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東京五輪の謎:「大会ボランティアと都市ボランティアって活動場所が違うだけですか?」

LIMO / 2020年2月29日 20時15分

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東京五輪の謎:「大会ボランティアと都市ボランティアって活動場所が違うだけですか?」

大会ボランティアのライターが組織委員会に突入取材!(3)

東京オリンピックの開催まで半年を切ったというのに、いまだにボランティアの位置付けについては混乱があるようだ。私(ライター)は、大会ボランティアとして参加する予定だが、評判が悪いまま大会に参加するのは不安だ。そこで組織委員会に取材。ボランティア目線でかなり突っ込んだ質問もしたところ、意外な事実が見えてきた!

シリーズ第3回は、大会ボランティアと都市ボランティアはどう違うのか? 費用負担はどうなっているのか?という疑問を中心に聞いている。

取材に答えてくれた、公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の担当者は以下の通り。

総務局 ボランティア推進部 部長 兼 人事部 担当部長 傳 夏樹氏
総務局 ボランティア推進部 ボランティア推進課長代理 古瀬 浩一氏
総務局 人事部 採用課長 朱 賢太氏

<取材・文/下原一晃 フリーライター。東京五輪・パラリンピックに、大会ボランティア(フィールドキャスト)および、東京都の都市ボランティア(シティキャスト)として参加予定>

大会ボランティアと都市ボランティアは募集や運営を行う組織が異なる

――そもそもの話ですが、東京2020大会のボランティアには大きく「大会ボランティア(フィールドキャスト)」と「都市ボランティア(シティキャスト)」の2つがあります。何が違うのでしょうか。

古瀬:まず活動の場所、活動内容が異なります。大会ボランティア(フィールドキャスト)は、競技会場、選手村などの大会関係施設で大会運営に直接携わります。それに対して都市ボランティア(シティキャスト)は、空港・主要駅・観光地などで観客や観光客の案内などの活動を行います。大会ボランティアは約8万人、都市ボランティアは約4万6~7千人、計約12万人以上のボランティアに活躍していただく予定です。

さらに募集や運営も異なります。大会ボランティアは組織委が募集・運営を行いますが、都市ボランティアは、東京都をはじめとする競技会場が所在する自治体それぞれにおいて、募集・運営を行います。

組織委員会 総務局 ボランティア推進部 ボランティア推進課長代理 古瀬 浩一氏


――私は大会ボランティアに採用されるとともに、東京都の都市ボランティアにも採用されています。首都圏では、埼玉県、千葉県、横浜市、藤沢市などでも都市ボランティアが活動することになっています。

組織委の派遣社員とボランティアは所属する部門も違うとの話でしたが、都市ボランティアも各自治体が別々に運営しているということですか。

:はい、そのとおりです。

――なるほど、確かに、研修の案内のメールについても、大会ボランティア(フィールドキャスト)に関するメールは大会組織委員会から届きますが、都市ボランティア(シティキャスト)に関するメールは、東京都の都市ボランティア募集事務局から届くといった違いがあります。

しかし、東京都の場合、大会ボランティア、都市ボランティアの共通研修はいずれも渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで行われ、研修のプログラムも似ています。都市ボランティアは各自治体が別々に運営しているということであれば、研修を実施するコストも、組織委と東京都で別々に負担しているということですか。

:各自治体とは密接にコミュニケーションを取り、さまざまな面で連携を行っていますが、お金の面などは厳密に言うと、別々ということになります。同じ会場で行われている研修でも、大会ボランティアの研修を行うコストは組織委が負担し、都市ボランティアの研修を行うコストは各自治体が負担しています。

コストの負担だけでなく、そもそも何人のボランティアを募集し、どこで、どのような活動を行うのか、そのために必要な研修の内容などについても、最終的には各自治体の判断にお任せしています。

都市ボランティアは自治体によってユニホームが異なることも

――細かい話ですが、そうなるとユニホームなどのコストも各自治体が別々に負担しているということでしょうか。昨年7月には香取慎吾さんなども参加して、大会ボランティアおよび都市ボランティアのユニホームも発表されましたが。

