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『パラサイト』の作品賞受賞…2020年アカデミー賞は「#OscarsSoWhite」の流れを断ち切った?

LIMO / 2020年2月18日 19時45分

『パラサイト』の作品賞受賞…2020年アカデミー賞は「#OscarsSoWhite」の流れを断ち切った?

『パラサイト』の作品賞受賞…2020年アカデミー賞は「#OscarsSoWhite」の流れを断ち切った?

世界最大の映画の祭典、アカデミー賞が今年も発表されました。第92回となる今回は最も名誉あるとされる作品賞を外国語作品『パラサイト 半地下の家族』が受賞し、アカデミー賞始まって以来の出来事と話題になりました

『パラサイト』だけでなく異色の作品が多数ノミネートされていることや、日本人として初めて松たか子さんがパフォーマンスを行ったことなど、今年のアカデミー賞は歴史に残るものになったと言われています。その理由はどこにあるのでしょうか

史上初の外国語映画が受賞!

毎年アカデミー賞はノミネート作品が発表されてから、他の映画賞の受賞歴や話題性などからどの作品が作品賞を受賞するのか各方面から予想が行われます。今年の作品賞の最有力候補と考えられていたのは『1917 命をかけた伝令』でした

第一次世界大戦を舞台とし、2人のイギリス兵士を主人公としたまさにアカデミー賞の候補作として王道とも言える作品です。アカデミー賞の前哨戦として注目されるプロデューサー組合賞を受賞したこともあり、例年であればおそらくこの映画が受賞したのではないかと言われていました。

その下馬評を覆し、今年は韓国映画の『パラサイト』が作品賞を受賞したのです。アカデミー賞の作品部門が外国語映画に与えられるのは史上初のこと。加えて、韓国映画がノミネートされること自体初めてのことだったため、1929年から始まった約90年のアカデミー賞の歴史がまさに塗り替えられたのです。

歴史を変える受賞の裏には、『パラサイト』の作品としての高評価がありました。貧しい生活を送る主人公一家が、裕福な家庭に寄生していく様子を描いた作品は、”半地下”という韓国ならではの経済格差や家の構造を題材とし、コメディやサスペンスなど多様な要素を織り交ぜながら展開していきます。

この作品独自のストーリーが口コミで全米に広がり、アメリカでは英語以外の作品として史上8位の興行収入を記録しています。様々な映画賞も受賞しており、国境や言語を超えて作品の面白さが評価されたため、今回の快挙に至ったのではないでしょうか。さらにこの快挙の裏には、近年のアカデミー賞に関する背景も大きく影響しているのでは、と言われています。

#OscarsSoWhite の流れを断ち切る多様な受賞作

2000年代前半頃まで、アカデミー賞を決めるアカデミー会員のほとんどを白人男性が占めていたと言われています。さらに2015年、2016年と2年連続で俳優賞にノミネートされた俳優が白人だけだったことから、アカデミー賞は「白すぎるオスカー(#OscarsSoWhite)」と揶揄されました。

それを受け、ウィル・スミスの妻で俳優でもあるジェイダ・ピンケット・スミス氏や、映画監督のスパイク・リー氏がオスカーをボイコットすると発言。社会的にも痛烈な批判を受けたことから、それ以降のアカデミー賞では人種、性別、年齢など多様性を反映していくことになります。

実際に2019年のアカデミー会員の招待者を見ると、女性の割合は50%と過去最多、有色人種の割合は29%、出身国は59カ国となっています。このような背景もあり、ついに外国語映画が作品賞を受賞することになったのではないでしょうか。

さらに今年のアカデミー賞は、R-15指定の作品ながら悪役を見事に演じた怪演が評価され『ジョーカー』のホアキン・フェニックス氏が主演男優賞を初受賞したり、制作会社として動画配信サイトのNetflixが、その他の大手映画会社を上回る24部門にノミネートされるなど、異例とも呼べる受賞・ノミネートが相次ぎました。この多様性は社会的な批判からの転換を経て、より純粋に作品自体の魅力や話題性が評価されるようになった証だと考えられます。

日本人が活躍する未来へ

受賞に限らず、2020年のアカデミー賞では日本人史上初の出来事もありました。歌曲賞にノミネートされた映画『アナと雪の女王2』の楽曲「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」を、日本人としてはじめて女優の松たか子さんが各国の歌手とともに披露しました。伝統を重んじた着物でレッドカーペットを歩いた松たか子さんの美しさは、日本だけでなく世界中からも注目を集めることになりました。

『パラサイト』の快挙はアジア映画初の快挙とも言えます。受賞こそは逃しましたが、第91回のアカデミー賞では外国語映画賞に『万引き家族』がノミネートされるなど、日本映画の作品名も目にするようになりました。今年のアカデミー賞の追い風を受けて、日本映画が作品賞を受賞する未来も遠くないのかもしれません。

まとめ

外国語作品が作品賞を受賞した異例とも言われるアカデミー賞。けれど時代背景に合わせ、この出来事が異例ではなく、純粋に作品の魅力をもって選ばれていく未来が期待されています。これからも私たちの生活に彩りを与えてくれる映画の世界、多様性を反映したアカデミー賞から目が離せません。

【参考】
「「パラサイト」が」アカデミー賞を受賞できた理由(https://toyokeizai.net/articles/-/329890)」東洋経済オンライン
「「アメージングな歌手だ」松たか子がアカデミー賞で披露した着物姿に世界から絶賛の声(https://encount.press/archives/24868/)」ENCOUNT
「アカデミー賞の俳優部門が2年連続白人のみ。監督、俳優などがボイコットの動き。(https://rockinon.com/blog/nakamura/137564)」rockin’on.com
「アカデミー賞を決める「有権者」はどんな人々か(https://president.jp/articles/-/32839)」PRESIDENT Online

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