有機EL材料首位の米UDC、20年は最大16%増収を計画
LIMO / 2020年2月26日 20時40分
有機EL材料首位の米UDC、20年は最大16%増収を計画
新型コロナウイルスが10%の減収要因に
有機EL用燐光発光材料メーカーのユニバーサルディスプレイコーポレーション(UDC、米ニュージャージー州)は、2020年の業績見通しとして、前年比6~16%増の4.3億~4.7億ドルを計画している。21年末までに世界の有機ELディスプレーの生産能力がインストールベースで19年末比5割増加すると見込むが、一方で、新型コロナウイルスの影響が20年は年間で売り上げの約10%、4000万~5000万ドルの押し下げ要因になると想定している。
新型コロナウイルスの影響は上期にわたる
有機ELディスプレーの量産工場の多くが韓国と中国にあり、新型コロナウイルスの影響によって、中国で今後予定されている有機ELディスプレー工場の増設・新設計画が当初のスケジュールどおり進まない可能性がある。FPD(Flat Panel Display)業界アナリストの多くが「少なくとも3カ月は遅延する」と予測しており、有機EL発光材料の使用量によってはUDCの今後の業績にも影響を与える可能性がある。
UDCは19年10~12月期の決算会見で、新型コロナウイルスの影響を完全に予測するのは困難と前置きしたうえで、「生産やサプライチェーンへの影響を綿密に監視しているが、有機EL材料の購買にも影響を与える。多くのスマートフォンOEMから20年の1~3月期と4~6月期の生産が低迷すると聞いている」と述べ、上期にわたって影響が続くとの見解を示した。
また、21年末までに生産能力が5割増えるとの見方について、中国の中小型FPDメーカーの天馬微電子が20年に有機ELディスプレーを2000万台出荷予定であることや、中国FPD最大手のBOEが19年の2000万台から20年は4000万台に出荷目標を引き上げていることを引き合いに出しつつ、「生産能力は韓国と中国で増えるが、その多くは21年に立ち上がる」と述べ、20年よりも21年により高い成長が見込めることを示唆した。
19年業績は64%の増収
発表した19年の通年業績は、売上高が前年比64%増の4.05億ドル、営業利益が同2.8倍の1.58億ドルとなり、ガイダンスの中間値だった。このうち有機EL発光材料の売上高は同59%増の2.43億ドル、FPDメーカーなどに対するライセンス収入は同86%増の1.5億ドルだった。
発光材料の売上高2.43億ドルのうち、黄緑色を含めた緑色発光材料の売上高は同77%増の約1.9億ドル(18年は約1.06億ドル)、赤色発光材料は同17%増の約5320万ドル(同約4530万ドル)となった。
売上高4.05億ドルの地域別内訳は、韓国が2.5億ドルで62%を占めたが、中国が1.35億ドルと前年比で2.6倍に増え、構成比が18年の21%から19年は33%に上昇した。同社は19年当初に年間売上高を3.25億~3.5億ドルと見込んでいたが、その後3度にわたり見通しを上方修正していた。
ホスト材料はまだ量産採用に至らず
同社は有機ELホスト材料について19年下期に中国のエターナルマテリアルテクノロジー、韓国のLG化学とパートナー契約を結んだ。UDCの発光材料に最適なホスト材料を共同開発し、現地でパートナーに量産・販売してもらうのが狙いだが、「協力を続けているが、まだデザインウィンはない」と述べ、FPDメーカーでの量産採用には至っていないことを明らかにした。
UDCは、かつて有機ELホスト材料も生産・供給し、14年にはピークで年間4000万ドル以上の売り上げがあったが、以降は顧客であるFPDメーカーがUDC製以外の材料を量産に用いたことで売り上げが漸減し、18年にはほぼゼロになった。これをテコ入れするため、19年からホスト材料について他社とパートナーシップ契約を結んでいる。
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