に損をしてしまうことになります。最初のうちは少しの誤差かもしれませんが、やりがい搾取が長期間続くと損失はどんどん膨らんでいきます。

心身の苦痛

正当な報酬が支払われないにも関わらず働き続けていると、「もしかして自分はやりがい搾取にあっているのかもしれない」と考えるかもしれません。しかし、誰に訴えればいいのかわからず抱え込んでしまい、精神面で大きな負担となってしまうことも考えられます。

また、やりがいを感じて長時間働き続けていると、身体を休める時間が少なくなってしまい体調を崩してしまうことも。転職をしようか考えても、長時間労働により転職先を探す時間がなく、心身への負担がどんどん溜まってしまった結果、働けなくなってしまうこともあります。

やりがい搾取の問題点

労働者の扱い

やりがい搾取の問題点は、多々あります。1つめは、労働者の扱いです。いくらやりがいがあるといっても、そのやりがいを理由にいつまでも正当な賃金が支払われず、長時間働いているとモチベーションの維持が難しくなってきます。

また、やりがい搾取を理由にどんどん人が離れていき、一人一人の負担がさらに大きくなってしまうという問題が発生する場合も。過労以外にも、やりがいを理由にしたパワハラなどが起こることも考えられます。

やりがい搾取のターゲットになりやすい人とは?

新たな職場で働き始めた人

新卒の社会人や社会復帰した人などは、やりがい搾取に注意が必要です。新たな仕事を始めたやる気にあふれているタイミングで、やりがい搾取にあってしまうこともあります。

また新人だからといって、思っていることを心の中にしまってしまいずるずるとやりがい搾取の被害を受けてしまう場合も。

趣味を仕事としている人

アニメーターや声優、漫画家など自身の趣味を仕事としている人もやりがい搾取には気をつけたいところです。

この場合、自分の趣味を仕事としつつ、賃金をもらえるのだからあまりわがままは言えないと考えてしまう人も。また、やりがい搾取にあっているのでは、と思っていても、もし意見を言ったら仕事がなくなってしまうのではないかという不安もつきまといます。

真面目で他人のためにと思ってしまう人

責任感がある人は、「ほかの人も自分と同じ立場なのだから、我慢しなければいけない」と思って頑張りすぎてしまうことがあります。また、自身が休んだり仕事を辞めたりしたとき、職場の人に迷惑をかけてしまうと考えて、やりがい搾取から逃げられなくなってしまうことも。

真面目に働き、人のためにという考えを持つことも大切ですが、自身の心身の健康に不調が生じる前にやりがい搾取から逃げることも重要です。

やりがい搾取への対処方法

自身の労働環境を振り返る

自分がたくさん働くことで人の役に立っていると思っていたり、充足感があるため不当な報酬でも長時間働いてしまったりしている人は、まずは自身の労働環境を振り返ってみることが大切です。

自分がやりがい搾取にあっているとは思ってもみなかったり、薄々気づいてはいたけれど認めたくなかったりするかもしれません。「ちょっと変だな?」と思ったら、客観的に自身の労働環境を見つめ直してみましょう。

心身の健康について考える

会社や人のためになるならば、と頑張ることは悪いことではありません。しかし、やりがい搾取にあって休む時間もなく働き続けていては、いつか体調を壊してしまいます。

「少し疲れたけれど、まだ大丈夫」ではなく心身に不調を感じたら休むことも大切です。

気づいたら転職も視野に

「もしかしてやりがい搾取にあっているのかも?」と感じたら、その会社で働き続けるよりもすぱっと見切りをつけ、転職するのもおすすめです。転職活動ができる体力や気力が残っているうちに行動しなければ、気力がすり減ってしまい、なかなか転職先を探すことができなくなってしまう場合もあります。

相談する

やりがい搾取にあっているのではと思ったら、一人で抱え込まずに相談することも頭に入れておきましょう。公的機関や弁護士など、やりがい搾取に関して知識がある人に現在の労働状況を相談すれば解決に向かうきっかけになることも考えられます。

今だからこそ…「やりがい搾取」を考える

やりがい搾取についてご紹介しました。仕事にやりがいを感じて充足した毎日をすごすのはいいことですが、「もしかして自分はやりがい搾取の被害にあっているのでは?」と思ったら、自身の労働環境を見直してみることも必要です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止から、テレワークを導入した企業も増えています。自宅でいつでも仕事ができる状態は、休憩を取りにくい状態であるともいえます。残業時間の管理も難しい場合があり、長時間労働となってしまっている人もいるようです。また、上司の監視が厳しくなかなか休めなかったり、そもそもCOVID-19への対応を何もしないなど、今回のコロナ禍で「あれ?」と思うようなことがあった人もいるかもしれません。

このような時こそ、自身の労働環境を振り返るチャンスです。

参考

(https://www.amazon.co.jp/gp/product/4309410901/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4309410901&linkCode=as2&tag=navipla-22&linkId=a9bf2eb20fdec17cb15e51d05cd2c7a5)

『軋む社会―教育・仕事・若者の現在』(河出文庫)(https://amzn.to/3cI6Fcm)
著者:本田 由紀
発売日:2011年6月4日
定価:760円+税
刊行:河出書房新社

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