収入はあるのに貯まらない…『高年収貧乏世帯』の実態
LIMO / 2020年3月10日 20時45分
収入はあるのに貯まらない…『高年収貧乏世帯』の実態
第三者目線でお金の相談に乗る金融コンサルタント会社に勤めていた時のこと。お客様に会いお金の悩みを聞くことを重ねていくうちに、あることに気付きました。
平均年収かそれ以下の共働き世帯より、年収800〜1,000万円クラスの高年収の旦那様や奥様を持つ専業主婦または主夫の世帯の方が、「貯金が出来ない」ようなのです。
入ってくるお金が多ければ出ていくものも多いということなのか…ただ、これがご縁やエネルギーの話ならまだしも、お金の話となると大変なこと。
『高年収貧乏世帯』の実態と『平均年収堅実共働き世帯』の実態に迫ります。
あなたの理想はどんな生活?「年収」と「世帯年収」
一生に大きなお金が出入りするイベントは、ざっくり分けると3つあります。「結婚・出産それに派生する子供の教育費」や「住宅取得」、そして「老後資金」。
特に「結婚」は収入形態や生活スタイルを大きく変える節目となるイベント。共働き家庭でお互いに生活費を出し合うスタイル、女性側か男性側のどちらか一方が専業主婦または主夫になるスタイルなどその形は様々ですが、独身の時のようにひとつのお財布を自分だけで管理するというのはなかなか難しいでしょう。つまり、「結婚」により個人ベースで考えていた「年収」は、「世帯年収」へと変わるのです。
ここで意識しておきたいのが、共働きでそれぞれ年収400万円ずつ稼ぐ家庭も、1人で800万円の年収を稼ぎ専業主婦or主夫を養う家庭も、「世帯年収800万円」であることに変わりはないということ。
「世帯年収」は2人のお財布の合計額ですから、スタイルが違う家庭でも世帯年収が同じということはあり得ます。
ただ、「世帯年収」は同じでも、この2つの家庭では大きく異なる点があるようです。
お金に対する問題意識
それが、「お金に対する問題意識」。
簡単に言ってしまえば、共働きでそれぞれ年収400万円稼ぐ家庭では、家庭のお財布の中身が800万円であっても、お互いがそれぞれに「年収400万円で生活していかなくてはいけない」と、独身時代と変わらないモチベーションでお金に向き合えるのに対して、800万円の年収を稼ぎ 専業主婦or主夫を養う家庭では、収入を得る側の旦那様or奥様は「僕のor私の収入には余裕がある」という意識を抱きがちです。
確かに独身時代を考えると、この年収では自由に使えるお金も豊富でしょう。ただ、今は家庭のお財布になり「2人のお財布」であることを忘れてしまいがち。「余裕」は生活に潤いをもたらしてくれる一方で、時に危機意識を失う要因にもなるものなのです。
後者は、「勤めている方が全くお金のことを考えてくれない」「お金に関しては全て任されてしまう」といった悩みを持たれるパートナーが多く、家計の支出や子供の教育費をお互いにしっかりと把握出来ているという家庭はほとんどありませんでした。
一方で、危機意識も強く持ち続けられる平均年収の共働き世帯では、2人で家計簿を付けたり、こまめな保険や住宅ローンの見直しをするなど、節約上手な家庭が多かった印象があります。
例えば「1カ月の水道光熱費」「1カ月の食事代」などを伺っても、旦那様奥様それぞれしっかりと答えられる、つまり現状を把握している家庭が多いのです。
では高年収世帯ではどうかというと…。
高年収世帯のお金への向き合い方
例えば「老後の不安」に関するアンケート調査ひとつとっても、年収300~500万円未満であれば老後の生活が「心配である」人の割合が8割強となるのに対して、750~1,000万円未満の年収者では7割を割り込んで6割弱と不安は大きく和らぐようです(※)。
ただ、現役世代の家庭では、「子供の教育費」や「住宅取得」に大きなお金がかかるのは世帯年収にかかわらず、同じこと。収入が増えると住宅取得ひとつとっても住む場所は華やかに、子供の教育費でもお金を惜しまずにステイタスを確保しようとする傾向があります。
そうなってくると、生活維持のための支出が増えて資産はなかなか増やせなくなってしまいますよね。不自由のない生活ではあるけれど、預貯金は増えずにお金を循環させ過ぎてしまう。こうなってくるともう、『高年収貧乏世帯』の仲間入りです。
『高年収貧乏世帯』にならないために、いちばん大切なこと
お分かりいただけたでしょうか。家計のお金のことを考えるにあたって最も大切な事は、「家計の収入と支出をしっかりと2人で把握すること」。
一方で、いちばん悪い状態は、「現状を把握出来ていないこと」。
年収800万円の旦那様のお金遣いが荒く、子供の教育費のことも何も考えてくれない。稼いでいるから何とかなると思っている‥と涙を滲ませた奥様のお顔が忘れられません。人生100年時代に、お金のことで備えすぎて悪いということはありませんよ。
ライフプランニングの基本は、人生の大きなイベントや支出を経ても、亡くなるまでお金に困らずに余裕のある生活を営めるようにしっかりと逆算して備えていくこと。時に目を背けたくなる現状をしっかりと見つめ、ひとつひとつ解決していくその先に、余裕のある老後が待っているはず。共働き世帯のあなたも、よく働きよく稼ぐ高年収世帯のあなたも。皆さんに素敵な未来が待っていることを願います。
【参考】
(※)「令和元年(2019年)家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2019/)」金融広報中央委員会(知るぽると)
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