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孫にキレる父を見て、蘇った記憶…虐待されていた私と妹たち

LIMO / 2020年3月2日 10時0分

孫にキレる父を見て、蘇った記憶…虐待されていた私と妹たち

孫にキレる父を見て、蘇った記憶…虐待されていた私と妹たち

筆者の父には、幼い孫が5人います。一年のうち、ほんの数日しか会えない孫たちと過ごしている間でも、ふとした瞬間にブチ切れる父…。子どもは予測不能な行動をするものですが、父はその予測不能な行動を受け入れることが苦手なようです。

そんな父親の姿を見て、ずっと忘れていた、もしくは無意識に閉ざしていた記憶が徐々に蘇ってきたのです。筆者も幼い頃、父からさまざまな虐待を受けていたことを…。

幼稚すぎる理由で孫に手をあげた父

筆者には、4歳と2歳の息子がいます。そして筆者の妹2人にもそれぞれ子どもがおり、両親にとっての孫は計5人。

筆者をはじめ、妹たちも実家から離れた場所に住んでいるため、両親が孫とふれあえる機会は長期休暇の帰省時のみ。そのため実家への帰省が決まったことを連絡すると、毎度、両親ともに大変喜んでくれます。

とにかく早く孫と会って一緒に遊ぶのを心待ちにしている母。子どもが好きなおもちゃを用意したり、遊びに行く計画を立てたりしてくれている父。そんな両親のもとに子どもを連れて帰るのを筆者も心から楽しみにしていました。

しかし、ある出来事をきっかけに、実家で過ごすことに恐怖を覚えるようになりました。

その出来事は、筆者の家族に加え、妹とその娘2人が同じタイミングで帰省したときのこと。同窓会に参加するため妹が不在の間、筆者が子ども4人と過ごしていました。

にぎやかで楽しい時間が流れていたのですが、ふと気づくと6歳になる妹の上の子が、父に腕をつかまれて無理やり玄関に引きずられて行くのが見えました。慌てて追いかけたその瞬間、怒号とともに父はいつもかわいがっている孫娘の頭に拳を振り落ろしたのです。

父が子どもに手をあげるなんて想像もしていなかった筆者は、殴った理由を問い詰めました。すると、父は「自分の大切なマンガ本に触ったから」と。父が発した幼稚すぎる理由と行き過ぎた行為に怒りを覚えると同時に、なんだか覚えがあるような不思議な感覚を味わったのです。

意識の奥にしまい込んでいた幼少期の記憶

筆者の性格を言い表すなら、まさに「猪突猛進」。これまでの人生、目の前の課題をクリアするために夢中で生きてきたように思います。常に前しか向いていないので、過去に起こった嫌なこともすぐに忘れられるのが長所です。

ところが、「マンガ本に触った」という幼稚な理由で孫娘を殴った父を見た一件から、忘れるというのは記憶から完全に消えることではなく、“脳の奥にしまい込んでいるだけで、ちゃんと残っている”ということを思い知らされることに…。

筆者の幼少期、母はバリバリのキャリアウーマンだったため、土日に父と子どもたちだけで過ごすこともありました。記憶をたどると長女である筆者が6歳くらい、妹たちが4歳、2歳くらいまでの出来事だと思います。

駄々をこねた妹をかかえあげ、玄関から外に投げ飛ばす父…

何かを嫌がる妹を風呂場に連れて行き、妹の顔を浴槽に沈める父…

暑くてたまらない競艇場の駐車場の車内。ちょっと用事があると言って何時間も帰らなかった父…

それまで、一度も思い出すことのなかった恐ろしい記憶が、どんどん蘇ってきました。そんな父の行動について、下の妹の記憶には残っていないようですが、筆者と年子である上の妹はいくつか共通する記憶があると言います。

人には、それぞれ得手不得手があります。筆者の父親は、緻密な作業をコツコツとこなすことが得意。しかし、自分のペースを崩されることが苦手なタイプの人間です。そして父が苦手とする最たるものが“子育て”なのでしょう。

なぜなら、予測不能な事態が次々と起こるから。子どもの行動が自身の許容範囲を超えた瞬間、制御不能な状態に陥ってしまうのだろうと考えています。

父の個性を尊重しつつ、わが子を守るために決めたこと

父は子どもが嫌いなわけではありません。前述のとおり、孫たちと遊ぶ計画を立てたり、おもちゃを買い与えたり、冗談のうまいユーモラスな一面もあります。しかし、自我が芽生え、行動範囲が広がり、好奇心旺盛かつ言葉が発達途上にある時期の子どもへの接し方が致命的にわからないのだと思います。

筆者の家族は現在も、長期休暇を利用して実家へ帰省しています。しかし、やんちゃ盛りの子どもたちが一気に押し寄せるとキャパオーバーし、突如大声を張り上げたり、家を出て行ったりしてしまう父。そんな父のパーソナルな部分は今後も変わらないでしょう。

そのため、筆者の夫をはじめ妹家族全員に、父の子どもに対する言動の特徴を伝えています。そして、和やかに遊んでいるように見えても何気ないことで怒りが沸点に達することがあるため、決して父と子どもたちだけにしないこと。誰かがいつも側にいて、父や子どもたちと一緒に過ごすことを決めました。

わが子や姪っ子たちが筆者と同じ恐怖を味わうことのないよう、そして父が孫たちにとっていつまでも良いおじいちゃんであるように。

親になるすべての人に、子育ての能力が備わっているわけではない

世間では、虐待によって幼い命が奪われるという悲しい事件が多発しています。中には、「親の年齢が若すぎたから仕方がない」と結論づけられることもありますが、若くてもしっかりと子育てができる人はたくさんいます。

反対に、3人の親であり、5人の祖父であるにもかかわらず、子育てが不得意な父のような人間もいるでしょう。子育てに向いていない人は年齢に関係なく存在することを理解し、身近な子どもたちが傷つけられることのないよう、しっかりとアンテナを張っておく必要があるのではないでしょうか。

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