1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

【新型コロナ】トイレットペーパー不足を増幅させた2つのトラウマ

LIMO / 2020年3月6日 20時15分

【新型コロナ】トイレットペーパー不足を増幅させた2つのトラウマ

【新型コロナ】トイレットペーパー不足を増幅させた2つのトラウマ

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による影響の拡大が続いており、一向に収束の兆しが見えません。

多方面に甚大な影響が出る中、買い占め等によるマスクの品不足に続き、何と衛生紙製品(トイレットペーパー、ティッシュペーパー、生理用品、紙おむつ等。以下「トイレットペーパー」)もあっという間に店頭から消える大騒動へ発展しました。

この原稿を書いている時点では、店頭の品不足解消がわずかに見られるものの、依然として購入制限(1人1点まで等)が課せられる事態です。完全解消には程遠い状況と言っていいでしょう。

今回のトイレットペーパー不足騒動を時系列で振り返ってみる

まず、今回のトイレットペーパー不足騒動の経緯を時系列で辿ってみましょう。

発端は、2月26日(水)頃(注:25日頃という説あり)のSNS投稿です。この投稿は既に削除されているようなので正確な内容を確認することはできませんが、“品不足になっているマスクとトイレットペーパーの素材が同じであるため、早期に品不足に陥る”という類の投稿だった模様です。

すると、27日(木)には熊本市内のドラッグストアやスーパーマーケット、コンビニへ消費者が殺到し、即座に品不足になったと報じられています。しかし、再生紙から生産されるトイレットペーパーの素材がマスクと異なることは明らかであり、在庫は十分あるという業界団体による否定声明が九州を中心とした地方局ニュースで放映されています。

しかしながら、トイレットペーパーが不足するという誤情報はSNSでまたたく間に全国へ拡散されました。そして、週末2月29日(土)にはほぼ全国の店頭で商品が見られなくなり、多くの消費者がドラッグストアを“ハシゴ”したことが報じられました。

この間わずか3日、長く見積もっても4日です。これほどの短期間でほぼ全国のトイレットペーパーの店頭在庫が枯渇するのですから、まさしく“SNS恐るべし”というところでしょうか。

しかし、なぜこのような大騒動に発展したのでしょうか?

大多数の消費者は、最初はともかく、少なくとも途中から誤情報だと認識したと見られますし、必要以上に買い溜めするのがよくないことも理解していたと考えられます。

また、一連のマスク不足で見られたように、転売目的で買い占めた人もいたでしょうが、一時保有といえども相応に広いスペースを必要とするため、(少なくともマスクよりは)圧倒的に少なかったと推察されます。

一向に解消しないマスクの品薄問題で増大した政府への不信感

筆者が考える理由は、少し大げさに言うと、品不足に対するトラウマ(心的外傷)です。今回は2つのトラウマが推察できますが、その1つは、COVID-19による今般のマスク不足です。

深刻なマスク不足になった経緯の説明は省略しますが、その後も一向に改善の兆しが見られません。特に、2月12日の政府定例会見において菅官房長官は「早ければ来週(注:2月16日~の週)にも品薄状態は解消」と明言しました。

しかし、医療関係機関向けを優先したという事情はあるにせよ、一般消費者向けの品薄状態は全く解消されていないのは明らかです。菅官房長官の楽観的な見通し発言が、政府に対する国民の信頼度を大きく下げたことは否めません。

また、安倍首相は2月29日に行われた一斉休校に関する臨時記者会見において、記者からの質問に答える形でトイレットペーパーには十分な在庫があることを強調しています。業界団体のみならず、こうした政府中枢による品薄否定発言が逆に火に油を注いだ可能性もあるでしょう。

高齢者は47年前のトイレットペーパー不足問題の再燃を懸念?

もう1つのトラウマは、第4次中東戦争の影響(原油価格高騰)により、同じトイレットペーパーの不足が大きな社会問題となった47年前(1973年)の買い占めです。

現在の50歳代前半未満の方々にはピンとこないと思われますが、60歳代以上の方々、とりわけ、70歳代以上の高齢者には今でも強いトラウマとして残っていると考えられます。

筆者も当時のトイレットペーパー不足をリアルタイムで経験したわけではありませんが、今般の事態を上回る狂乱だったと推察されます。私事で恐縮ですが、80歳台半ばの筆者の母親も、真っ先にオイルショック時の大混乱が脳裏をよぎったと言っています。

当時はまだインターネットなど全くない時代でしたが、今回と同じように、本当に些細なきっかけで深刻な品不足が起きました。あの時にパニック状態に陥ったトラウマが残る高齢者が、今回も必要以上にトイレットペーパーを購入したとしても、何ら不思議ではありません。

筆者の気のせいかもしれませんが、ニュースで見る限り、ドラッグストアに並ぶ消費者には高齢者が多いようにも見えます。

トイレットペーパー不足騒動の完全沈静化には時間を要する

さて、今回のトイレットペーパー不足騒動、徐々に店頭へ品物が供給され始めましたが、すぐに沈静化するでしょうか?

筆者が考えるには、マスクほどではないにせよ、騒動以前の状況へ回復するにはまだ時間を要するはずです。理由は、“念のために” “まさかとは思うけど”というある種の危機意識が強くなったことで、多くの消費者が当面は“買い溜め”に近い、必要以上の購入に走ると思われます。

また、前述した通り、マスクの品薄問題に関する政府への不信感も少なからずあるでしょう。こうして考えると、今回のトイレットペーパー不足騒動を解決するには、兎にも角にも、COVID-19の感染拡大を食い止めて、国民生活に目に見える形の安心感を与えることに尽きます。

解決に時間を要すれば、次はまた別の商品や食品が今回のトイレットペーパーと同様に品薄状態になる懸念が残ります。これは、東日本大震災でも見られたことです。

一度パニック状態に陥った消費者心理を通常状態へ戻すのは至難の業だということを再認識するべきでしょう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください