年収に天井ができる!? 残業規制が中小企業でもいよいよ導入に <2020年4月>
LIMO / 2020年3月12日 20時20分
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年収に天井ができる!? 残業規制が中小企業でもいよいよ導入に <2020年4月>
働き方改革の一つとして、すべての会社に導入される「残業時間の上限規制」。すでに大企業では2019年4月から導入済みですが、中小企業にも2020年4月から導入されることで、全面的な施行が始まることになります。
この残業時間の上限規制。いったいどのようなものなのでしょう? 中小企業への適用が開始されるこのタイミングで改めて見てみましょう。
残業時間の上限が明確に法律で決められる
実は、残業時間の上限規制が導入される前も、残業時間の制約のようなものは存在していました。まずは最も有名なものとしては「時間外労働・休日労働に関する協定書」、通称36(サブロク)協定です。
36協定は労使協定の一つです。労使協定とは、会社と労働組合代表者(労働組合がなければ労働者の過半数を代表する者)の間で締結された約束事のことをいいます。
36協定は、締結後労働基準監督署に届出て、かつ掲示したり、社内の共有データベースに保存したりするなどして、就業規則のように従業員全員が見えるようにしておかなければなりません。
自分の会社で36協定を確認できなかったり、選んだ覚えのない労働者代表者が署名していたりする場合は、その36協定は無効である可能性があります。気になる場合は、一度会社に確認してみてはいかがでしょうか。
この36協定がなければ、1日8時間という労働基準法で定めた1日の上限時間を超えて働くことすら認められません。残業手当を出していても、その前段階としてそもそも1日8時間以上従業員を働かせることができないのです。
つまり、36協定が労基署に出されていないと、1日8時間を超える残業は通常は認められません。残業時間の上限規制の話をするにあたっては、その会社は36協定を出しているという前提で話を進めます。
残業時間は月45時間、年間360時間が上限になる
従来、残業時間の制約としては過労死防止ラインなどがあったのですが、今回の改正は、明確に残業できる時間が法律で決められたのが重要なポイントです。
これまでは、ある程度の限度を持たせつつも、企業のスタンスに任せてきた残業時間も、今回の改正で具体的な限度が定められ、それを超えた残業は違法ということになります。
定められる限度は、月45時間かつ年間で360時間までです。ただし、臨時的に業務が忙しく、どうしても残業時間がこの枠に収まらない場合は、特別に労使で36協定(特別条項)を結ぶことで、年間720時間に達するまでは年間6か月を限度に45時間を超えることが可能となっています。
月45時間が少ないかどうかということは議論がありそうですが、この改正で、会社によっては残業時間が減ることになるでしょう。
一方、仕事量が減らなければ、その分は「生産性の向上」によって対応してください、というのが国のスタンスです。現場を分かっていないという声が聞こえてきそうです。
年収にも天井ができることに
さらに、残業時間が法律で制限されるということは、年収にも天井ができるということです。時給1,100円の人であれば、毎月平均して21日働くとして、21日 × 8時間 × 12カ月 × 1,100円 + 360時間 × 1,100円 × 1.25=2,712,600円です。
私が学生の頃アルバイトしていたファミリーレストランでは、毎月250時間くらい働いて、月に28万円くらいもらっているツワモノもいましたが、今後はそうはいかなくなるということです。
ここまでのケースではなくても、残業代を生活費のあてにしている人もいるでしょう。そのような人にとっては、働き方を大きく見直す転機になるのではないでしょうか。
少なくとも、望む残業か望まざる残業かは別として、法律で上限が決められた以上は、それ以上の残業は認められません。これまで意識したことがない36協定の存在や、残業時間の上限の特例が適用されるかどうかということを気にすることになるのかもしれません。
「働き方改革」関連記事:『同一労働でも正規と非正規で給与に差がつく”合理的な理由”とは?(https://limo.media/articles/-/15230)』
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