「一斉休校」で改めて浮き彫りになる、正規・非正規の差
LIMO / 2020年3月3日 20時45分
![「一斉休校」で改めて浮き彫りになる、正規・非正規の差](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_16233_0-small.jpg)
「一斉休校」で改めて浮き彫りになる、正規・非正規の差
~非正規の視点から見る労働市場~
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染を予防するため、安倍晋三首相は3月2日から全国の小中高校に臨時休校の要請をしました。
これにより、様々なところで影響が出ていますが、共働きの子育て世帯の親は困惑している人が多いのではないでしょうか。とくに非正規雇用で働く親、ひとり親にとっては、「休めば休むだけ給料が出ない」「非正規だと、在宅勤務・時差出勤が難しい」といった声もあるようです。
ではここで改めて、非正規雇用の人がどれくらいいるのか、また給料はどれくらいなのか考えてみたいと思います。
非正規雇用は年々増加傾向
総務省統計局の「労働力調査(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html)」によると、2019年の非正規雇用者数は2,165万人となっています。対して正規雇用者は3,503万人となっており、非正規雇用者の割合は、38.2%です。しかし2013年における非正規雇用者の割合は36.6%となっており、年々増加傾向であることがうかがえます(グラブ「正規・非正規雇用者数(男女)」参照)。
拡大する(/mwimgs/8/7/-/img_87ebc8caf1ed0b179fa138ef529bf98d28591.png)
(総務省統計局の資料をもとに編集部作成)
男性だけを見ると、2019年は非正規691万人、正規は2,342万人となっています。2013年は非正規611万人となっているので、やはり増加傾向です。とはいえ、2019年の非正規の割合は22.8%、2013年は21.1%なので、急激な増加とはいえないでしょう(グラブ「正規・非正規雇用者数(男性)」参照)。
拡大する(/mwimgs/5/3/-/img_538d2cb37bf2bf691f5c9f4ce6c16c6421554.png)
(総務省統計局の資料をもとに編集部作成)
一方女性をみると、2019年の非正規は1,475万人、正規は1,161万人となっており、非正規の方が多くなっています。しかしその割合は2013年もあまり変わらず、非正規は1,299万人、正規は1,030万人です(グラブ「正規・非正規雇用者数(女性)」参照)。
拡大する(/mwimgs/a/5/-/img_a58c07d8f8db23686c07a4e492b5c13026623.png)
(総務省統計局の資料をもとに編集部作成)
急激な増加などはなく、すでに日本の経済構造が毎年2,000万人の非正規雇用労働者を生み出す構造になってしまっていることが分かります。一度非正規になると、なかなか正規になれない可能性も考えられます。
非正規の給料はどれくらい?
ここで国税庁の「民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/minkan/index.htm)」によると、2018年12月31日時点の1年を通じて勤務した給与所得者は約5,026万人でした。そのうち正規は約3,322万人、非正規は約1,167万人となっています。以下、「非正規(全体)」の一人当たり平均給与です。
2013年:168万円(414万円)
2014年:170万円(415万円)
2015年:171万円(420万円)
2016年:172万円(422万円)
2017年:175万円(432万円)
2018年:179万円(441万円)
となっています。直近6年間は増加傾向にあります。ただ毎年、非正規の平均給与は全体平均給与の半分以下となっています。これも「毎年固定されているの?」と思ってしまうような数値です。
具体的な所得補助は?
安倍首相は29日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への今後の対応について記者会見を行いました。この会見では「(保護者の所得減少について)新しい助成金制度を創設することで、正規・非正規を問わず、しっかりと手当てしてまいります」とし、2,700億円超の今年度予備費を緊急対応策第2弾として、10日間程度のうちに取りまとめる考えも表明しました。
3月1日には、内閣府がベビーシッターを利用する際の助成制度の増額(1世帯当たり最大月26万円ほど、3月限り)を打ち出したようです。(NHKNEWS)
さらなる具体的な補助が待たれますが、そもそも正規・非正規の待遇差は長年固定されています。それが今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染抑止対応でより浮き彫りになりました。4月には「同一労働同一賃金」が導入されます(中小企業は2021年4月)。そもそも正規・非正規の待遇差をどのように評価するのか、改善する方法など様々な懸念点もあげられていますが、正規・非正規の待遇差が改善することを願ってやみません。
【参考】
「労働力調査(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html)」総務省統計局
「民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/minkan/index.htm)」国税庁
「安倍内閣総理大臣記者会見(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0229kaiken.html)」首相官邸
「新型ウイルス 3月にかぎりベビーシッター利用の助成を増額(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200301/k10012308121000.html)」NHKNEWSWEB
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