「いらないもの探し」が新しいビジネスをつくる〜ストックビジネス化の要点

私はよく飲み会の席で「いらないもの探し」をします。

「いらないもの」「誰かが捨てたもの」「使われずに放置してあるもの」「放置してある場所」などを探す遊びですが、真面目な会議より、少しお酒が入ってからこういう話をすると意外なものが出てきます。オンライン会議のZOOMを使ったバーチャル飲み会でも「いらないもの探し」ワークは盛り上がります。

そもそも、忙しい社長が集まってこんな遊びのようなことをする必要があるのか？と思われるかもしれません。何でこんなことをするのか、今回は「いらないもの探し」の効用について考えます。

「価値が劣化していくもの」にこそチャンスがある

誰も見向きもしないものや捨てられるものを、ストックビジネスを成功させるためのストック思考では「価値が劣化していくもの」と言います。そして、ここにビジネスチャンスがあるのです。

私のメンターであるエンジョイ先生は、「価値が劣化していくもの」を変身させるのが得意技。

もう価値のないもの、かなり価値の下がったものを探しては新たなビジネスに仕立て上げるのです。たとえば捨てられた農機具や廃タイヤ、活用されない土地、古い自販機事業の再生等々、筆者も数多くの事業化を見てきました。

エンジョイ先生が言うのは「立ち位置が大事」ということ。まずは需要と供給の狭間を探す。そして、その需要と供給の高低差が価値（利益）になります。

つまり、人が見向きもしないものは、ある人たちにとっては価値が低い。しかし、それを他の誰かが欲しがるように工夫してあげれば価値は高まる。そこの間で立ち位置を作る、というシンプルな考え方で物を探すのです。

たとえば、エンジョイ先生が中古のレンタカー事業を成功させた時も、ガソリンスタンドの遊休空間を使った収益化で全国規模のサービスにしています。

私も教えを実行して、使われていない余ったオフィスを会議室にしたり、今はほとんど活用されなくなりつつある機械式立体駐車場を再生する事業構築したり、最近は誰も見向きもしない月極駐車場に工夫を加えて新しい事業を作っています。

肝になるのは「継続的な価値」

このような考え方で面白いサービスを見つけ、試して手応えがあれば売上も徐々に上がっていきます。ただし、ここからが事業を安定成長させる正念場。本物のストックビジネスにするためには、もう一工夫する必要があります。

「どうやら購入してくれるお客様はいそうだ」という確信が生まれたならば、そのサービスの本質を探って継続的な価値を生み出せるかをよく考えてみるのです。

継続的な価値って何だろうと思う方はこの動画を見てください。

（https://www.youtube.com/watch?v=BaTHOyEM5l4）

継続的な価値というのは、サービスを受け取るお客様が毎月、毎週、理想は毎日、「自分がサービスを受けている」「それがあるから助かっている」という実感があることです。

そして、自分がその継続的な価値を提供する体制を維持できる自信がついたならば、競合が現れて価格競争になってからではなく、自ら率先してサービスを提供する作業（業務）を分解し、標準化（誰でもできるパターン化）できる部分はコストダウンします。

そうすると、新しいお客様が増えてもお客様の数に連動してコストが上がらないようになります。つまり、数が増えると利益はもっと早く増える。それは、強みがより強みになっていくという好循環の始まりになります。

この一連のプロセスが、ストックビジネスのヒントからストックビジネスを安定提供できるパッケージにまで作り上げる作業です。

まずは、ストック思考を共有している気の合う仲間と「捨てるもの探し」「使っていないもの探し」をしてみるといいと思います。そんなにうまくいくのか？と思われるかもしれませんが、こうした思考にいつも触れている環境があれば、必ずストック思考が身に付き、自然と考えられるようになるのです。

筆者が携わるストックビジネスアカデミー（http://otaketakahiro.com/jissen）は、そこに集う仲間とお互いに気づきを与え合う経営者コミュニティーです。そこでは会員に思考のヒントを送り届けるために、毎月ストック思考をフル活用して事例解読をしています。ご興味のある方は一度覗いてみてください。