ちょっと複雑な「NISAの5年延長」の仕組み。何が変わるのか?
LIMO / 2020年3月15日 19時40分
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ちょっと複雑な「NISAの5年延長」の仕組み。何が変わるのか?
なぜ今、NISAが5年延長されるのか
2019年12月29日に「2020年税制改正の大綱」が閣議決定されました。そのなかにNISA(少額投資非課税制度)の延長が盛り込まれました。
具体的には、一般NISAは現在の制度では2023年の非課税枠(上限120万円)設定まで認められていましたが、2024年以降は制度がなくなる建付けでした。そのため、2019年に投資した資金は2023年末に5年の非課税期間が終了した段階で、移管(ロールオーバー)する先がありませんでした。
今回の制度の5年延長で2024年の非課税投資枠が設定できることになりましたので、ロールオーバー先が明示され、投資がしやすくなります。
また、2018年にスタートしたつみたてNISAは、非課税期間が20年と長いために一般NISAのようなロールオーバーの問題は起きていませんが、制度が2037年末で終わることから、2019年に投資を始めた人は非課税口座開設が19年分しかありません。
20年間、年間40万円の上限で非課税口座が開設できることから、投資総額は800万円になるといわれていましたが、実際には19年分になれば、総額は760万円になります。放っておけば、毎年口座開設年数が減っていきますから、その分、投資総額が減ることになります。
これを避けるために、制度の終了を従来の2037年から2041年に5年間延長し、当面の間は新たに投資を始めた人が、投資総額800万円を確保できるようにしたものです。
2階建ての新NISA
一般NISAが5年間延長されたと述べましたが、実際には2024年からは新しいNISAがスタートすると考えた方が正しいようです。というのも、2024年以降にはNISAは2階建ての制度に生まれ変わるからです。
具体的には、積立投資が非課税口座開設の条件となります。投資対象もつみたてNISAで承認された投資信託だけとなり、この積立投資を1階部分(上限額20万円)として、これを実施しなければ残りの2階部分での投資信託を使った投資(年間上限額102万円)は認められません。
例外として、すでに投資経験のある方で、2階部分で上場株式に対する投資のみを行う場合に限り、1階部分の積立投資をしていなくても2階部分を使うことができるようになっています。
また2階部分での投資対象からは、上場株式では整理銘柄・管理銘柄を除くほか、レバレッジを掛けるためにデリバティブを使った投資信託も適用外となる見込みです。
現制度からのロールオーバーでより長期の資産運用が可能に
次に、すでにNISAを使っている人が新NISAへ移行するという目線で見ていきましょう。
2019年の投資枠を使って投資をしている人は2023年末で非課税投資期間が終了しますから、今度は2024年の新NISAに資金を移管(ロールオーバー)することができます。
現在の一般NISAでの投資対象は原則102万円の2階部分に時価で移管することになりますが、102万円を超えた金額は1階部分の枠も使ってしまいます。そのため移管総額が122万円を超えていると、1階枠での投資ができないことになります。
また2024年に新NISAの1階部分で積立投資を行った資金は、非課税期間5年後の2029年には簿価でつみたてNISAへと移管することも可能になります。
いずれにしても、この新NISAはちょっと複雑ですので、まずは「5年延長されることになったので長期投資を続けるためにはメリットがある」といった程度に理解をして、正式に法律が成立してからさらに詳しい情報をもとに理解することをお勧めします。
新NISAの概念図
(/mwimgs/d/7/-/img_d79b4876dfd73859c8d64168f8dc9f2f139958.jpg)拡大する(/mwimgs/d/7/-/img_d79b4876dfd73859c8d64168f8dc9f2f139958.jpg)
出所:税制改正大綱などを参考にフィデリティ退職・投資教育研究所作成
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