日本初の「ゼロ・ゼロ投信」! 購入手数料0%、信託報酬0%の投信は買いか?
LIMO / 2020年3月11日 20時15分
日本初の「ゼロ・ゼロ投信」! 購入手数料0%、信託報酬0%の投信は買いか?
日本初のゼロ・ゼロ投信が設定
日本で初めて購入手数料が0%(なし)、信託報酬率も0%(なし)となる公募株式投資信託が3月16日に設定されます。
「野村スリーゼロ先進国株式投信」(以下、野村スリーゼロ)という野村アセットマネジメントが運用する世界株のインデックス・ファンド(ベンチマーク:MSCI-KOKUSAI 指数(円換算ベース・ 為替ヘッジなし)がそのファンドです。
ただし、信託報酬率が0%となるのは設定から10年間で、2031年1月1日以降の信託報酬率は0.11%(税抜0.10%)以内で設定し直すとされています。
このファンドはつみたてNISA専用で、野村證券のインターネットチャネルのみで販売されるようですが、投資信託の購入手数料がゼロ化され信託報酬率も引き下げ競争が加速する中、業界を牽引するファンドになるかもしれません(ちなみに、米国のゼロコスト投信は、信託期間全期間で購入手数料・信託報酬率とも0%です)。
進む投資信託の低コスト化
投資信託のコスト引き下げ競争はこれからもどんどん進んでいくでしょう。火をつけたのは米国です。
2018年8月に、フィデリティが購入手数料及び信託報酬がかからない「Fidelity ZERO Total Market Index Fund」(実質的なS&P500指数連動インデックスファンド)を設定し、従前から進行していた運用コストの引き下げを大きく進めたのです。
このファンドは同社の顧客しか購入できませんが、投資信託の低コスト化が進んでいることは間違いありません。
金融商品以外の製品では、材料、手間、技術、希少性が際立つブランド品と、100円ショップの製品とは歴然とした差があります。
効用は同じだったとしても、その製品を保有することによる満足感やステータス感はまるで異なるのは事実です(もちろん100円ショップの商品で十分という方もたくさんいます)。
これが金融商品、特に投資信託になると今や100円から購入することができますし、効用(パフォーマンス)もETFやインデックスファンドでベンチマークが同じであればほとんど差はありません。
アクティブ・ファンドはブランド品とも言えますが、これまたアクティブ運用がパッシブ運用よりも優れているかを計測するのはかなり困難です。投資信託という金融商品を一般化すればするほど低価格化とコモディティ化が進んで来るのは否めません。
野村スリーゼロに関する注意点は?
こうした環境下、野村スリーゼロを購入する上での注意点はあるでしょうか。このファンドの運用コストはゼロですので、魅力的であることは間違いありません。ただ、次の点は認識しておく必要があります。
野村スリーゼロは野村證券でしか購入できないこと(野村證券にオンライン口座を開設しなくてはならない)
野村證券のつみたてNISA専用ファンドであること(野村證券でつみたてNISA口座を開設するか同社に移管しなければ買えない)
このように、同社でつみたてNISA口座を保有しても問題ない方で、日本を除く世界株にインデックス運用されたいのであれば、間違いなく良いファンドだと思います(ただし、10年後以降の信託報酬率には注意)。
ゼロ・ゼロ投信がもたらす変化
今後、投資信託を運用したり販売したりする金融機関にとっては、コモディティ化で収益性がどんどん低下してきていますので、厳しい環境には違いありません。
一方、投資信託を始めとする金融商品に差がなくなってくると、顧客(=読者)もしっかり金融知識を身に付けて、何が得で何が損かを認識する必要が出てきます。それに対して、金融機関はお客様の資産形成に的確なアドバイスをすることが本来のビジネスになってくるでしょう。
図表1は米国での大手運用会社の運用コスト引き下げ競争の一端ですが、米国ではいまやバカ高い手数料を払って投資信託を購入しようという一般消費者はほとんどいません。
手数料ゼロ化をマーケティング・ツールとして顧客囲い込みの道具にするのではなく、購入手数料0%・信託報酬0%の流れが投資信託全般に広がることを期待しています。
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