:はい。ユニホームは、ポロシャツ、パンツ、シューズ、ハット、ジャケット、ソックス、バッグ、持ち帰りバッグの計8点を用意しています。大会ボランティアの方にはこれらすべてをご提供する予定ですが、都市ボランティアの場合、ご提供する内容は各自治体によって異なります。

組織委員会 総務局 ボランティア推進部 部長 兼 人事部 担当部長 傳 夏樹氏


――自治体によっては全部のアイテムが提供されるわけではないということですか。

古瀬:過去のオリンピック・パラリンピックの大会でも、大会ボランティアに加え、多くの都市において、観光地などで観客や観光客の案内などの活動を行うボランティアが活動しました。2018年に行われた平昌大会(冬季)でも同様です。東京2020大会でもそうですが、過去大会でもやはり都市ボランティアは各自治体で募集・運営を行うというスキームは変わらないところです。

とはいえ、東京2020大会では、せっかく都市ボランティアとして参加していただくのであれば、運営する主体が異なっても「オールジャパン」で大会を成功させるという目的は一緒だと考えています。そこで、「あなたは大会ボランティア、あなたは都市ボランティア」と区別するのではなく、できるだけ一体感を持って盛り上げていただきたいと考えてます。

具体例を申し上げると、大会ボランティアのユニホームともに、都市ボランティアのユニホームを作製しました。このほか、ボランティアの愛称=ネーミングも大会ボランティア/都市ボランティアの投票により、「フィールドキャスト/シティキャスト」に決まったところです。

さらに、研修のコンテンツや配布物なども大会ボランティアと各自治体の都市ボランティアで共通して使っていただけるものを用意しています。ただし、これはあくまでも各自治体に「できるだけそろえていただきたい」という組織委からのお願いであって、強制的なものではありません。

――宮城県の都市ボランティアでは、用意されたユニホームのアイテムのうち、シューズの支給はないと聞きました。理由はそのあたりにありますか。

古瀬:今申し上げたように、ユニホームなどをどこまでそろえるかは各自治体に委ねられているので、宮城県が様々な事情を勘案の上、判断されたのだと思います。

コラム:宮城県の担当者に話を聞く

採用数を大幅に拡大し、より多くの人に復興五輪に関わってもらいたいと考えた(宮城県オリンピック・パラリンピック大会推進課 総務班長 後藤博道氏)。

 

宮城県では、東京2020大会において、宮城スタジアム(同県利府町)が男女サッカー競技の会場となります。同競技場への案内や、仙台空港やJR仙台駅などにおいて、観客誘導などで活躍していただく「都市ボランティア」は当初、1300人を予定していました。

 

しかし、応募数が目標を大きく上回ったことから、採用数も大幅に拡大し約2000人としました。それは、できるだけ多くの人に復興五輪に関わっていただきたいと考えたためです。

 

ただ、このため、都市ボランティアの皆さんに支給するユニホームの予算も当初の計画よりかなりオーバーしてしまいました。そこで、やむなくシューズの支給を見送らせていただくこととしました。

 

この件について本県・都市ボランティアの皆さんにご案内したところ、当初は「他の自治体の都市ボランティアなら支給されるものが、宮城県では支給されないのは、ボランティアの士気が下がる」といったご指摘もいくつかいただきました。

 

しかし、共通研修の場などでご説明をしたところ、最終的には納得していただき、現在は「大会の成功に向けて前向きに参加したい」といったコメントを多くのボランティアの皆さんからいただいています。

 

つづく:第4回は「ボランティアと派遣社員の間で混乱は起きないのか?」について(3月1日公開予定)

<これまでの記事>
第1回『東京五輪の謎:「パソナの派遣職員とボランティア、本当のところどう違うんですか!?」(https://limo.media/articles/-/16098)』
第2回『東京五輪の謎:「ボランティア不足だからパソナが派遣を募集してるって本当?」(https://limo.media/articles/-/16100)』

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