キス写真も不倫にならない？野間口弁護士に聞く、「不倫の証拠」に必要な条件

～不倫の失敗よりも、大きな失敗とは？～

こんにちは。恋愛コンサルタントの菊乃です。
なぜか、日本人は不倫のニュースが好き。イケメン俳優が妻の妊娠中に19歳モデルと不倫関係になっていたことで日本中が騒いでおります。

今回は、男女問題を多く扱う野間口弁護士に「不倫の証拠となる条件」をうかがいながら、実際どれくらいの人が不倫をきっかけに離婚しているのか、また婚活中に不倫を心配することについても考えていきたいと思います。

配偶者の不倫に気が付くトレンドは「スマホ」

不倫に気が付くきっかけも様々あります。服装が変わった、風呂場やトイレにもスマホを持ち込むようになった、帰りが遅くなった、第三者からの報告など…。

男女問題を多く扱っている野間口弁護士によると、最近のスマホは指紋認証でロック解除できるため、パートナーが寝ているときにスマホのロックを解除して、LINEのやり取りを見て気が付くというのがトレンドのようです。

もし、ここでだれか特定の相手に「好きだよ♡」などのメッセージを送っていたとします。それは不倫確定なのでしょうか？

メッセージのやり取りでは不倫の証拠にならない

野間口弁護士によると、メッセージのやり取りだけでは不倫の証拠としては弱いそうです。

しばしば週刊誌などに有名人が新幹線で手をつないでいた写真、キス写真などが流出します。多くの方はそれらを不倫の証拠と思いがちですが、法律上の「不倫」は「性行為があったとみなせるかどうかがポイント」です。

キスをした写真も、手をつないでいる写真も、2人きりで食事をしている写真も、不倫の証拠にはならず、慰謝料請求しても勝てない場合が多いそうです。

証拠になりえるのは、「ラブホテルに2人で入る写真」「シティホテルの同じ部屋に2人で入る写真」「不倫相手の家に夜間入っていく写真」です。絶対に言い逃れできない証拠じゃないと、不倫を認めさせることは難しいそうです。

2人がホテルで密会していたとしても、別々で出入りしていると向こうから「会っていない」と言われれば覆せないでしょう。昼間に相手の家に入っていったとしても、「お茶しただけ」という可能性もあり、不倫の証拠にはなりません。

1泊2日の旅行に行って同じ部屋に泊まったホテルのレシートなどがあれば、不倫の証拠にはなりえます。また過去には男性側がラブホテルの会員カードを作ったために使用履歴が分かり、不倫の証拠になった事例もあります。

不倫を疑っているのがバレると証拠収集が難しくなる

もし、本当に配偶者の行動が疑わしいと思った場合はどうしたらいいのでしょうか。

野間口弁護士によると、一方配偶者が他方配偶者を疑っていることに気づかれたために証拠を隠してしまって、調査が難しくなってしまうことがあるそうです。つらいと思いますが、問い詰めたりせず平常心を装って生活をつづけながら、専門家に相談しましょう。

私立探偵を使って不倫証拠収集を依頼する場合、1泊2日で調査費は20万円～します。日数が増えればその分、料金は増えますし、その時に証拠写真が撮れないと離婚を有利に進めることができません。

裏切られていると疑いながら平常を装って生活を続け、数十万円もかけて不倫証拠を集めるため、不倫された側は大変孤独で消耗します。

この探偵に支払う不倫調査費用は、不倫をした配偶者側に請求することもできます。

また、離婚した場合の不倫の慰謝料として配偶者に請求できるのは150万円ぐらいが相場で、年々値下がりの傾向にあります。不倫相手側にも請求できますが、これも状況によりけりですが離婚に至らない場合だと100万円前後だそうです。

夫が性風俗に通った場合は夫に不倫は認められても、風俗嬢に対して慰謝料請求はできません。

このように不倫は関わった人を多く傷つけ、多大なエネルギーを奪います。経験せずに済むのならばそれに越したことはない。

そんなに不倫は多くない

連日、不倫のニュースが世間を騒がせるため、婚活中の方も「不倫しない誠実な人がいい」と思っている人が多いです。

しかし、そんなに不倫の心配はしなくてもいいのではないかと思います。
「平成29年　司法統計年報　家事編（http://www.courts.go.jp/app/files/toukei/024/010024.pdf）」（2017年）によると、離婚申し立て総数は妻4万7,807人、夫1万7,918人です。

離婚申し立て動機1位は男女とも「性格の不一致」で、内訳は妻1万8,846人、夫1万1,030人です。異性関係が原因で離婚申し立てした妻は7,987人、夫は2,547人でした。離婚の約9割は協議離婚といって、ご夫婦の話し合いで成立する離婚です。

不倫がきっかけで別れた夫婦はいないわけではないのでしょうけれど、ごく一部。日常的な出来事ではないからニュースになるのです。

一度に2人3人とお付き合いする特殊な方はニュースになりますが、年齢=恋人いない歴の方は年々増え、そしてさほど注目されません。

明治安田生活福祉研究所が行った「20～40代の恋愛と結婚（https://www.myri.co.jp/research/report/pdf/myilw_report_2016_01.pdf）」（2016年）調査によると、交際経験がないと回答する方は次のような結果です。

20代未婚男性：53.3％
30代未婚男性：38.0％
20代未婚女性：34.0％
30代未婚女性：25.7％

交際相手がいる方は独身30代男性のうち18.0％、独身30代女性のうち26.7％です。過半数の未婚30代は交際相手がいないのです。

不倫をした失敗は派手で目立つ。でも失敗を避け続けて何も起こらなかった人生も大失敗じゃないだろうか。

【取材協力】野間口寛　弁護士

日本橋兜町の法律事務所ミッション代表。離婚、不倫慰謝料など男女問題を多く扱っている弁護士。
弁護士ドットコム（野間口寛弁護士）（https://www.bengo4.com/tokyo/a_13102/l_264255/?fbclid=IwAR15YdJ0ihgeAVlkZuCiAae2C2tVYq5IOVHe7EoIQxvVdtMv-2hAtuK7iFY）

【参考】
「平成29年　司法統計年報　家事編（http://www.courts.go.jp/app/files/toukei/024/010024.pdf）」裁判所
「20～40代の恋愛と結婚（https://www.myri.co.jp/research/report/pdf/myilw_report_2016_01.pdf）」明治安田生活福祉研究所