令和のフトコロとココロの事情~みんなの年収と心の豊かさはどれくらい?~
LIMO / 2020年2月22日 19時15分
令和のフトコロとココロの事情~みんなの年収と心の豊かさはどれくらい?~
「目指すは年収1000万円!」サラリーマンのなかには高い目標に向けてキャリアアップに励む人もいるでしょう。一方、2020年4月からスタートした「同一労働同一賃金」の影響によって、正規雇用者の年収が下がるのではないかと懸念する声も出てきています。(ただし、中小企業は2021年4月から)
また、AI(人工知能)の飛躍的な進化によって近い将来消える職業が増えるとも予想されており、「自分の仕事は大丈夫なのか?」と、ばく然とした不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
インターネットの普及によって、私たちの生活は加速度的に変化しています。さらに、景気の動向や相次ぐ自然災害など先が読めないことばかり。この不透明な時代、未来に向けて「今できることは何なのか」を考えるため、まずは現状を押さえておきましょう。最新のデータをご紹介しながら、令和時代を生きる人々の”フトコロ”と“ココロ”の事情に迫ります。
みんなのフトコロ事情~平均給与はどのくらい?~
令和元年に国税庁が公表した『平成30年分民間給与実態統計調査(※1)(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf)』によると、1年を通じて勤務した給与所得者5026万人の中で、年間給与額が1000万円を超えているのは全体のわずか5.0%でした。また、1人当たりの平均給与は441万円で、男性は545万円、女性は293万円となっています。
つぎに、給与から税金などを差し引いた実際の手取り額をご紹介します。令和元年に金融広報中央委員会が公表した『家計の金融行動に関する世論調査』(※2)(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/)』をもとに、二人以上世帯と単身世帯のそれぞれについて、年代別年間手取り収入の平均値と中央値を見ていきましょう。(グラフ「年代別年間手取り収入」参照)
いずれの年代でも、単身世帯より二人以上世帯のほうが、年間手取り収入(税引後)が多くなっています。共働き世帯が一般化しているため、稼ぎ手の多い二人以上世帯で収入が多くなるのは、ある意味当然のことといえるでしょう。
年間手取り収入の平均値・中央値は、二人以上世帯では年代が上がるにつれて増加して、50歳代でピークになることがわかります。一方の単身世帯では、二人以上世帯に比べると年代による変化の幅が小さく、30・40歳代をピークに減少していくのが特徴です。
年間手取り収入が1000万円を超えている人の割合は、単身世帯で1%程度、二人以上世帯で9%程度でした。
となりのお宅のココロ事情~「豊かさ」を実感している人はどのくらい?~
本調査をもとに、「経済的な豊かさ」や「心の豊かさ」を実感している人の割合について見ていきましょう。
経済的豊かさ
下記のグラフは、「あなたは、生活感覚として“経済的な豊かさ”と“心の豊かさ”について、どのように実感していますか」という質問への回答結果を示したものです。(※二人以上世帯には無回答者がいるため、合計割合が100%になっていません。)(グラフ「経済的な豊かさ」参照)
経済的な豊かさを「実感している」「ある程度実感している」とする世帯の割合が、二人以上世帯に比べると単身世帯で低い傾向にあります。特に、「全く実感していない」の割合が高いのが特徴で、単身世帯の40歳代と50歳代では、その割合が40%前後に達しています。
心の豊かさ
一方、心の豊かさについてはどうでしょうか。(グラフ「心の豊かさ」参照)
心の豊かさを「実感している」「ある程度実感している」とする割合は二人以上世帯で高く、いずれの年代でも過半数を占めています。特に、新婚夫婦が多いと思われる20歳代で心の豊かさを実感している割合が高い点が目を引きます。
一方の単身世帯では、30~50歳代で、「あまり実感していない」「全く実感していない」の割合が高く、特に「全く実感していない」人の多さが際立ちます。人生のパートナーの有無が、経済力にも心の豊かさにも、少なくない影響を与えるといえそうです。
将来に向けてできることは?
お金がなくては生活ができないことは当然ですが、大きな社会変化が起きると予想される将来に向けて、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。
文部科学省は、グローバル化やAIの活用などが引き起こす「誰も予測できない」未来に備えるため、教育指導要領の改訂を実施するとともに、”児童生徒1人1台コンピュータ”を実現するための「GIGAスクール構想」を打ち出しました。
AIに取って代わられることのない「人間にしかできない創造力」を、未来を担う児童生徒に習得させることが教育現場の喫緊の課題になっています。子どもたちだけではありません。すでに社会人になっている大人にも、同様の力が求められるでしょう。
まとめにかえて
「1年後の自分の稼ぎはどれくらい?」「我が子は将来どんな仕事に就くの?」
めまぐるしく変化する社会を生き抜くためには、個人の年収アップだけに目を向けるのではなく、「人生の潤い」や「人間だからこそできること」を考えながら、しなやかに生きる努力を続けていく必要がありそうです。
心身ともに元気でいられるよう、趣味や自己啓発、健康管理に目を向けることも大切かもしれません。また、家族や友人、ペットと共に過ごす時間など、ワークライフバランスを整えることも生活に潤いを与えてくれるのではないでしょうか。
ご自身のキャリア観やライフスタイルに合った方法で、フトコロもココロも「豊かに生きる」カギを見つけて行きましょう。
【参考】
(※1)『平成30年分民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf)』国税庁
(※2)『家計の金融行動に関する世論調査(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/)』金融広報中央委員会(知るぽると)
『2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート!(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201903/2.html)』政府広報オンライン
『子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に向けて~令和時代のスタンダードとしての1人1台端末環境~(https://www.mext.go.jp/content/20191225-mxt_syoto01_000003278_03.pdf)』文部科学大臣メッセージ
『「児童生徒1人1台コンピュータ」 の実現を見据えた施策パッケージ(https://www.mext.go.jp/content/20191225-mxt_syoto01_000003278_04.pdf)』文部科学省
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